
数日後。
「ということで、
花音ちゃんの紹介に、めいちゃんがすっごく緊張した様子でぺこりと頭を下げている。
「よ、よろしくお願いしますっ! 木村ちゃんこと、
「わ──」
調子を合わせて言いながら私は、ぱちぱちーって拍手をした。いろんなことがあったけど、とりあえず話がまとまってよかったなって思う。
しかし花音ちゃんは、ちょっと疑問があるようだった。
「めでたいけど……いまの私は解釈違いなんじゃなかったの?」
「大丈夫です!」
めいちゃんは、親指をぐっと立てながらウィンクをする。
「私、
「ののたんって箱なの?」
私がもっともな疑問を口にするけど、めいちゃんはご機嫌るんるんって感じで私をスルーして、ふむふむと
「とはいえ、ビジュはあの頃が最高なんですよね……ののたん! 黒髪に戻しましょう! 私とおそろにしましょう!」
「私あっち見てくるねー」
「えぇぇぇぇっ!」
歩いていく
「よかったね。推しと友達になれて」
「とっ、友達!? ……わわ、私と、ののたんが!?」
恐れ多い、私なんて、靴でもなめますみたいな調子で言うめいちゃんに苦笑しながらも、私は
「違う? 友達の定義って難しいけど……私にはそう見えたよ」
「そ、そんな……」
顔を赤くして、目を潤ませる。こういうところは素直でかわいいなって思う。
「ねえヨル! これなんかどうかな?」
マイク売り場のショーケースの前に歩いていった花音ちゃんが、私に声をかけた。
「えーとね、マイクとオーディオインターフェースは最初は一万くらいのやつで十分だって、キウイちゃん言ってたよ」
「キウイちゃん?」
私が花音ちゃんのほうに歩きながら返事をすると、戸惑いと、どこか熱を持った声が、私たちの耳に届いた。
「私と推しが、友達なんて──」
見ると、めいちゃんはスマホを構えて、レンズを私たちに向けていた。花音ちゃんがにっと笑って、私たちは顔を見合わせる。二人で合わせて、いえーい、とピースをしてみせた。
「っ!」
めいちゃんは目を丸くして、私たちを見る。カメラをインカメに切り替えたのだろうか、めいちゃんはスマホの画面をこちらへ向けると私たちに背を向け、白くて長い腕を精一杯、自撮りをするように斜め上に伸ばした。
やがて鳴り響く、小さなシャッター音。
同時に、心の底から幸せそうで
「──解釈違いですっ」
切り替わったスマホの画面。そこには友達になった三人が、笑顔で写っていた。