──ああ、とてもまずいかもしれない……
胸が痛い。恋が膨らんで弾けそうになる。いま自分は彼から半歩遅れて歩いており、あと少し歩みを速めたら彼の隣に立てるのだ。そして彼と同じ位置に立ちたいと望んでいる。
住む世界が違う私でも、彼と同じ景色を見たいと心が──
「永江さん」
「……あ、はいっ」
唐突に話しかけられて伏せていた顔を上げると、前を向いたまま話しかける宮園は、なぜかとても硬い横顔を見せていた。己が甘くて切ない気持ちに支配されているのとは逆に、酷く緊張している様子を思わせる。
「君の半生というか、来歴というか……今までのことを教えてくれないか。私が君に会うまでのことを」
「はあ」
女の身の上話を聞くのが好きなのかしら。からかう気持ちが胸に湧いたものの、触れ合う宮園の手に湿り気を感じ、やはり緊張しているようだと案じて口をつぐむ。
よくわからないけど仕方なく話し出した。
「履歴書でご存知かと思いますが、私の生まれた故郷は信州最南端の村の一つで、はっきり言えばもの凄い田舎です」
「長野県の、
「よく覚えていらっしゃいますね」
いちいち部下の出身地まで記憶しているのかと驚きつつ、簡単に学歴と職歴を述べていくと、途中で宮園に止められた。
「そういうことは知っている。私は履歴書に書いていないことを知りたいんだ」
「と、おっしゃいますと」
少し口ごもった宮園は、「たとえば、ご家族のこととか」と歯切れの悪い口調で告げた。
「父は幼いときに他界しています。母は今でも裏木村で暮らしていますよ。温泉旅館で働いているんです」
なので休日がもっとも忙しく、子供の頃は週末や祝日のたびに祖父母の家へ入り浸っていた。そう笑いながら話せば宮園が足を止めた。手を繋いだままの明日香も歩みを止める。
「常務?」
見上げると、宮園が何か思いつめたような表情でこちらを見つめてくる。先ほどからなんなのかと明日香は首を傾げた。
「……君のご両親は、その村に生まれ育った人なのか」
「あ、母はそうです。生まれも育ちも裏木村ですが、父はよそ者だったと聞いています」
「出身地は?」
「うーん、それは母も知らないんです。父方の親戚もいないので、言われてみれば父のことって全然知りません」
もう顔も覚えていない人なので大して気にしませんでした、と笑って答えたとき、握られていた宮園の手が離れる。
あ、と思ったときには背中へ回された手のひらにやんわりと押されて、歩くよう促された。
「そろそろホテルへ行こう」
「……はい」
温もりを失った手のひらが風に冷やされて寒い。肌だけでなく心の温もりまで逃げてしまうようで。
意気消沈する明日香は、いつもなら不可解に思う突然の問いかけに対して、さほど疑問を抱かなかった。宮園がこぼした呟きさえ聞こえていない。
やはり父親なのか。との声を。
車をホテル駐車場に停めてチェックインをすると、本当に部屋は二つ取ってあった。そのことに明日香は安堵し、同時に残念に思っていることも気づいて狼狽える。
──これは仕事。休日出勤手当が出るれっきとした仕事なんだから。
そう己に言い聞かせても、すでに気持ちはどうしようもないほど宮園へ傾いている自覚がある。
私って、面食いだったっけ。自問自答しながら与えられた部屋で軽く化粧直しをして、約束の時間に宮園とメインダイニングへ向かう。例のホテルマンは
静かな廊下をエレベーターホールへ歩いている最中、彼が「そうそう」と笑顔でとんでもないことを言いだした。
「食事中、私のことは名前で呼んでくれ。恋人同士で来ている設定だから」
「ええ! でっ、でも、それは……」
「あと敬語も禁止。上司部下って丸わかりだろ」
「無理です! せめて、えぇっと……あ、そうだ! 親戚の叔父さんと姪ということにすればいいのでは!」
それなら敬語で喋ってもおかしくないはず。己の閃きに表情が明るくなる明日香だったが、宮園の端正な顔は思いっきり引きつった。
「君ねぇ、それほど年が離れていない部下にオジサン呼ばわりされるほど、私は老けて見えるのか?」
「いえ、とても素敵です」
本心から思っていたので口が滑った。おかげで仏頂面を見せていた宮園が、激しく瞬いた後に顔ごと視線を逸らせてうなじを撫でている。
失言を悟った明日香は視線をさまよわせながら慌てて言葉を探した。
「そのっ! 上司に対して敬語禁止は私の性格上たいへん難しいのでせめて年の近い叔父と姪にすれば敬語でも大丈夫じゃないかと思っただけで世間一般でいう年配の男性という意味ではなく見た目は若いんですがそういえば北川副室長が常務と同い年で昭和生まれだとおっしゃっていたからやはり叔父さんと姪でも十分いけるんじゃないかと──」
「おい、平成生まれ」
「えっ」
パニクって一息に喋り続ける明日香を、宮園が強引に止めた。肩で息をする彼女は、上司を見上げて驚きのあまり絶句する。
宮園が口の端を吊り上げてもの凄く悪辣な笑みを浮かべていた。今までの穏やかな紳士
そのときエレベーターが到着して誰も乗っていない箱が開いた。宮園は明日香の腰を強く抱いて密着すると強引に中へと引きずり込む。
「えぇっ! ちょ、常務!」
「君が俺をどう見ているのか、よぉーっくわかったよ。昭和生まれのオジサンだけど〝仕事中〟は俺に合わせてもらうぞ」
嫌味っぽい話し方に唖然とした。一人称も変わっているし、何よりかもし出す迫力が違う。
麗しの上司様は目的階のボタンを押すと、あくどい笑顔のまま部下へ顔を近づけた。恐れと恋心が入り混じる明日香は混乱に陥って硬直してしまう。
「俺のことは
「ででででもっ」
いきなり豹変してしまった宮園に付いていけない。ただ昼間も、まぜそばを食べたときに彼の本性をかすかに捉えたような気がした。今の彼はそれとまったく同じ印象だ。
高速で下降するエレベーターが目的地で扉を開く。宮園はあいかわらず明日香を抱き寄せたまま廊下を歩き、抗議も右から左へ華麗に聞き流した。
レストランの入り口に着くころには明日香も半分諦め気味となる。それでも「すぐにボロが出そう……」と泣き言を呟いてはいるが。
弱腰の部下に対し、上司の方は楽しそうである。
「なんなら酒でも飲んで酔っ払っておけ。
「〝仕事中〟じゃないんですか……」
「敬語」
ウッと明日香が詰まって俯くと、宮園が背を屈めつつ顔を近づけてきた。
「いける口だろう? 好きな酒を呑んでいいから」
開業準備室が開設されたとき、顔合わせも兼ねてスタッフ全員でささやかな宴会が催された。そのとき明日香はそこそこの量を呑んでいる。とはいってもザルである宮園と北川のペースに途中から付き合いきれなくなって、烏龍茶にかえたが。
「……高いお酒を頼みますよ」
「いくらでも構わない。その堅苦しい言葉遣いと態度が消えるなら」
ふくれっ面になった明日香の頬を、宮園は笑いながら指の背でスッと撫でる。上司と部下の関係ではありえない親密な仕草と、服越しではない
あのとき自分は、もっとずっと触れ合っていたいと望んでいた。手を離されたとき、はっきり寂しいと感じていた。
この気持ちがなんなのかわからないほど、自分は
──どうしよう、どうしよう……。私、このひとのことが……
そこで店の案内係が近づいてきたため、それ以上を考えずに意識を仕事モードへ切りかえる。これはお金をもらう仕事なのだからしっかりしなくてはと、必死に自分へ言い聞かせた。
案内されたのは、広大なメインダイニングの一角にある鉄板焼コーナーである。目の前でシェフが肉を焼いてくれる様式に、贅沢だなぁと脳内で感嘆の声を上げた。
すでに宮園がコース料理を予約していたらしく、席には本日のおしながきが用意されていた。メインが飛騨牛のステーキで、そのほか地場野菜や
「──いらっしゃいませ」
おしぼりで手を拭いていると、ウェイターが飲み物のメニューを差し出してきた。その人の名札を横目で認めた途端、ギョッとして目を剥いてしまう。なんとお目当てのホテルマンではないか。
まさか自分たちの接客を担当するのかと驚いて宮園を盗み見るが、彼は名札を
さすがだ。自分は後ろめたい気持ちがあるせいか、一気に緊張してメニューを眺めることしかできないのに。
と、そのとき宮園が話しかけてきた。
「明日香。なにか呑みたいものって、ある?」
「えっ」
いきなり名を呼ばれて大いに焦る。宮園の声が奏でる名前が己のものだと思えない。
内心で激しく狼狽えるものの、例のホテルマンがにこやかな笑みを浮かべて見守っていることに気づき、「お任せします」と蚊の鳴くような声でなんとか答えた。
シャンパンの注文を聞いた彼が下がっていくと、肺を空にするほど大きな息を吐いた。
「……びっくりしました。すごい偶然ですね」
「まあ、観察するにはちょうどいいさ」
宮園の方は悠然としている。その肝が据わる様を見習いたいほどだ。
それでもシャンパンで乾杯し、前菜、焼き野菜と堪能していくうちに少しは緊張もほぐれてきた。美味しいものは心を慰めてくれるものだ。そして気持ちが落ち着くとやはり仕事意識が芽生える。──高いタダ飯を食べに来たわけじゃないんだから。
ときどき宮園と言葉を交わす対象人物を横目で見ながら、確かにこの状況では、自分の態度を変えねばならないと思う。
接客業はゲストを観察するのが仕事だ。自分も開業準備室に配属されるまで、系列ホテルで現場の仕事に従事していたからよくわかる。
特に料飲部門で働くスタッフは、宿泊部門の人間よりゲストと接する時間が長い。彼らはゲストがどのような目的でホテルを利用しているのか、どう接客すれば喜んでくれるのか、今後もリピーターになってくれるのか、気持ちよくお金を落としてもらうためにはどうすればいいのか、様々なことを考えて働いている。
たぶん、自分たちもどのようなお客かと観察されているはず。
土曜日の夜、観光地のリゾートホテルで贅沢なディナーとお酒を楽しむ男女が、ビジネスの話ばかりしていたら絶対に
グッとシャンパンを飲み干して前を向きながら宮園へ話しかけた。
「ま、柾樹さんっ」
「え」
前を向いていても、痛いぐらい視線が横顔に突き刺さっているのを感じる。視界の端で宮園が目を見開くのもわかる。……むちゃくちゃ恥ずかしい。たかが名前を呼んだぐらいで。
「わっ、私、やっぱり、地酒とか、飲みた……いんだけど」
日本語がおかしい。私もおかしい。羞恥でいっぱいいっぱいの状況だったため、彼が嬉しそうに微笑んだのは気づけなかった。
唐突に肩を抱き寄せられて体の側面が密着する。なにするんだと焦りながら宮園を見ると、至近距離でニヤリと笑う顔があった。
「好きなものを頼めって言っただろ」
耳元で甘く囁いてくるから、色っぽい美声が脳裏にわんわんと反響するようだ。
彼が体を起こして例のホテルマンを呼ぶと、明日香へメニューが手渡された。が、脳内フリーズ状態のため、頭の中では文字の形をした図形しか浮かばず、言語を理解してくれない。
宮園が、地酒はどれがいいかと訊いてきたが、何も考えずに茫然と指をさすことしかできなかった。偶然にも高山の純米吟醸を指したので、「かしこまりました」とホテルマンがメニューを下げようとする。
その際、目が合った彼がニコリといい笑顔を見せてくるので正気に戻った。……わかる、あの笑みに覚えがある。以前、ホテルでの研修中に指導してくれた料飲統括マネージャーが、人目を
目の前で食材を焼いているシェフも、先ほどまではこちらへチラチラと視線を向けて話しかけるタイミングを計っていたようなのに、今では手元しか見ていない。あからさまに「二人の世界へ口を挟まないからね!」と主張する気配があった。
もう
しかし哀しいかな、美味しいお酒を呑みつつ、やはり美味な食材を焼きたてで食べていると平常心も戻ってくる。おそらく酔いも手伝っているのだろう。
「うう、
贅沢な海鮮類をうまいうまいと食べていたら、偽称恋人が再び顔を近づけてきた。しかもさりげなく手を握ってくる。
「気に入ったなら、もう一つ頼もうか?」
いちいち接近したり触れたりするのは勘弁してください。……とは人目があるここで言えないため、頑張って笑みを浮かべつつ手は引っ込めておく。
なのに膝の上に置いた手へ、宮園が手のひらを重ねて握り締めてくるから、箸を落としそうになって急ぎ箸置きへ戻した。
「あ、あの、気にしないで。単に魚介類というか、海産物に目がないだけで……」
「へえ、どうして」
テーブルの下で重ね合う手のひらが動き、指と指が絡まる。男性の、自分より太い指がこちらの指の股に食い込むとうまく動かせない。抵抗を容易に封じてくる。
篭絡されるかのような動きに横目で宮園を睨んだが、彼は楽しそうに見てくるだけで指の動きを止めない。
「……山奥で育ったから、魚っていったら川魚がメインで、海の幸なんてあまり食べたことがなかったの」
「この流通が発達したご時世に?」
「それは都会の人の感覚。標高千メートルを超える山に囲まれた六百人ほどの集落だと、外からの物資なんて頻繁に入ってこないのよ」
「限界集落か」
「そこまでいってない! それに今は温泉やキャンプで町おこしやってて、観光客も少しずつ増えて……それに、それに牡丹鍋も鴨鍋も馬刺しもすごく美味しいのよ!」
話に脈絡がないこの時点で、自分が酔っぱらっているのはなんとなく自覚していた。アルコールには強い方だが、緊張と空腹もあいまって、いつもより耐性が低くなっているのに気づくのが遅れた。
でもあまりに日本酒が美味しくて、宮園もやけに優しい表情で絡んでくるから、恋に染まりつつある心が喜んで、ここで止めた方がいいという内からの警告を聞き流した。
やたらと気分が良くなり、なんのためにここへ来たのかすっかり頭から抜け落ちた状態で食事を楽しんでしまった。
その後、デザートとコーヒーまで堪能して店を出る。部屋への廊下を歩く明日香の足元はしっかりしているが、頬を染めてお喋りは止まらない。
「飛騨牛、とっても美味しかった! フィレとサーロインを両方食べられるって贅沢だね!」
「そうだな。周りが『よく食べるなー』って顔をしていたけど」
「地元では信州牛が美味しいの! りんごを食べさせて育てるのよ」
「今夜の記憶が消えているといいな。もし残っていたらすごく悩むだろ、君」
「信州サーモンってのもあってね、脂がのってすごく美味しいんだよ」
「はいはい。明日の反応が楽しみだ。──ところで俺の部屋に来る?」
部屋は隣同士なので、手前にある宮園の部屋の前で彼が扉を指す。だが明日香は笑顔で「温泉に行くから駄目!」とお断りした。飛騨高山は温泉地なので、このホテルにも展望露天風呂がある。
ニコニコと邪気のない笑みを浮かべる明日香を、宮園は皮肉っぽい表情で見下ろした。
「酔っ払いのくせに、そういうところはしっかりしてるな。じゃあ、明日は八時にロビーへ下りること。朝食は一緒にとろう。いま俺が言ったこと、ちゃんと覚えているか?」
「大丈夫!」
拳を握りしめて答えると宮園が頭を撫でてきた。子ども扱いだなぁと酔いが回った頭で思う明日香は、彼がカードキーで部屋の鍵を開けるのを見てフラリと背を向ける。
そのときだった。いきなり背後から抱き締められて強引に部屋へ引きずり込まれたのは。
声を上げる前に半回転させられ、強く抱き込まれる。何が起きたのかグルグル回る頭ではすぐに判断できなかった。
でもガチャリとドアが閉まる音と、鼻腔をくすぐる嗅ぎ慣れたトワレと、硬い体から滲む温もりでさすがに状況を理解した。と、同時に頭部から勢いよく血の気が引いて、一気に酔いが霧散し正気を取り戻す。
当然のことながら食事中の醜態をすべて思い出した。顔から火が噴くかと思うほど真っ赤になり、喉の奥から奇妙な声が漏れる。
「……どうした?」
頭上で低く囁かれ、今度は羞恥で涙目になる。
「どっ、どうしたもこうしたも……離してください。というかすみません! 申し訳ありませんでしたぁっ!」
「おや、酔いが醒めたようだね」
クスクスと笑う動きで逞しい体がかすかに揺れる。抱き締められる明日香の肢体も揺れて、宮園と密着していることを嫌でも実感し、彼の腕の中で激しく狼狽えた。
大きくて温かな手のひらが背中を撫でてくる。慰めるような仕草だがまさかこうなるとは思っていなかったため、混乱が大きすぎてまったく動けない。
硬直する明日香の耳元へ唇を近づけた宮園が、わざと吐息混じりの色気にあふれた声で囁いてきた。
「俺は男に依存する女って好きじゃないんだ。君のように、自分の隣に立って同じ道を一緒に歩いてくれる女性の方がいい」
──それは、私を好きだと言っているの? 信じてもいいの……?
最後の一歩を踏み出せない明日香の心がグラつく。ギュッと強く目をつむると、宮園と初めて会ったときから今日までのことが走馬灯のように思い浮かんだ。
ずっと彼から口説かれていても、なぜか心は動かなかった。己の勘が、彼は恋なんかしていないと訴え続けるから。
でも今日の宮園はいつもと違った。本当の姿をこちらへさらけ出しているようで、嘘偽りない真実の彼自身を見たと思った。ちょっと意地悪で人をからかうのが好きで、それでもやっぱり優しい、そんな
その変わりようには驚いたけど、穏やかすぎて人当たりも良すぎる以前の態度よりずっといい。自分は恋愛にも生きることにも少し臆病だから、これぐらい強引でないと関係を変える勇気が持てない。
──私は、あなたを信じたい。
おそるおそる顔を上げて宮園を見上げると、笑みを浮かべていた彼が急に真顔になった。綺麗な瞳でこちらを見つめてくる。
明日香は己の瞳が潤み、薄く開いた唇から色気が滲み出ていることに気づけなかった。怯えながらも頑張って己の殻を破ろうと自身を奮い立たせる姿は、男の心を溶かすいじらしさであることも。
宮園の顔がゆっくりと落ちてくる。
ふっくりとした柔らかい女の唇と、薄くしっとりした男のそれが重なり合う。皮膚が軽く合わさるだけの口づけが、吸いつくような啄むような行為に変化する。
キスの
もしかして笑ったのかなと明日香が胸中で思ったとき、彼の指につかまれた顎が強制的に持ち上げられる。首が限界まで仰け反って否応なしに口が開いた。
宮園が呼吸を奪うかのように唇を覆って深いキスをしてくる。
「んんっ!」
口内の隅々まで執拗に
男の嗜虐心に火を点けたと知らぬ明日香は、割り込まれた熱い舌の動きに翻弄された。