マリアは身をピクリと震わせ、息も絶え絶えになっている。マリアの声で我に返ったリスティアは、治癒魔法でマリアの首筋の傷を治療。首筋に残った血を、舌で綺麗に舐めとった。
「マリア……その、ごめん。痛くなかった?」
「え、えぇ……平気よ。と言うか、痛いどころか……その。うぅん、とにかく、リスティア院長は、もう大丈夫なの?」
「えっと……」
リスティアは言われて、自分の体調を確認する。
凄く多幸感に包まれていて、全身に力がみなぎっている。そして、さっきまであった飢餓にも似た吸血衝動は綺麗さっぱりと消えていた。
「マリアのおかげで、吸血衝動はなくなったみたい」
「そっか……リスティア院長の役に立てて嬉しいわ」
マリアが可愛いことを言う。それを見たリスティアに、再び吸血衝動が──とは、幸いなことにならなかった。けれど、吸血したときの多幸感を思い出して、ちょっぴり欲しくなってしまう。
当分は大丈夫そうだけど、またいつか欲しくなりそうだ。
「えっと、その……マリア。もし嫌じゃなければ……その」
「ええ。リスティア院長が私を欲しくなったら、いつでも言ってくれて良いからね」
「……ありがとう、マリア」
こうして、リスティアを苛んでいた吸血衝動の騒ぎはひとまず解決した。