白い砂浜が長く続いている。
予約席であることを示す日傘が立てられたデッキチェアの傍らには、飲み物の置かれたサイドテーブルが備えられていた。
「おお、用意周到じゃな」
「驚いた……。プライベートビーチなんてあるのね」
煉瓦で舗装された道を降り、砂浜へと踏み出す。
太陽の光を浴びた砂に爪先が埋まっていくのを見留め、サンダルを脱いで素足になった。
「かかかっ、金はたんまりとあるからのぅ」
デッキチェアへと駆け出したシェンフゥが、一番乗り、とばかりにゆったりと腰かける。
「それに、おぬしとこうしてバカンスを楽しむのが夢だったのじゃ」
素足を組んでサイドテーブルから飲み物を取ると、ハートマークの形に細工されたストローの片方をリサに向けた。
「……随分と沢山夢があるのね?」
苦笑しながら赤いストローに口付け、青く色づけされた飲み物を口に含む。
僅かではあったがアルコールが含まれていることに気づき、リサは驚いて目を見開いた。
「シェンフゥ、これ……」
「フッ。特注品のカップルストローじゃ。理想の美少女であるおぬしと居ると、夢が膨らむのぅ」
にんまりと目を細めて微笑み、シェンフゥが額を近づけてリサを見つめる。
「……美味しいわね、これ」
さりげなく禁酒令が解かれたこともあり、リサも表情を緩めて喉を鳴らして飲み進める。
二人分の飲み物は、すぐに細かな氷と飾りのフルーツを残すだけになった。
「それで、これからどうするつもり?」
デッキチェアの傍らに立ち、フルーツを囓りながら訊ねる。
「まあ、なにをするにも、まずは日焼け対策からじゃの」
シェンフゥは、にっと笑ってあの特製オイルが入った小瓶を取り出して見せた。
「やっぱりそれなのね」
「効果は抜群じゃろう?」
苦笑するリサに、シェンフゥはかかかっと声を上げて快活に笑う。
「もうメイドと令嬢の設定じゃないんだから、塗りあいっこしましょ」
シェンフゥの手から小瓶を取り、手のひらの上で伸ばしながら提案する。
「そうじゃな」
シェンフゥも頷いてオイルを手に取ると、抱き合うようにして互いの背中から塗り始めた。
「それにしても、綺麗な場所ね」
太陽の白い光を反射して、砂浜が輝いて見える。
砂浜には湖からの穏やかな波が寄せては返し、湖上を抜けた涼しい風が、汗ばんだ髪を撫でて行った。
「……もっと手早く塗れるといいんだけど」
「さては、早く泳ぎたいのじゃな?」
背中を塗り終え、追加のオイルを手のひらに落とすリサの耳許で、シェンフゥがくすりと囁く。
「そ、そういう訳じゃないけど——」
「わしには解っておるぞ、ご主人。わしらの間に遠慮は無用じゃ」
うんうんと頷きながら、シェンフゥが丁寧にリサの臀部と太腿を撫でて行く。
「そこは、自分でやるから——」
「しかし美少女の美肌を日焼けで損なう訳にはいかぬ……」
シェンフゥの手を退けながら手早くオイルを塗ってその場に屈み、シェンフゥの脚をオイルで撫で上げる。
「はぁ、これはなかなか……」
うっとりと目を閉じてリサの手の感触を味わっていたシェンフゥだったが、突然身体を震わせ、目を見開いた。
「ハッ、良いことを思いついたぞ!」
「な、なによ、急に。びっくりしたぁ……」
シェンフゥの大声に溜息を吐きながらゆっくりと立ち上がる。
「ご主人、そこに仰向けで寝転ぶのじゃ」
「……こう?」
思いついたアイディアに活き活きと目を輝かせるシェンフゥに圧倒されて、素直にデッキチェアの上で仰向けになる。
「そうじゃ」
シェンフゥは満足げに深く頷くと、オイルが入った小瓶を胸元で傾けた。
「では、たっぷりとオイルを垂らして……」
シェンフゥの胸の膨らみの隙間に、たっぷりとオイルが溜まって、零れ始める。
「えっ、ちょっと待って。まさか……」
「そのまさかじゃ」
嫌な予感にたじろぐリサを捕まえるように太腿の上に
「んっ……、あ……あぁっ」
「どうじゃ? 広範囲を一気に塗れてお得じゃろう?」
リサと胸を合わせ、柔らかな膨らみを押しつけながらシェンフゥが身体を揺らしている。
「あとは、この太腿にも——」
ひとしきりオイルを塗り終わったシェンフゥが、自らとリサの太腿にもオイルを垂らし始める。
「もっと普通に塗りなさい!」
オイルで塗れた肌を滑らせて素早くシェンフゥから離れたリサは、シェンフゥの頭に手刀を叩き込んだ。
「ぎゃんっ!」