「本当にありがとう」

 シェンフゥを抱きしめ返し、その頭を優しく撫でる。

 シェンフゥは耳を押しつけるようにしてリサの顔に擦り寄せると、鼻を啜って何度も頷いた。

「お安い御用じゃ」

 その顔は見えないが、尻尾が嬉しそうに動いている。

「なにかお返ししなきゃね」

「そうじゃのぅ……頭を撫でてくれるのも良いが——」

 そう言いながらシェンフゥがゆっくりと顔を上げる。

 口付けをねだるような視線を向けられたリサは、惹かれ合うようにシェンフゥと唇を重ねた。

 互いの存在を、その想いを確かめ合うように、優しく、穏やかで温かな口付けを交わす。

 息が続く限りそれを続けた二人は、自然に唇を離して互いに見つめ合った。

「さて、元気になったところで、これからどうする? 金はたんまりと受け取っておいたぞ」

 口付けの先を求めず、シェンフゥがにっと笑って明るく提案する。

「そうね……」

 その言葉に湖の方を見やったリサの髪を、気持ちの良い風が撫でていった。

「バカンスをやり直しましょう」

「では、水着に着替えるとするかの」

「……そうね」

 微笑み合い、差し出された手を取って指先を絡める。

 二人の新たなバカンスの始まりを祝福するように、湖から汽笛の音が響いたような気がした。