対岸が見えないほど広大な湖が広がっている。
湖を
湖に設けられた港には、桟橋と
白く目が眩むような日差しを避けるように、趣向を凝らした日傘が花のように開き、その合間合間には大きな荷物を手にした使用人たちの姿が続いている。
早くに乗船を終えた者たちは、各々の客室で寛いだり、太陽の恩恵を受けるべくプロムナードデッキを散策したり、トップデッキのプールで泳ぎを楽しんだりと、それぞれの時間を過ごしていた。
「うーん、良い天気じゃのぉ。これが噂に聞く豪華客船か」
トップデッキの更衣室で水着に着替えたシェンフゥが、プールサイドに繰り出す。
水着の上から日よけのストールを緩く巻き付け、さながら海のような白波を立てる湖を眺めた。
湖は、青みがかった緑色と深い青のグラデーションがどこまでも続いている。
海だと言われれば信じてしまうところだが、リシュラムの街が内陸に位置することから湖であることは疑いようがない。
「しかし、良い眺めよの。砂浜でのバカンスも、のちのち楽しみたいものじゃ」
呟きながら港の向こうに見える砂浜に目を細めていると、不意に突風が吹いた。
「あっ!」
誰のものか、つばの広い帽子が飛ばされ、湖の向こうへと飛んでいく。
シェンフゥは反射的に妖術で風を戻そうとして思いとどまり、トップデッキで寛ぐ人々の様子に目を凝らした。