~腹黒室長、貧乳死神のことを考える~


「なるほど、さんってりようすけくんと昔から強いきずながあったんですね。だから室長は、美菜さんだけがリサラさんと戦えるって思うと」

 報告書に美菜のことを書き留めながら、マルベックが言う。

「そうね。年月っていう絆は、やっぱり強固だと思うのよねぇ」

 そうつぶやきながら、イリアはふとリサラのことを思い出してしまった。

 思えばレストール家のしにがみ養成学校入学以来の付き合いだ。しかも卒業後は別々の道を選んだはずなのに、気が付けばまた机を並べている。

 もうくさえんとしかいいようがない。

「室長、何を考えてるんですか?」

「リサラのこと……」

 思わず答えてしまい、イリアは言葉を飲み込んだ。

 案の定、マルベックがニヤニヤとイリアを見ている。

「な、なんでもないしっ」

 慌ててイリアは否定したが、お構いなしにこうしんひとみかがやかせながらマルベックが身を乗り出してくる。

「前々から思ってたんですけど、室長とリサラさんってやっぱり仲が良いですよね」

「はぁぁぁっ!? イリアとリサラが仲が良い? 鹿なこと言わないで欲しいわけ!」

「ですが、古い付き合いなんですよね」

「レストール家の死神養成学校以来よ。しかも、ホント最低な話だけど、ぜんりようせいだからあそこ、ルームメイトだったのよ」

 苦々しくイリアはき捨てた。

「ええぇ、でもそれってつうは仲良くなるんじゃ」

「ま、まぁ仲良かった時期もあるにはあったけれどぉ……」

「どうしてけんえんの仲になったんですか?」

「どうしてって……あれよ、全部リサラが悪いのよ。ええ、そうよ、イリアの純真を見事にリサラが裏切ったんだから!」

 マルベックから顔をそむけつつ、イリアは言い切った。

「何があったんですか?」

「何って……」

「もしかして彼氏を取り合ったとか!」

「あのね。男の子なんてイリアもリサラも、卒業するまで寄せ付けなかったわよ」

「ええぇ、モテそうなのに」

「ま、イリアは見ての通りちよう美少女じゃないぃ。リサラもまぁ、見れなくはない方だし、男子達がみんな近寄れなかったのよねぇ」

 うんうんとイリアはうなずいてから、いきなりまゆをひそめた。

「そうよ、それに……遊んでるひまなんて欠片かけらもなかったんだからっ!」

「し、室長?」

「そうよっ。あのリサラにだけは絶対に負けられなかったのよっ。だからる間もしんで勉強したわっ。絶対に、絶対にリサラをとすって決めたんだから!」

 イリアの形相にマルベックがゴクリと息をむ。

 ゆっくりと、ゆっくりとイリアは、ふういんしてきたおくふたを開け始めた。