「えーと、あの、うぇっぷ……」
教師とは見えないほどに小さく幼い顔立ちをしている
一時間目が始まって入って来ていきなりの行動だった。
と、クルリと黒板に振り返り、今にも
『さけのみすぎた。むり。じしゅう』
かくして一時間目は自習となったのだった……。
「これでいいのかしら……」
ユラユラと教室から出て行く乱橋を見つつ、リサラ・レストールはボソリと
少なくとも、ここまでグダグダではなかった……。
「ま、まぁ、乱橋先生は……その、あまり
正直、色々と残念過ぎる良介にはもったいない幼馴染みだと、リサラは常々思っている。
そんな美菜を見上げて、リサラは小首を
「どうしたの?」
「夕べのおまじない特集のテレビ、その見たかなぁって思って」
美菜が少女
「
リサラが聞き返すのと、
「七時からやってる『
リサラと同じく死神であることを隠しているイリアだが、人気グラビアモデルでもある。確かにグラビアモデルに
が、その巨乳が実は
その偽乳により、死神界でリサラを
「見るわけないでしょ、そんな番組」
リサラが
「あれ、確か良介くんが好きな番組なはずだけど……」
美菜が、リサラの
「ああ、もしかしたら良介は見てたかもね。その時間は私、お
良介に「何やってんだ?」的な視線を投げつつリサラが答える。
「えっと、その、見てないなら別に……い、いいかなぁ」
なぜか美菜が言い
「うーん、逆に気になっちゃうんだけど、それ」
「で、でも」
「うっふっふ、
ニヤニヤとしながらイリアが、リサラと美菜を見た。
「恋のおまじない?」
リサラが
「あら、リサラさんはそーいったものに興味がないのぉ?」
「あのねイリア。どうしてこの私が、そんないかがわしいものに興味がないといけないのよ」
「えーでもぉ、恋に
「やめてよね。私はそんな
特異者──通常の人間の数千、数万倍の霊力を持つ存在だ。死神は、人間が死ぬ際に放出する霊力の
そんな死神にとって、一人で数千数万の霊力を持つ特異者は特別過ぎる存在だった。そしてそんな特異者と契約を結ぶことは、死神の
それ
色々失敗して、
「ふうん、興味ないんだ。あ、でもそーだよねぇ」
パンッとその大きな胸(
「な、なによ」
「リサラさんは~、もう良介くんとラブラブだから恋のおまじないなんて、必要ないんだよねぇ」
「えっ」
美菜が思わずリサラの顔を見た。
「な、なにバカなこと言ってるのよっ。そ、そ、そんなわけないでしょっ。なんでこの私が良介なんかとラブラブなのよっ」
ブンブンと手を
その様子にイリアがニヤリと笑った。
「じゃーあぁ、イリアが良介くんに恋のおまじないしちゃおっかなぁ」
「なっ……べ、別に好きにすればいいじゃない」
リサラが
「えっと、その……」
オロオロしちゃう。
「ふふ、ホント~にいいのぉ?」
「当たり前じゃないの」
リサラがニヤニヤ笑うイリアを睨む。
「でもでもぉ、良介くんってばリサラさんにとって大事な大事な存在でしょぉ?」
「はぁっ!?」
「だってだって、レストール家の秘宝
「なにおかしな
「でっもなぁ、まさか生きる力が『エッチな心』なんて男の子を選ぶなんてねぇ。リサラさんって意外にエッチ?」
「後から知ってこっちが
「あ、あはははは、エロ介って知らない人、この学校にいないくらいだから……」
美菜が
「うう、なんで私は良介を選んじゃったのかしら……」
がっくりとリサラがうなだれる。その姿に、イリアは再度意味深な笑みを向ける。
「ふうん。でもホントに、イリアが恋のおまじないを良介くんとしちゃっていいのぉ? あのおまじない、
「バカバカしい。
「そーかなぁ」
「そうに決まってるわよ。そもそも、そのおまじないって何する気なのよ。言っておくけど、
「んっとねぇ。まず
「……めんどくさそうね」
「えーでもでも、それで二人はそのコミックに描かれてるみたいな恋愛が出来るんだよぉ? ステキじゃない?」
「そもそも、学校に漫画とか持ってこないでしょ、普通」
「え……」
「美菜……ソレ、もしかして」
「ち、違うよ。うんっ、その……ほら、大人気の少女漫画の発売日が今日で、た、たまたま朝のコンビニで見かけて買っちゃった、だ、だけだよ、うん!」
必死の言い訳だった。
「美菜……」
「あれ、イリアも今朝その漫画買ったんだけどなぁ」
同じ少女漫画をイリアが持ち出してくる。
「っていうか、そもそもこの少女漫画とタイアップの
「なるほどね……」
「ま、でもでも、折角だし、イリアは良介くんに名前書いてもらおーっと♡」
ニヤニヤと笑いながらイリアがリサラの前で表紙をめくり、自分の名前を見せつけるように書いていく。
「さってと~。じゃ、良介くんにお願いしてこよっと」
イリアが立ち上がって、良介の席に向かう。
その姿に美菜は「う~」と
※ ※ ※
加賀良介は
その
そもそもの失敗は授業が始まる前だ。
おかげで、
慌ててブックカバーを掛けたが、時既に
折角の自習タイムだ。今、読みたい。すぐ読みたい。
だがしかし、今ここで漫画を出して読み始めれば、絶対に
間違いなく、
あいつらのことだ。
俺のだ! とか言ったところで「そんな証拠どこにあるんですかー!」とか子供じみたことまで言ってきそうだ。
そう、女の子には
だが、
このコミックを最初に読む──そう処女地を
連中の
良介は、背後から
その時だ──。
「ねぇ、良介くん」
「ヒィィィィィィィィィ」
ムンクの
「え……あ、あの」
「なんだイリアか」
そこに居たのはイリア(
「
「い、言っている意味がイリアには、よく分かんない……」
「ま、男には男の世界があるのさ」
「そーなんだ……」
「で、何の用だよ」
「良介くん『
『汁だくミチル』、民放でやっているバラエティー番組だ。色々な
「うん、だったらお願い出来るよね。イリアね、このコミックに良介くんの名前を書いて欲しいの」
「名前を書くっ、それだ!」
良介が椅子を
良介の家に
その点、リサラならば大平達に
万が一、教師に
これ以上ない人選だ。
「あのその、えっと、オッケーってことかなぁ」
キョトンとするイリアを無視して、良介はリサラを向いた。
「な、何よ」
リサラが少し
「リサラ……」
名前を呼びながら、良介はブックカバーをかけたコミックを、周囲に見られないように机の中から取り出す。
「
「へっ、ちょ、ちょっと何を言ってるのよっ」
「でも俺の名前なんて書いたところで、意味はないはずだ」
「…………そ、それはまぁ」
リサラが、赤くなった顔を
(お、女の子がまず書くってイリアは言ってたわよね……確か)
そんなリサラの様子におかまいなく、良介は表紙をめくったコミックを差し出す。
「これに、お前の名前書いてくれ」
「──っ!」
ビクンッとリサラが肩を
「ちょ、ちょっと、それお願いしたのはイリアなのにぃっ!」
慌てたイリアが首を
「イリア、お前じゃ意味がない」
「ムッ、ムッキ──────! 知らないもんっ、もう!」
目をつり上げて、イリアがドスドスと足音も
「あ、あの……私は?」
美菜がおずおずと聞いてきた。
「悪いな、美菜。
