「ねぇ、りようすけ

「なんだよ、リサラ。俺はここ数日、非常に暗い気持ちなんだぞ。出来ればっておいてくれよ」

「そういえば、先週くらいからみようにため息多いわね」

明日あしただぞ、明日。そりゃ暗くもなるよ……」

「明日ってバレンタインデーでしょ?」

「ギャ───────スッ!」

「な、なによ急に悲鳴を上げて!」

出るかと思ったぞっ。いいか、俺のようなモテるアテのない男に、バ、バレン、バレン……バレなんとかって言葉は禁句なんだっ。いいなっ、もう言うなよ!」

「いやよ」

「いやって、なんでだよリサラっ」

「だって私の用事は、そのバレンタインのことなんだもの」

「ぐはっ。お、お前も……バレなんとかにかれる女の一人かよ!」

「悪い?」

「くそぉっ、バカーっ。お業界のバカぁぁぁっ。こんな苦痛の日をらせやがってっ」

「まぁ、なんで良介が苦しんでるかは知らないけど、教えてくれない?」

「何をだよっ。この残念な俺に!」

「バレンタインデーって」

「ぐはぁっ」

「ああもうっ、静かに聞きなさい!」

「う、うう、非モテには泣くことすら許されないのか……」

「とにかく、バレンタインデーってチョコレートを男性にわたすわけでしょ?」

「……そうだよ」

しにがみ養成学校でそーいう風習があるとは聞いたんだけど、くわしく知らないのよね」

「へーそうですか」

「そうなのよ。で、にある程度がいようは聞いたんだけど、彼女もあまり詳しくないって言うのよ」

「まぁ、美菜がだれかにチョコレートをあげたなんて聞いたことないな」

「みたいね。だから良介に教えて欲しいのよ」

「何をだよ?」

「渡し方に作法とかあるのかしら?」

「作法だぁ?」

「ま、作法ってのは言い過ぎかしら。ただ男の子がもらう時にうれしいやり方を教えて欲しいのよ」

「それを俺に聞くのか……」

「ええ。だって男の子の心理は、男の子に聞くのが一番でしょ。それに良介は、そーいうことにすごこだわりがありそうだもの」

「そりゃあるよ、あるともさっ」

「でしょ?」

「あれ……てか、リサラ。お前、誰かにあげるのか?」

「え、あ、あはははは、いいじゃない誰にあげたって」

「うう、そりゃいいけどさ……」

「ね、良介。教えてよ」

「でもな、俺は俺が嬉しいシチュエーションしか思い浮かばないぞ。他人の、ましてモテろうの思考なんて俺にはぜ────ったいに分からないね!」

まんしないでよね……ったく」

「ふふんだっ。どーよ、それでもいいのかよ!」

「ま、いいわよ。良介の発想でね」

「へ?」

「だから、良介の発想でいいって言ってるのよ」

「うそ、まじで?」

「ええ。さ、教えてよ」

「うう、まさかしていたバレンタインデーのことを、自分から話すことになるとは、大失敗だ……」

「ねぇ、どうやって渡せばいいわけ?」

「でも俺はその、あれだ。誰か特定の人間を想定して、そいつから貰う場合は、どーいうシチュエーションがいいかってもうそうしかしてないぞ?」

「この際それでもいいわよ」

「マジか……くそっ。ああもう分かったよ。教えてやるよ」

「うん」

「そうだな。ならキュールが俺に渡す場合の妄想から行くか」

「キュールが良介に渡す? 凄くあり得ないじようきようじゃない?」

「うっさいなっ。文句あるなら教えないぞ!」

「あ、あはは、ごめんごめん。よろしくお願いします、バレンタインデー先生」

「やめて、その名前はやめてっ」

「はいはい、じゃぁ良介お願い」

「はぁ……キュールだろ。あの年下のくせに、妙にバストはしっかり育ってるところがポイントなわけだ」

「くっ、バストね……」

「ふむ、そうだな。キュールのそのポイントを最大限にかすのはだ……。やっぱりギャップだよギャップ」

「ギャップねぇ。ねんれいとか胸の大きさのギャップなんて、出せっこないじゃない」

「リサラ。だからお前はダメなんだ。いいかギャップってのは、何も直接的なものだけじゃない。人間は想像力を持つ動物なんだぞ。男ってのは、ちょっとしたポイントにも興奮出来るんだよっ」

「ず、ずいぶんと熱弁するのね」

「当たり前だ。そもそもお前、男が喜ぶチョコレートの渡し方考えようっていうのに、そこが分かっていないのは大問題だぞ。仕方ない、この俺がその点をふくめてしっかりとレクチャーしてやる」

「うーん、良介にお願いしたのって、もしかして失敗?」

「いいか!」

「ほら、人の言葉聞いてないし」

「キュールがチョコレートを渡す時に、一番嬉しいのは、その表情に出るギャップだ!」

「はいはい、それで?」

「あの腹黒くて強気で小生意気なキュールがだ。いつも以上にフリフリで女の子な服装なんだよっ」

「うーん……ちょっと想像出来ないんだけど」

「いいか、うでを全部ちゃんとおおったながそでスタイルだ。スカートはフリフリ。で、ちゃんとストッキングなんだよ。そしてはながらのアクセサリーなんてあれば、最高だな。もちろん、パンツはくまさんとかねこさんの、キャラクターパンツだ!」

「パンツまで指定するって、チョコレート渡す時には関係ないじゃない」

「分かってないなぁ。この格好はすべて、一つの目的のためにあるんだぞ?」

「また一部がすとか、そーいうエッチなのじゃないでしょうね」

「ノンノン。引き出しの少ないヤツめ」

「……そんな引き出しいらないわよ」

「いいか、これは全てキュールに妹感を保って貰うためだ」

「い、妹ぉ?」

「そうとも。いいか、キュールっぽく言うとこうなる」

「はぁ」

「あ、あのね、バレンタインデーは特別な日ですわよね。だからその、良介さんを、きょ、今日だけはお兄様って思ってどくせんしても、い、いいかしら」

「はぁぁぁっ?」

「こ、このチョコレート、作ったんですのよ。味にだって自信ありますわ。だ、だから、受け取ったら……お、お兄様って呼びますけれど、いいですわよね。それだけの、その、価値が、あ、あるんですわよっ。お兄様っ!」

「ええと、良介。頭の中、平気?」

「おう、平常運転だ」

「まぁ、確かに良介はコレが平常運転よね……はぁ~」

「で、どうだ。今のでのうに浮かんだだろ。だんのとは百八十度ちがう、照れて甘えんぼうな妹的キュールが。これが、これがギャップだっ。人をとりこにする非日常性だ!」

「ええと、その……よく分からないけど、私は死んだって良介のことを、お兄様なんて呼びたくないから、きやつ

「当たり前だ。俺だって呼ばれたくないやい。ん、俺?」

「え、あ、あはははは、ごめんごめん。良介じゃなくて、どんな相手でもよ」

「まぁうん、お前ってばそーいう夢のないヤツだもんな」

「うるさいわねっ。だったら、美菜だったらどうなのよ」

「美菜か。そんなの言わないでも分かるじゃないか」

「……バスト?」

「ああ、おっぱいだ」

「良介、おっぱいって言い直す必要ないと思うんだけど」

「いいや、ある。バストって、カタカナでなんかかたいじゃないか。だが、おっぱいはやわらかいものだ。柔らかぁいおっぱいには、ひらのおっぱいがイイ!」

「はいはい、そうですか」

「うむ。特に美菜のは、まさに柔らかぁいおっぱいだからな。あれで美菜じゃなければ、いまごろ色々と楽しく妄想してたんだけど、美菜だからなぁ」

おさなみってのは、そんなものよね」

「かな。まぁでも考えようと思えば考えられるぞ、美菜にチョコレートを貰うシチュエーションも」

「どういうの?」

「そりゃぁさっきも言ったけど、あのおっぱいだろ? そこを強調するに決まってるじゃないか」

「う~ん、水着とか?」

「リサラ、お前は本当に男心が分かってないな。いくら自分にはないものだからって、発想が貧弱過ぎるぞ」

「わ、悪かったわねっ、小さめでっ」

「小さめってか、ない?」

「良介っ」

「あ、あはははは、ええと美菜だったら、あの大人しい性格だし、おっとり顔だろ。やっぱり定番のメイド服が似合うと思うわけだ」

「……メイド服って、どこもバストを強調してないじゃない」

「リサラ、人類のえいを甘くみるなよ?」

「叡智?」

「おうとも。人間は様々なシチュエーションに合わせてメイド服を生み出してるんだぞ。そう、おっぱいのためにむなもとをガバッと開けたメイド服だってある」

「なんかそれ下品じゃない?」

「ああ、通常時ならばな。だが、バレンタインデーだぞ。特別な日だ。特別な日にしか許されないスペシャルな格好ってのがある」

「まぁ、言われてみればサンタさんの格好とかも、普通に見たら派手なだけだもんね」

「そうそう。だから美菜には顔を真っ赤にしながら、胸元が開いたメイド服がいい。そしてだ、ここがポイントだ」

「ポイントって、あまりいい予感はしないわね」

「いいか、胸元を開ける、イコールおっぱいの谷間が見えるってことだ」

「知らないわよ。私にはないもん、そんなもの」

「そのおっぱいの谷間にだっ」

「また人の話を聞いてないし、はぁ」

「谷間にチョコレートがはさんであったら、どうだっ。なあ、どうだよ!」

「どうって、ひとはだけちゃうわよ、そんなことしたら」

「そうとも。そこがいい、そこがらしいっ、おっぱいの熱で温まりやわらかくなったチョコレート。まさに至高のチョコレートだ!」

「まぁ、男の子がバカだってのは理解したわ。で、良介」

「なんだ、リサラ」

「私にそれが出来ると思う? ねぇ、谷間のない、わ・た・し、に!」

「………………寄せて上げても、うん、無理そうだもんなぁ。くっ、人類の叡智が生み出したもう一つの女の子の最終兵器ブラジャーでも、こればっかりは不可能だ。ゼロには何をけても、ゼロなんだよ……」

「っ──りょ、良介ってば、もしかして私にけんを売ってるのかしら?」

「お、落ち着けっ。その殺意のもった視線はやめてくれっ。いつも言ってるじゃないか、無い乳は無い乳なりに味わい深いものだってっ。貧乳はステータスって言葉だってあるくらいだしさ!」

「……カルヌーンプラデュールを呼び出して、サクッとやっちゃおうかしら」

「ちょ、ストップ、ここは平和的に理性的に話し合おう! しにがみかまとかマジで死ぬからっ。ほら、まだシミュレーションは終わってないだろっ」

「シミュレーション……」

「ほら、イリアの場合を想定しようじゃないかっ」

「イリア、あのにせちちしようわるおんなのことなんて考えたくないんだけど」

「いやいや、イリアだからこそ想定出来ることもある!」

「どういうことよ」

「いやぁ、イリアならなんかこー、ちょっとソレはってのも許されそうだし……えへへへ」

「うわっ、何そのだらしない顔っ」

「えへへへ、いやぁイリアならさ、あいつげんえきグラビアアイドルだし、色々とセーフゾーン大きそうじゃないか」

「よ、ヨダレはやめてよ良介……」

「じゅるっ。ほら、ここはやっぱりはだかエプロンという究極兵器をですね、提案したいわけですよ」

「は、裸にエプロンっ!?

「なんだ知らないのか。人間界の男の子の間では、究極の夢の一つだぞ。確かにその存在が発見されてから、もう長い月日が流れてちん化しているとも言える。だがなリサラっ!」

「は、はいっ」

「裸エプロンは、まだだ、まだ終わらんよ!」

「終わらないって、何がよ」

「いいか、美菜でも言ったが、裸エプロンにはまず谷間があるっ。イリアの胸は、確かに死神の術式によるいつわりのおっぱいだ。本当は水平線だが、この場合はどっちでもいいっ。つまり、リサラ。お前でも可能ってわけだ!」

「どういうことよ」

「ククク、裸エプロンには胸元が開いたメイド服に、未来えいごう作り出すことが出来ないフェチポイントがあるのだよ。うふ、うふふふ」

「うわ、まただらしない顔にっ」

「いいか、横乳だ。それがたとえ、どんな小さなおっぱいでも、横乳は存在するのだよ。そのたわみは、まさにわくのステージだ」

「いや、あのね。私がチョコレートをわたす際の参考でしょ? そんな格好を──」

「それに裸エプロンには、おしりがある。お尻全部見えちゃうんだよ。いや、いやいや、分かってる。それはちょっと行き過ぎな気がしないでもない。そんな時は、パンツは許可しよう」

「許可しようって……」

「うん、ピンクのハートマークがプリントされたパンツなんて、ラブラブっぽくてすごく、凄くイイ!」

「…………」

「そして背中のライン。うなじから背中のラインが、ああぁ、いいかも……ほふぅ」

「良介、念のために一つ聞くわね」

「ん?」

「さっきから、チョコレートが全く出てこないんだけど」

「ククク、分かってないなリサラ。俺がそんなミスをおかすと思うか?」

「ヘェ、ソウデスカ」

「おう。裸エプロンの良さをしっかりと演出するチョコレートの渡し方は、前だ。こし辺りのエプロンを左右に広げて、その間にチョコレートを置くわけだ。すると、するとどうなるか、分かるかリサラ!」

「ワカラナイワネ」

「エプロンの下が持ち上がって、その、その男がだって追い求め続けたエルドラドが、三角地帯が、見えるか見えないかになる可能性がある。ふとももデルタ地帯がだ! イリアだと、あいつ意外にお尻大きいし太腿が太いから、なかなかの絶景だと思うんだ!」

「イリアね。なるほど、イリアならそれもいいかも知れないわね」

「だろだろ?」

「はぁ、でもね良介。聞かせてもらって悪いけど、全然参考にならないんだけど……」

「はっはっは、最初からそう言ったじゃないか」

「うう、流石さすがは生きる力がエッチなこころなだけあるわね……。甘く見てたな」

「しっかしなぁ、リサラがチョコレートって言われても」

「何よ」

「なーんか、お前がチョコレートを渡すってシチュエーションそのものが思いつかないんだよなぁ」

「どうせ可愛かわいげがないとか言いたいんでしょ?」

「いや、そーいうわけじゃなくて。うーん、分からない。なーんか頭のどっかでき止められている感じだ。く、そこはちゃんと考えないとダメなんじゃないか、俺っ」

「ちょっと、そんなしんけんに考え込まないでもいいわよ。しかも、それって考えつくイコール、私のエッチな姿をもうそうしてるってことでしょっ。そういうのは、お願いしてないからっ」

「いやっ、エロすけの名にかけて……」

ほこらないでよっ、そんなあだ名っ」

「ううん、うーん。やはりあしかっ。脚はちゃんと見せるべきだ。リサラの脚はいいものだっ」

「ちょ、ちょっと」

「そうだよな。するとだ、やはり付け根からアピールすべきだ。といって下半身パンツってのはじようちよに欠ける」

「そんな格好しないわよっ」

「水着……競泳水着、そうだ。ワイシャツに競泳水着だ」

「なっ、何よ、そのずかしい格好!」

「で、玉座にこしけて高圧的に男を見下ろして、脚を組むわけだ。かしずく男からは、座ったお尻と太腿が見えるっ。おお、すでにこれでごほう!」

「や、やだっ、なんて妄想してんのよっ、こら良介!」

「そのつまさきには板チョコだよ。足ではさんだ板チョコを、男は口で食べるわけだっ。おおおぉ、燃えるっ、これは燃えるぞっ!」

「……良介ぇ」

「フフ、貴方あなたには脚で十分よね。さあ、ありがたくチョコレートを食べなさい。くぅぅ、俺ならビクンビクンするね! 鼻血ものだね! ん、いやでも……」

「ふぅ、もういいわ。やっぱり、良介のエッチなたましいは、吸い取っておいた方が世の中の女の子のためってことよね」

「なーんか、俺じゃないヤツにってのは、なんかいやだぞ……。うん、やっぱりそうじゃなくて、ここはもっとつうの──って、リ、リサラさん?」

「《折れたけんグラム》よ。リサラ・レストールの名において目覚めなさい!」

「ちょっと待てっ、ちがうっ、今のはやっぱ無しで、リサラにはそーじゃないのをっ」

「何が、そーじゃないのよっ」

「今の妄想はなしっ。リサラにはやっぱり、あーいうエッチな方向ではないのが似合うっ。もっとせいなのがいいと改心したんだよ!」

「あら、そうなの? ふうん、清楚ね。良介、なかなか分かってるじゃない」

「お、おう。ちょっと地味だけどさ」

「地味って?」

「学校の人気のない所に呼び出して、ハート型のチョコレートを無言で押しつけるとか……。チョコにキスしてからだと、ちょっとやり過ぎな気がして嫌だけど」

「ふ、ふうん……なんかその、それはそれで、かえって恥ずかしいわね」

「まーでも、男が喜ぶったら、そんなところだと思うぞ、うん」

「ふうん、それもそうかもね。ありがと、良介。参考になったわ!」

「お、おう。って、じようげんで行っちまった。しっかし、リサラがバレンタインデーにチョコレートね。だれに渡すんだ、ううん……」


「良介、悪いわね、校舎裏なんかに呼び出したりして」

「わざわざ何だよ、リサラ。用事あるなら家でいいじゃん。なんで学校でわざわざ呼び出すんだよ。はっ、さては果たし状とか?」

「違うわよっ。その……」

「なんだよ、改まって」

「チュッ ん……」

「え、チョ、チョコレートだとぉぉぉぉっ!! リ、リサラが俺にっ、え、ええと、え、どういうつもりだよ!」

「ど、どうって、昨日良介が言った通りの作法にしたつもりだけど……」

「いや、そうじゃなくてっ、なんで俺にチョコレートなんだよっ! お、お前っ、意味分かってんのか?」

「お世話になっている男の子にあげる日でしょ、美菜はそう言ってたわよ。え、ち、違うの?」

「美菜、恥ずかしくなってしたな……。違うぞ、リサラ」

「どういうこと?」

「バレンタインデーは、女の子が好きな男の子にチョコレートを渡す日だ。つまり、告白だ」

「──っ!」

「うん、まぁ、俺の人生初のチョコレートだ。これは、ありがたく頂こう」

「ちょっ、ちょっと良介っ、返しなさいっ。返しなさい!」

「いやだねぇ。リサラがわざわざキスまでしたチョコレート、ありがたく頂くね!」

「だから、違うっての、間違えただけだからぁぁっ!」

「しかしなぁ、それなら地味なのではなくて、最初の爪先にチョコレートを押し続けるんだった。そうすりゃ、いまごろリサラの太腿の奥をのぞけたのに……って、あれ、リサラさん? 何をそんなこわい顔で見てるんですか?」

「フフ、フフフ、人からチョコレートをだまし取ったあげくに、そーいう妄想をするわけね」

「いや、騙し取ったって、お前の一方的なかんちがいだろっ」

「ええいっ、問答無用っ。《折れた剣グラム》よっ。リサラ・レストールの名において目覚めなさい!!

「ちょ、ちょっとやめてっ、エッチな心吸い取られるのは、いやぁぁっ」

「もうおそいわよっ。《グラム》、この私にかきいだいた魂をささげなさい!」

「い、いやぁぁぁっ、俺のエッチな魂を吸い取らないでぇぇぇぇっ。あ、ああぁぁ……」

「ま、チョコレートでも食べて、少しでも回復すればいいんじゃないの」

「え、これ食べていいの?」

「し、仕方ないでしょっ。好きとかそーいうのじゃないけど、色々とめいわくかけてるんだし。だから、ええと、そ、そうよ、少しは感謝してるってだけよっ」

「は、はぁ」

「ああもうっ、私の手作りなんだから、妄想なんかにじやされてないで、しっかり味わいなさい!」

「お、おう……。じゃあ、頂きます」

「ええ、どうぞ。でも……うーん」

「ん、どこ行くんだよ」

「なんか目の前で食べられると、照れるのよっ。先に教室にもどってるわ」

「そんなもんか? ん……しいな、これ」

「ふふっ、私の手作りなんだから当然でしょ

「あ、行っちまった。しかし、しばらく興奮出来ない代わりが、このチョコレートか。ま、これはこれで良しかな、もぐもぐ……しかし、これ、なんか照れるな、おい!」




「リサラ、どうしたの顔赤いよ?」

「み、美菜っ。な、なんでもないわよっ。そのあの、うう、チョコレートにキスは、キスはやり過ぎたわ……」

「リサラ?」

「ま、でも。美味しいって言ってくれたから、いっか。ふふ