~腹黒室長、腹黒少女に親近感を憶える~


「そんな原因で、キュール・ゼリアは裸になったんですか」

 イリアの話を聞き終わったマルベックが、何ともみような顔をした。

「どうしたのぉ?」

「いや、まぁ、かわいそうはかわいそうですけど、ごう自得な気もして」

「ま、それはそうね。死神界のクスリを安易に使う辺り、キュールちゃんもまだまだ未熟よねぇ」

 そう言いながら、イリアは目を閉じてキュールの顔を思いかべた。

 ウエーブのかったくりいろの髪を持つお人形のような可愛かわいらしい少女の死神で、リサラの従妹いとこだが──その性格は、かなりひねくれている。

「どうしたんですか?」

 マルベックの声で、イリアは目を開いた。

「なんというか、キュールちゃんには少し親近感があるのよねぇ」

「室長が他人に親近感ってっ、そんなっ、どんなせきですか!」

 おおぎようおどろいたマルベックをにらみ付けてから、イリアは軽くため息をいた。

「イリアだって色々と思うところはあるんだからね」

「はぁ」

 まだ信じられないという顔をマルベックがしているが、イリアは無視して話を続けた。

「キュールちゃんは、レストール家の一員だけど格落ちのゼリア家じゃない。元々、人間界に来たのだってリサラをあとり候補からとすためだったんでしょ?」

「らしいですね。リサラさんをだまして人間界に送り出したはいいものの、作戦に失敗して自分も人間界にいる羽目になったとか」

「そうそう。そういうリサラを蹴落とそうとする姿勢が、こう、なんだか親近感がくのよねぇ」

「なるほど……腹黒いところも、ちょっと似てますしね」

 深く頷いたマルベックに、イリアはニッコリと微笑ほほえんだ。

だれが腹黒いですってぇ?」

「え、あ、ち、違いますってっ。ええとその、室長のはずるがしこいっていうか、ええと、そのキュールさんみたいに、ちゆうはんで失敗しないというか失敗しても、あきらめない図太さがあるっていうか」

「……それ、どこもめてないわよね」

「え、あれ……そうですか?」

「はぁぁぁ、ま、いいわ。でも、この時のリサラとりようすけくんの関係って、それほど進んではなさそうよねぇ」

「うーん、確かにそうですね。でも逆に、進んでるのが分かるってことも、なかなかないような」

 マルベックがそう言ってから、ふと思いついた疑問を口にした。

「もしクリスマスが来たら、どんな感じなんですかね」

「リサラと良介くんが?」

「ええ」

「……そうね」

 イリアは、脳内にリサラと良介達を思い浮かべてみた。

 あの連中がクリスマスを過ごすとしたならば……。