「んぅっ……だ、だめ
リサラ・レストールが押し殺した声で
だがそれは仕方ないことだった。
二人は今、この夏の
外の気温は三十度を
「だ、だから、そんなに、んぅっ……だめ、背筋は汗が流れる、んっ……から」
リサラの顔は耳まで紅潮してしまっている。
「いやでもさ、
普段なら大喜びで、どこを触ろうか考えるが……今の良介には、そういった健全な青い
「あ、汗は触られたく……ないの」
「良介の、んっ、生きる力を早く回復させないと、あんっ、大変なことになっちゃうから、だから、んっ、お、お
※ ※ ※
「キュール、食事中に本を読むのはやめなさいよ。
朝ご飯の
そんなリサラの前に座り
「あら、勉強熱心と言って欲しいところですわ。お姉様のせいで、死神学校に行けてないんですもの、教科書程度は読んでおかないと」
本を閉じようともせずに、キュールが答えた。左手に本を持って、その内容に目を走らせながら、右手でトーストを口に運んでいる。
「行儀の前に、お前だけだぞまだ食べてるの」
この場で
「もぐもぐ、むしゃむしゃ、もぐもがもぐ……ごくん。何か言いまして?」
半ば
「無理矢理飲み込んで
「言われてみれば新しい服よね。この私が、コンビニ下着で
「そんなお金を持ち出しているなら、もっと
キュールがリサラの問いに答えて、
「お前な、そーいう下らない理由で生きる力を吸い取るなよな。お前らが俺達から霊力を補給しないといけないのは知ってるけどさ、リサラに生きる力を吸い取られるたび俺なんか、なんつーか、何もかもが
「あら、良介さんのはどーせエッチな心なんだから、いいじゃありませんか。世の中の女の子のために、お姉様にはもっと吸い取ってもらいたいくらいですわ」
そのキュールの言葉に、良介はドンッと食卓を
「
熱弁を
「そうだとも、俺は安心安全な良心的スケベなんだっ。だからもっと暖かい目で見てください!」
立ち上がり
「キュール、参考書だけじゃなくてアイテムまで取り寄せたの?」
リサラはキュールが横に積んでいた書類を手に取って、
「よくこっちに持ち込めたわね」
あきれ顔を
「ええ。死神界からコッソリと持ち込むルートは押さえてますから」
「何のアイテムだか知らないけど、注意して使うのよ。人間界だと正常作動しないものもあるし」
「はいはい、分かってますわよ」
リサラの注意に、キュールが適当に相づちを打つ。いかにも適当そうに、だ。その様子にリサラは少し
「良介、学校に行く準備してて。私は片付けを五分で終えるから」
そう言ってリサラは流しに向かった。
「準備っても終わってるしなぁ」
「良介さん、ちょっとよろしい?」
声を
「この
特異者、一人で
「あのな。リサラに死神界のアイテムには注意しろって言われたばかりだろ」
「シーッ。声が大きいですわ。お姉様に気が付かれてしまいますわ」
口に人差し指をあてたキュールが、チラリと流しを見る。
「キュールもそうですけど、早く特異者を捜し出したくはありませんの?」
特異者が見つかるイコール、リサラが霊力補給を受けるべく良介の生きる力が存在する魂の奥底にぶっ
「でもよ、その錠剤、信用出来るのかよ」
「もちろんですわ。説明書に、どこでも使用可能って書いてありますもの」
イマイチ信用出来ない理由と共に、キュールは錠剤を強引に良介の手に
※ ※ ※
「結局受け取っちまったけど、どうするよ、これ」
授業開始前のざわついた朝の教室で良介は、手の平にのせた錠剤を見つめた。キュールを疑う心と特異者を見つけたい心がせめぎ合うこと、もう五分だ。
「ええい、ままよ!」
意を決して、一錠を口に
「…………」
特に何も変わらないと思った
「ぶわっ!?」
良介は
(
教室中の人間が
(な、なんだこれ……)
授業開始
数秒
(いやいや、やっぱり勝手に見るのは良心的スケベとしては……。それにだ、ただで裸を見るなんて、それは
とか思いつつも、指の間を
(どう考えてもこれ、キュールに貰った錠剤のせいだよな)
そう思い当たっても、強い霊力を視認出来るはずの錠剤が、どうして
そう
「どうかしたの、良介?」
「いやちょっと──」
良介は反射的に振り返ってしまい、小首を
「あれ?」
キョトンとリサラを見る。
「なによ?」
「…………あれぇ」
リサラがちゃんと服を着ている。いつも通りの姿だ。不思議な気持ちと残念な気持ちが、良介の中で入り交じる。
「何よ、私のことじっと見たりして」
その問いには答えずに、良介はそっと周囲を見た。
「──っ」
やっぱり裸だった。どうやらキュールに貰った錠剤の効果が切れた訳ではないらしい。リサラの制服だけが透視出来ていないのだ。
問い、リサラの制服と
答え、霊力で生成しました。
「そうか、お前のって霊力で生み出した制服だもんな。霊力の
「あのね、私が
リサラが声を潜めて
(キュールの
良介は心の中で毒づいて、ゴンッと机に額を打ち付けた。
とにかく効果時間が一時間という言葉を信じて、授業を乗り切るしかない。ずっと
(しかも一時間目は、期末テストもない死神
良介は授業開始のベルを聞きながら、そう固く決意した。
だがしかし……世の中そうは甘くない。テストがないとはいえ、授業は授業なのだ。
「加賀良介くん、そこの居眠りしてる加賀良介くん」
授業を担当するメルロー人生保障の死神マルベックに、いきなり名指しされてしまう。それでも良介は、名指しを無視して必死に机にしがみつく。何しろマルベックはバスト九十を
「加賀良介くんっ、起きなさい!」
どんどん声が近づいてくる。なかなか起きない良介に
「起きなさい!」
ポカンと教科書で頭を叩かれてしまう。それも二度も三度もだ。
「うう……」
観念して良介は、じっと机を見つめながら立ち上がった。
「先生をちゃんと見なさい!」
「いや、そう言われても、これには海より深いわけが……」
「ああもう、シャキッとしなさいっ」
「はい!」
