乱闘が終わってからは用意されていたご馳走と酒がいつも通りに振る舞われ、乱闘の遺恨は残さずに集まった皆は飲み食いしていた。

 ただ問題としては五人に増えた根津長老の誰が本人なのか、乱闘の最中で混ざってしまってまったく判別がつかなくなったことだが。誰もが本人だと主張していた。

「俺様が本物だ!」

「黙れ、偽物めぇぇ!」

「ふっ……やれやれ、そうやって焦って主張するのは自信がない証拠ネヅ~」

「あっこいつ個性的な語尾で自我を確立させようとしてやがる!」

「こうなれば公平に投票で決めて偽物を吊るせ! はーい俺様占い師コール!」

 などと言い争いを始めた。家族も見分けがつかない。どうしたものかと九子に視線を向けられたので、

「じゃあこうしよう。長年あやつの影武者になっておった苦労をねぎらって、偽物の方は己れのおっぱい揉んでいいぞ」

「はい! はい! 俺様偽物でぇぇっす!」

「俺様も俺様も!」

「きええええ! 俺様こそが真の偽物!」

「どけどけえ! 偽物の中の偽物とは俺様のことよ!」

「偽物が本物に勝てる瞬間……来たじゃあねえか!」

 五人全員が自分は偽物だと主張して、本物の根津長老は公式に消滅したという。



 助平で馬鹿で気の良い友人らと、酒を飲んで笑う天狗の日々はまだ続いている。