あとがき



 いきなりですが、TS作品(特に男が女になるやつ)って個人的に恋愛が重要だと思うんですよね。

 体が変化! 周囲の反応も変化! 本人の意識や行動も変化! それによって他者との付き合いが生まれ、やがて生じる新たな人間関係。

 そんで大別するとTS美少女は二つの方向性を見せます。

 つまり、男時代の意識が強いため、普通に恋愛対象を他の女に向ける肉体的百合。

 或いは、男の精神が肉体によって変質し、男を好きになってしまう精神的BL。

 案外どちらが好みかという問題は根が深く、片方に拒否感を抱く読者も多いらしい。

 割りと戦争になりかねない話題なんですが、あとがきなんて分別のついた読者しか読まないだろうと思うので個人的な趣味を話すと、作者はどっちかといえばTS美少女は男になびいて欲しいですね。読んでりゃわかるか。RE江戸を。

 なんでかって、男の精神を持ったままだと百合じゃない気がして。

 おねショタのエロ漫画だったのに、お姉さんが精神操作を掛けられて誤認させられていて、実はショタは種付けおじさんだった、みたいなジャンル違い感が。まあ、個人的な好みの問題なんですけれど。

 というわけでTS百合は少女を騙しているような感じが。え? 男は騙していいのかって? いいだろ男なんて騙されても(暴論)。


 元男がドキドキしながら女子更衣室や女湯に入る程度はセーフというか欲しい描写ではあります。いやまあ……うちの九子は羞恥心が少ないな……普通に男女両方と風呂に入ってなんとも思っていないわ。 

 これでもTS前の少年形態に比べると色気を出している方です。なにせ男状態だと、ダルそう、働かない、不能で性欲がゼロなため、女から好かれてもさっぱり進展しませんでした(ウェブ版)。最終的に複数嫁持つようになりましたが流されてのことです。

 精神が元男なのに男と付き合ったら精神的にホモだろという意見も聞きます。

 今はいい時代(かどうかは諸説ある)なので、精神的ホモがどうのと言われたら「差別か?」と返せばなにも問題はありません。本当に? いや知らないけど。

 まあ、そんなこんなで九子はこの巻だけで何人フラグ立ててるんだ。

 更にはモブ忍びたちのもコナを掛けて……一冊でここまであちこちの男にフラグ立てに行くヒロインもそう居ない気がするぞ。

 しかしながら感情としては恋愛ではなく、単に若い男をからかっているだけなのが邪悪なメスガキですね。

 今後、誰とくっつくのかくっつかないのかは不明瞭です。恋愛ジャンルって複数のルートで誰とくっつくかわからない状態なのが一番好き。メタ視点で勝ち目が薄いサブヒロインが頑張るのも好き。ただ流されてサブヒロインと付き合い出したもののやっぱり違うな…って別れたのちに正ヒロインに流れる男は死んだ方がいい。

 

では恒例の新キャラ解説というか駄弁り。


 雨次について。

 少年キャラです。ミニ新井白石な感じ。人嫌いで偏屈で僻みっぽい上に夜鷹の子と中々マイナス方面な属性ですが、顔はいいです。性根もまあ悪い子じゃないです。

 幼馴染の小唄、お遊にドロドロのヤンデレ依存されて惨殺される運命を背負う少年でしたが、おねショタ名誉大臣である九子と早めに出会ってしまったのでこじれるのかこじれないのか。

 こっちの世界でも二人からバッチリ好かれていることは好かれています。ちなみに小唄は雨次の顔がいいので一目惚れというミーハー。イケメンに弱い。

 カップリングというと原作のウェブ版では五人の女キャラが九郎の嫁になったわけですが、とするとRE版だと五人も旦那候補が消えた子が発生しているという。(一人は未登場ですが)

 それこそ九子が考えている「男連中に嫁でも探してやるか」という話でくっつけられ……いや、作者はラブコメで、最終的に主人公とヒロインがくっついた後の描写で余ったサブヒロインが適当なキャラとくっつく展開が大嫌いです。じゃあどうするんだ。

 あとウェブ版だと影兵衛に嫁、利悟に幼馴染がいたけど今は忘れて欲しい。


 お遊について。

 少年少女泥沼恋愛チームの一人です。RE版だと小唄が割りと家業手伝いとバイトで忙しいので、最近は雨次独占でした。

 とはいえ農家の子供で夏場なんてファッキン忙しいので遊ぶ時間はそう多くありませんけれども。

 のんびりマイペースなアホの子っぽいですけど実は頭は良い方です。色々考えていますが、表に出さないのです。

 基本的に愛想はよく人嫌いをしないタイプですが、逆に嫌われてもなんとも思わないため、雨次と遊ぶことで他の子供からハブられても平気です。

 直接的にイジメに来る子供も居たようですが、反撃として蛇とか蛙とか投げつけます。

 助屋のバイトなどもそつなくこなし、特に計算能力が優れていて大人顔負けです。

 

 お歌夢について。

 雨次の母親です。色々と狂っています。狂っているけど美人という設定が、やっとイラストによって意味を持ちました。ちなみにまだ二十代なので若々しいのは当然です。

 原作版だと、非常に複雑な裏設定を持つキャラでした。確か。記憶が曖昧だけど。

 彼女はアーカーシャの眼という、未来視ができる特別な目を持つキャラで、それ故に雨次が惨殺されたり江戸が隕石で滅んだりといった破滅を見たせいで頭がおかしくなってしまいました。同じく石燕もその未来視の目を持っていたので(片目ずつ)あー世界滅んだ終了終了みたいな諦めモードだったようです。

 RE版だと石燕は未来視できませんのでアーカーシャの眼設定はボツ。その代わりお歌夢は自己申告していた『丑憑き』、これは予言妖怪『くだん』の霊に取り憑かれました。

 件は人面牛の妖怪で、生まれてからすぐに予言を行うとすぐさま死んでしまうという性質を持ちます。その霊に憑かれたお歌夢は突発的に予知が発生し、その度に心中の如く件の霊に引っ張られて精神が死にかける苦痛が与えられるせいで発狂気味です。

 ただし予知を有効活用する術も身に着け、夜鷹をしても金払いの良い客、病気を持たない客を選ぶことができますし、賭場に行けば胴元のヤクザを怒らせない程度に勝ちまくることが可能です。自分を狙う暴漢は避けるか、逆襲して追い剥ぎもしています。

 突拍子もない行動(歌い出す、踊りだすなど)は乱数調整で運勢を変えるための、本人なりに必要な動きだったりもします。本当にそれが必要かどうかは狂っているために定かではありません。


 鹿屋黒右衛門について。

 薩摩人の商人です。今回は地味でしたが、いろんな物を調達してくれる便利キャラになってくれるかもしれません。 

 変な南蛮渡来品を江戸に登場させる場合、こういった商人がいると話が早いんですね。

 雨次や石燕が付けている耳掛けフレームタイプのメガネは本当にこの時代、一応登場した記録がロンドンに残っています。まあ、ちょっと十年ぐらいは前後するかもしれないけれど……そもそも作中が享保何年か曖昧にしてるから……

 薩摩人でありながら理知的で、江戸で商売をしつつも薩摩藩から無茶ぶりをさせられる苦労人でもあります。

 一応はそこそこ家柄の良い元武士の家系という設定なため、凶暴な薩摩武士にも交渉が可能です。鹿屋氏というのはあの有名な肝付氏の傍流なんですね。有名? だよね? 戦国ゲーとかに出てきて一瞬で島津勢力に飲まれたりするけど……


 外伝について。

 IFストーリーと銘打っているけれどどっかの時系列・次の飲み会などで発生してもおかしくないイベントです。でも一回一回、飲み会の度に書いていたら大変。というわけで九子狙いの乙女ゲースチル的なイベントを一斉にお出しした感じです。

 深く気にせず「あったあった、こういう話」ぐらいに思ってくれれば。なあに、どうせこんなイベント起こしても九子ルート確定するわけじゃありませんよ彼ら。酷い。個人的には甚八丸が一番ギルティ?


現代編に出てきた現代の忍び連中について。

 主に子孫たちですね。甚八丸は確定で子孫が残っているようです。作者の別作品にも根津一族の娘さんが出てきています。

 他のキャラの子孫はいるのかというと、他作品で出てきたか、作者の脳内設定なのかやや怪しいところなんですが雨次の子孫も存在します。確か明治時代にカレーちゃんを拾って暫く一緒に生活をしていた警察官が雨次の子孫設定だった気がする。

 浅右衛門の子孫も山田朝子という名でテレビ会社の女子アナウンサーをやっています。特技は剣道。女子で全国一です。

 利悟の子孫設定もありましたね。女性警察官でロリショタ趣味のヤベーやつです。

 晃之介の子孫は不明ですが、六天流道場は残っていて、『イカれた小鳥』のアサギくんがちょっとだけ通っていたとか言及した覚えが。

 影兵衛はウェブ版の設定だと刺客に嫁と子供を殺されて本人もそのクッソ強い相手と相打ちになって死亡する予定だったけどそこまで書かなかったから子孫設定なかったんだよね。

 九子自身の子孫? うーん……わからん……一応子供は作る能力は……こういうのは明言しないほうがいいと思われる。


 しかしまあ、四巻です。めでたい。前の江戸は三巻で打ち切りでしたからね。

 毎回キャラを増やしてイラストのユウナラさんには若干申し訳ないところありますが、前のやつで出なかったキャラ絵が見たいというのは作者と読者の願いでもありまして。

 キャラ数も増えてきたので一冊の範囲だと、話の方向性によって出番が少ないキャラがいたりもしますが、もうなんか仕方ない部分なのでご勘弁を。前の巻で登場したのに今回、子興と将翁さっぱり出てきてない!

 しかしながらクリフハンガー的に微登場する暗黒面の法師。こいつだけ不穏。花火用火薬の窃盗と最後の牢屋敷爆破も彼の手先による仕業でした。牢屋敷の方は前に捕まった吉原方面の関係者を全員始末して自分の情報を渡さないためです。


 五巻は出るのだろうか。話の流れ的には江戸の治安が悪化して悪党が出しやすくはなった気がしますのでクライムハザード編的な感じになるかしら。

 じゃあ今回はモラルハザード編だったということで……

 ともあれ応援してくれている読者の方々、ありがとうございます。作者がどうにか同人小説だけで食っているというレアな経済状況なのも皆様のおかげです。

 これからもよろしくできたらなあ! あとユウナラさんからもあとがきイラスト貰いましたのでヒャッハー!

 


二〇二四年五月

《あとがき終》