二人を宿に泊めても良かったのだが、子供がいなくなっては騒動になるため九子が夜道をそれぞれの家へと送っていく。

(明日にでも親に礼を渡しに行くか)

 命を助けられたのは確かなのだ。手頃な返礼品を用意したいところだが、この時代で農家へのお返しといえばなにを用意すれば良いかと思案する。

(確か昔話の笠地蔵あたりだと……米俵と餅と野菜と小判とかだったか?)

 そのあたりでいいか、とどんぶり勘定で用意することを決めた。

 お遊は夜に家族を起こしたら怒られるというのでそっと木戸を開けて家に入っていったのを見送り、雨次の住む村外れのあばら家へと向かった。

 そちらは九子も行ったことのない地区だったのだが、雑木林に半ば埋まったようなボロボロの小屋があった。

 見るからに廃屋で、悪党が一夜の宿にでもしていそうなみすぼらしい建物だ。昼間に近くを通っても人が住んでいるとは思わないだろう。