シャルは、申し訳なさそうな表情を向けてくる。

 俺の食べる量が減っているからだろう。

『大丈夫だから、気にしなくていいよ』

『では、こちらを……』

 そう言ってシャルは、俺がエマちゃんに分けた二回分の倍の量を渡してこようとする。

 こんなにもらうと、シャルが全然食べられない。

『いや、さすがにそんなにはもらえないよ』

『ですが……』

『大丈夫大丈夫。もう一杯ラーメンを注文するから』

 見てる感じ、エマちゃんはまだまだ食べられそうだ。

 一杯近く食べそうな勢いなので、それならラーメンをもう一つ注文したほうがいい。

 そうしている間にも、器がからになったエマちゃんが、物欲しそうに俺を見ているわけだし。

『では……』

 シャルは先程よりも量を減らし、俺の器の中に入れてきた。

 普段彼女が食べている量から考えても、適当なものだろう。

『おにいちゃん……』

『うん、器貸してね』

 エマちゃんが俺の顔色をうかがってきたので、笑顔で器を受け取る。

 子供なのだから、えんりよせず食べたらいいんだ。

『はい、どうぞ』

『んっ、ありがと……!』

 エマちゃんはパァッと明るい表情になり、ふぅーふぅーと息を吹きかけながら、ラーメンを食べる。

 俺はその間に、同じトマトラーメンを注文した。

「明人君、いい男すぎるわね……。絶対、いいお父さんになると思うわ」

「はい、本当にそう思います。私にとっては、自慢の弟ですね」

 なんだか、花音さんとソフィアさんが温かい目で俺を見ながら、内緒話をし始めた。

 視線がくすぐったい。

「――ねぇ、あの人が本当に、チームメイトたちをおとしいれた人なの……?」

「そのはずなんだけど……そうは、見えないよね……?」

「うん……。だって、すごく優しそうっていうか……優しいし……」

「もしかして、根も葉もないうわさだったんじゃ……?」

 周りも、俺たちのことをチラチラと見ながら、何か話しているようだ。

 何を言っているかはわからないが、隣に座っているシャルがニコニコ笑顔になったので、多分いいことを言われているんだろう。

 攻撃的な感情を向けられないのなら、それで十分だ。

 ――俺はその後もエマちゃんにラーメンをよそいながら、新しくきたラーメンを食べるのだった。

 なお、エマちゃんは一人前のラーメンを食べきったので、よほど気に入ったんだろう。

 さすがに替え飯は入らないようだったけど、一人前も食べられたのが凄い。

 俺が大好きなものをエマちゃんも気に入ってくれたので、とても嬉しいのだった。