……でも確か、シャルは通販で買う時は代引きではなく、ソフィアさんから渡されているクレジットカードで買っていると言っていた。
クレジットカードの明細を見れば、専門店で物を
「まぁ、買うにしても……ほどほどにね」
結局、ソフィアさんも許してくれたようだ。
ほどほどにって……実際どれくらいの量があったんだろう?
気にはなるが、この流れで聞くことなんてできない。
「あーくん……」
「うん、安心して。誰も責めたりなんてしてないから」
俺は、姉貴分や彼女の母親が見ている前で、涙声で甘えてくるかわいい彼女を甘やかし続けるのだった。
◆
「――ここが、新しい家ですか……」
新居は、俺たちが住んでいたところからさほど遠くなかった。
というか、普通に歩いていける距離だ。
だけど、家は思っていた以上に大きかった。
さすがに豪邸というほどではないが、二階建ての一軒家である。
「お部屋も広いですからね。まずは、明人とシャーロットさんのお部屋に行きましょう」
花音さんは笑顔で案内をしてくれる。
中に入ると、玄関や
その分、部屋が広いようだ。
「――壁をぶち抜いている感じですか?」
他の部屋と比べて俺たちの部屋だけ異常に広く、部屋の形的にも少し
キングサイズと呼ばれていた大きいベッドに、二人分のタンスと一台の大型テレビ。
他にも、俺の身長よりも大きくて横長の
そして押し入れもちゃんとあるにもかかわらず、まだまだスペースに余裕があった。
ちなみに、家具はどれも高級ブランドものっぽいのが揃えられている。
「さすが、察しが良いですね。これだけ広ければ、いちゃつき放題ではありませんか?」
「別に、スペースは関係ないと思いますが……」
ニコッと笑みを向けてきた花音さんに、困ったように笑いながら返す。
だけど、シャルは俺と別の捉え方をしたらしい。
顔を真っ赤に染めて、両頰を手で押さえながら何やら一人悶えていた。
いったい何を想像しているんだろう?
「同人誌によって、想像力が
「まぁまぁ、よろしいではないですか。二人とも知識がないよりは、片方でも知っていたほうがスムーズですよ」
何やらソフィアさんがシャルを見つめながら溜息を吐いたが、花音さんが楽しそうに笑いながらフォローをしている。
あちらはあちらで、いったいなんの話をしているのだろうか?
「元から日本文化に影響されて、漫画やアニメが大好きなのは知っていたけど、いつからああいうのに手を出していたのかしらね?」
「母親として心配になるのはわかりますが、深くお気になさらなくても大丈夫だと思います。結局は明人が相手になるだけですので、あの子ならシャーロットさんにどんなことをされても受け入れますよ」
うん、本当にいったいなんの話をしているんだ……?
花音さんが生暖かい目を向けてきたので、
「――お嬢様の前で
そして、後ろに回り込んできた神楽耶さんに、何か冷たいものを首筋へと当てられる始末。
今の間に、俺が悪かったことは一切ないと思うんだが……?
「
「よろしい」
俺の返事で納得してくれたらしく、神楽耶さんは離れていった。
卒業後は姫柊家に入ることが決まっていても、彼女の俺に対する扱いは変わらない。
一生、このままな気がする。
「あーくん……」
シャルが、クイクイッと俺の服の
見れば、熱っぽい瞳で上目遣いをしてきている。
「どうしたの?」
俺は息を
なんとなく、何を求められているのかわかる気がするが……。
「…………」
シャルは、俺の腕に顔をグリグリと押し付けてくる。
多分先程の妄想で、スイッチが入ってしまったんだろう。
甘えたくて仕方がないようだ。
「……明人、私たちは別のお部屋を見てきますので、少しゆっくりしていてください。お荷物は、まだまだ届きませんからね」
花音さんが優しい笑みを浮かべながら、話しかけてきた。
シャルの様子に気が付いて、二人きりにしてくれるようだ。
引っ越しの荷物は、姫柊家の執事さんたちが持ってきてくれるようなのだけど、どうやらわざと遅らせてくれるらしい。
何から何まで、有難かった。
「それじゃあ、明人君、ロッティー。また後でね」
ソフィアさんも、寝ているエマちゃんを抱えながら笑顔で出ていった。
もちろん、神楽耶さんも二人に続いて部屋を出ていく。
おかげで、この部屋には俺とシャルだけになった。
「あーくん……」
二人きりになれたことで、再度シャルは物欲しそうな顔を向けてきた。
荷造りで離れ離れになっていただけでなく、精神的に参っていたので仕方がない。
「目を
「あっ……はい」
素直で本当にかわいい。
俺はシャルの
「ちゅっ……」
唇を合わせると、シャルのしっとりとした柔らかい唇の感触が伝わってきた。
そして――。
「あむっ……んっ……」
すぐに、シャルは舌を俺の口に入れてきた。
待ちきれなかった――とでも言わんばかりに、グイグイときている。
なんなら、足に踏ん張りを入れないと、シャルに押し倒されそうなくらいだ。
「あーくん……しゅき……」
のぼせているのか、シャルの
目もトロンッとしており、熱があるのかと思うほどに顔も赤い。
そんな姿も、
「うん……俺も、大好きだよ……」
舌を絡ませながらシャルを抱きしめ、優しく頭を
普段消極的なのに、こういう時グイグイとくるギャップは、俺に刺さってしまっていた。
「ぷはっ……はぁ……はぁ……」
息が苦しくなったんだろう。
シャルは口を離し、肩で息をする。
しかし――。
「もういっかい……」
一度で終わる気はないようで、呼吸が整わないうちに俺に口を近付けてきた。
「待って」
「…………」
ストップをかけると、シャルはお預けを喰らった仔犬のような目を向けてくる。
かわいすぎて頭がおかしくなりそうだ。
「立ったままだとしんどいから、いったん座ろうよ」
そう言って腰を屈め、シャルの背中と足に手を回す。
そして――ゆっくりと、抱き上げた。
いわゆる、お姫様抱っこだ。
前にした時の反応で、シャルがこれを喜んでくれるのは既にわかっている。
「あーくん……困ります……」
だけど、シャルの反応は俺が思っていたものとは違った。
「えっ……?」
「こんなことされたら、気持ちが抑えられなくなっちゃいます……」
「…………」
なるほど、言わんとすることはわかる。
わかるんだけど――既に、ストッパーは
「誰も見ていないから、気にしなくていいよ」
ツッコミたい言葉はグッと呑み込み、シャルを抱き上げたままベッドへと腰を下ろす。
横向きになっているシャルは、ベッドに足を下ろし、俺の首に手を回してきた。
そして――。
「んむっ……ちゅっ」
先程と同じように、舌を絡ませてくる。
キス魔の彼女は、俺が許した以上もう止まらないかもしれない。
俺も、花音さんたちから声をかけられるまで、やめるつもりはなかった。
せっかくの
花音さんたちならドアノックをしてくれるだろうし、前みたいにキスに没頭していなければ気付けるはず。
そう思って、シャルとキスを続けていたのだけど――
『――おにいちゃん、どこぉおおおおお!』
目を覚まして俺とシャルがいないことに気付いたエマちゃんが、涙目で飛び込んできたのだった。
……なるほど、こうきたか。