プロローグ



 ひめらぎ家から二人きりで帰宅した後。

 俺とシャルは、食事や風呂を済ませ、ソファにくっついて座っていた。

 エマちゃんは、ソフィアさんがホテルに連れていったので、ここにはいない。

 正直、のんさんとソフィアさんにフレンチキスしているところを見られたのはかなり恥ずかしかったが、こうしてすぐに解放してくれたのは幸いだった。

 おかげで、いじられずに済んだ。


「それでは、寝ますか……?」


 シャルは、ほおをほんのりと赤く染め、熱を秘めて潤んだ瞳を俺に向けてくる。

 何かを期待している――ように、見えてしまった。

「うん、布団に行こう」

 手をつないだまま、俺はシャルに笑顔を向ける。

 布団は既に敷いているので、寝室に向かうと――。

「結婚、はしていませんが……婚約者になりましたので、新婚初夜なのでしょうか……?」

 シャルが、とんでもない爆弾を放り込んできた。

 いや、もうその言い方って……。

 俺はバクバクと激しく鼓動する胸を手で押さえながら、気をしっかりと持つ。

 このままいつものように流されるわけにはいかない。

 もうすぐクリスマスで、シャルの誕生日なんだ。

 一生の思い出になるように、ちゃんとそこでしたい。

「新婚じゃないから、違うね……」

 かわのどからなんとかその言葉を引き出す。

 すると――。

「…………」

 シャルは、シュンと落ち込んでしまった。

 それだけではなく、ニギニギと手を握ってきたり、サスサスと俺の手を擦ってきたりと、無言のアピールをしてくる。可哀かわいそうでありながら、とてもかわいい行動なのだけど――俺はグッと我慢をして、クリスマスイヴを待つのだった。