エピローグ (カルロ視点)
帝立歌劇団の皇宮公演が終わり、カルロはマリーと分かれて大広間に繋がる部屋に待機していた。
二時間に
主演のミッシェル・ダンの演技も素晴らしかったが、その
「ミッシェル・ダンの演技すごかったですわね! 前評判で演技に定評があることは存じていましたけれど、あんなに華のある女優さんだとは思っていませんでしたわ!」
「あら、あれはドレスの力も大きいですわよ。あんなに綺麗なシルエットのスカートなんて見たことありませんもの!」
「私も目を奪われましたわ! どこの仕立屋が作ったものなのでしょうね! 私も同じものが欲しいですわ~」
舞台で使われたドレスは見事で、
多くの貴族がライラのドレスについて話題にしているから、これからマリーは仕立屋の仕事が忙しくなるだろう。
(
マリーが好きな仕事をすることは
(それにしても……あの時のマリーの目、輝いて綺麗だったな……)
隣で舞台を
先ほどまでマリーと一緒に観劇していたが、今は彼女は
マリーは仕立屋の女主人と、皇太子の
いま彼女は、仕立屋の女主人としてミッシェルのいる控室に向かっているのだ。
(ずっと一緒にいて欲しいけれど、それはできない……)
待つのは苦痛ではないが、やはりそばにいて欲しいと思う。
身代わりを立てて皇太子を
だから彼女がカルロを信頼して打ち明けてくれる日まで、カルロもマリーの正体に気付いていない振りをするつもりだ。
(身代わりのことをマリーに
それをそれとなく伝えるべきなのか、迷っていた。どうさりげなく教えれば良いのかも難しいことだが。
――けれど、カルロ自身もこの身代わりが終わることに
もしも正直にマリーが
だが、その後のマリーの行動が読めない。
もしマリーが、ただの身代わりの
――それはどうしても看過できなかった。
それなら、ずっと偽者のマリアのままでいてくれた方が良い。
(どうか僕から
マリーといると、時折、理性が
(マリー、君は僕のものだ)
婚約者が偽者なことに気付かない振りをして、カルロもまた、
(だから、どうか今のままの『マリア』でいてくれ)
その時、マリーが部屋に入ってきてカルロの姿を見つけて近付いてきた。
「お待たせしてしまいましたか?」
急いできたのか、彼女は少し息が上がっている。その姿が色っぽかった。
カルロは柔らかく首を振る。
「いいえ、今来たばかりです」
「……本当に?」
「……君のためなら、いくらでも待ちますよ」
それが本音だ。
この十年だって、ずっとマリーを求めて
――マリーが自分のものになるまで、あと少しくらい時間がかかっても構わない。
そして二人で広間の中で踊りながら、パーティの夜は