
それから二日後の水曜日。看護師の母は夜勤、営業職の父は出張という絶好のタイミングで俺の家に三人が集まることになった。
なんてこった……美少女を三人も家に招くことになるなんて……。
いーやこれはチャンスだぞ俺よ。この機会を存分に
とにかく、ちょっとでも怪しい動きがあれば徹底マーク。これくらいはやろう。
集合は午後五時半。しかし、五時丁度にうちの家のインターホンが鳴った。
「バフッ! バフッ!」
「ほら、
インターホンの音に警戒するメグは恵麻が叱り、インターホンは俺が出る。
「はーい?」
『私、
「あ、うん。今開ける」
玄関扉を開けると、胡桃がいつものエコバッグを持って立っていた。私服姿の胡桃。白のTシャツにベージュのニットカーディガン。下は黒のショーパンだ。……なんでこの家の距離でオシャレしてきたんだろう。怪しい、脳内メモに書いておこう。
「……よっ」
「いらっしゃい。……時間より早くない?」
「え? あぁ、えと……ほ、ほら私は料理の準備があるから」
「あぁ、そっか……まあ上がってよ」
「あ、うん……お邪魔します」
うん、俺のことが好きだから一分でも早く的なあれだな、これ。これもメモ。
胡桃が入ってくるなり、メグがはしゃいで胡桃の足元に駆け出す。
「やーんメグちゃーん♪ こんにちは~♪」
胡桃はすぐにメグを抱き上げた。相変わらずメグの前では普段とのギャップがえぐい。胡桃がいつもこんな感じなら平和なのにな。
「胡桃ちゃんいらっしゃい!」
「恵麻ちゃん! ごめんね、急に!」
「ううん! 私も楽しみにしてたから! 早速作る? 準備手伝うよ!」
「ううん、気にしないで! すぐできるしゆっくりしてて!」
ピロピロピロ……。
「え……まだ全然時間じゃないけどな……」
このタイミングでまたインターホンが鳴った。家の前ではなく、ロビーのオートロックの方の音だ。
「バフッ! バフッ!」
「こら! メグ!」
「へへへ~、
胡桃はメグを下ろしてキッチンに入り、俺はインターホンに出た。
「は、はい!
画面の向こうでそわそわと辺りを見渡していたのは
『た、竹内でしゅ!』
「た、竹内さん! 今開けるね!」
『ひゃい!』
ほどなくして竹内さんが家に到着した。竹内さんも私服姿だ。
白のワンピースにブラウンのニットベストを合わせた秋コーデ。竹内さんらしいふわふわした装いがよく似合っている。
「い、いらっしゃい!」
「お、お邪魔します……!」
「今日ありがとね、来てくれて」
「こ、こちらこそお招きいただき……」
「ちょっと早かったね」
「お、遅れるわけにはいかないと思って! あ、ごめん迷惑だった?」
「ううん、全然!」
はい、俺のことが好きだから一分でも早く的なあれね。メモ。
居間に案内すると、メグを抱えた
「い、妹さんですか?」
「はい!
「い、いえいえ、ご丁寧にどうも……! おぉ、ワンちゃん……! な、
「はい! ぜひ!」
「
「あ、胡桃ちゃん! やっほ! 準備? 手伝おうか?」
「ううん、大丈夫! ゆっくりしてて!」
そしてほんの数分後。
ピロピロピロ……。
「バフッ! バフバフッ!」
「こらメグ!」
メグが鳴くのも本日三回目。
『先輩のオキニの後輩、舞原です♪』
自分で言っちゃった。
「あ、うん……上がって……」
『ありがとうございます♪』
舞原さんも当然私服姿。カラシ色のニットにデニムのオーバーサイズジャケット。それとセットアップっぽいデニムのスカートを
「舞原さん、早いね……」
「すみません、迷惑でしたか?」
「あ、大丈夫。ていうか既に……」
そして舞原さんは、うちのリビングに上がるなり、なぜかげんなりする。
「なんでみんないるの……せっかく早く来たのにあたしが最後だなんて……」
「舞原さん、お久しぶりです!」
「げ、
舞原さんは、恵麻の登場に若干顔を
「今日は楽しんでってくださいね!」
「お、お手柔らかに」
予定より早く全員
わからんよ。わからんよもう。なんでいっつもこういうことがもれなく全員に起こるんだ。比較のしようがないじゃないか。ああもうダメだ。こういうの一個一個拾ってくのはキリがなさそうだ。ホントに怪しいことだけ気にするようにしよう。