「
「んぐぁ!?」
結局日が昇り始めるまで寝付けなかった僕がようやくうとうとし始めた頃だった。
僕を呼ぶ声と共に、
「ぐおおぉ……」
痛みと驚きで声にならない。
「
「うほおおおおおおおおおおおおおおおおおおい!」
寝ぼけ
僕を『彰ちゃん』と呼んだ時点で確認するまでもなく、僕に馬乗りしていたのはリサ。
僕が避けたせいでリサはつっぷすように枕に顔をうずめたが、すぐに顔を上げつまらなそうに顔を
「もー逃げなくてもいいじゃない。照れ屋さんなんだから♪」
「いやいやいや! 照れたんじゃないよ!」
寝こみを襲われて恐怖を感じたんだよ!
「ていうか、え? なんでリサがここに?」
目は覚めつつも、頭はまだ覚めていない。
僕が状況を整理できずにそう
「私も
「リサも?」
「うん。だけど私はお仕事でどうしても抜けられなかったから、一日遅れで駆け付けたんだ。本当は今日の夕方までかかるはずだったんだけど、早く彰ちゃんに会いたかったからカメラマンさんにお願いして徹夜で終わらせてきたの♪」
「そうなんだ……いやだからって、なにもこんな起こし方しなくてもさ」
「瑞穂さんから教えてもらったの。こうすれば起きるって」
やっぱりかああああああああああああああああああああ!
「会いたかったよ──彰ちゃん♪」
心の中で
「──!?」
瞬間、僕の胸に柔らかな感触が広がった。
おっぱいの柔らかさを感じながら起きるなんて、最高の寝覚めじゃないか。いっそこのまま僕の顔をうずめて欲しい。おっぱいに包まれて死ねるなら窒息死でも本望だ。
いや、それは無茶なお願いか……いくら柔らかすぎるとはいえサイズが──柔らかすぎる?
「ちょっと待って!」
思わずリサの肩を
「なんでノーブラなんだよ!」
「えへ♪」
リサは首回りを大きく開けたホルタ─ネックのキャミソールにシンプルなショートパンツスタイル。
だけど、キャミソール越しに触るおっぱいはあまりにも柔らかすぎていて、ノーブラなのは疑う余地もない。
確かにおっぱいは柔らかい。だけど、レースや
つまり、服の上から触るおっぱいはおっぱいにあらず。やっぱり触るなら直だよね!
「彰ちゃんはノーブラの方が好みだと思って」
「大正解! 気を利かせてくれてありがとう──じゃなくて、そうじゃなくてさ!」
リサのサービスに乗りかけて踏み
「いくら胸が小さかろうともノーブラなんて百害あって一利なし! 今すぐ着けて!」
「なに? 私の胸を心配してくれてるの?」
「あたりまえだろ!」
別にリサのおっぱいに限った話じゃなかったんだけど。
「彰ちゃんてばやさしー♪ 大好きー♪」
リサはまた僕に抱き付いた。さっきよりスキンシップが激しい。
「はあ……」
思わず
リサは冗談めいた感じで言うけれど、それが冗談でないことはわかっていた。
あの日以来──そう、リサが妹のアリスとして参加し、偽乳疑惑を見事
最初は驚いたし、僕らの関係がどうなるのかと不安を感じたりもした。
でも、僕らの関係は何一つ変わることなく続いている。
再会してからの──いや、再会する前の、それこそ小学校時代からの僕とリサの関係が続いているのだ。
正直それは、凄く不思議だった。僕は恋愛に
もちろん僕が返事を返すことができていないからというのも理由だろう。それでも、今まで僕が見てきた友達たちの恋愛では、こんな関係が続くことなんてなかったんだ。
「さ、彰ちゃん起きて。起きてくれたら私もブラ着けてくる」
「いや……できればもう少し寝かせて欲しい。ぜんぜん寝てないんだ」
「私に会えなくて寂しくて寝れなかった?」
「いや、そうじゃなくて……」
そんなことを言ったら
「我慢して起きよ。夏は待ってくれないんだよ。それに、起きたら彰ちゃんが凄く喜ぶことが待ってるからさ♪」
「僕が凄く喜ぶこと?」
「うん。だから早く起きて……」
先程までと一転して、リサは慈愛顔で僕を見つめながら
なんだこのアプローチの緩急は。ドキッとしてしまった。
ゆっくりした所作に、今までのように反射的にかわせない僕。
その時だった──。
「
背筋が凍りついた。
聞きなれたその声の持ち主が誰かなんて確認するまでもない。
「羽織……さん……」
壊れたブリキ人形みたいにガクガクと首を揺らしながら顔を向けた先──目にした状況の理解が追いついていないのか? 羽織さんはしばらくきょとんとした表情を浮かべた後。
「……」
無感情の冷たい笑みを浮かべた。
「待って羽織さん! 違うんだ! まだなにもしてないんだ!」
「そーだよねー♪ 今からするんだよねー♪」
なんて言いながら、リサは着ていたキャミソールを脱ぎ出そうとする。
「ちょっと待って! なんで裸になろうとするのさ!?」
慌ててリサの服を摑んで元に戻す僕と、それでも服を脱ごうとするリサ。そんな押し問答を繰り返す中、僕を見捨てるように羽織さんは部屋を後にした。
完全に誤解をされたような気がする……泣きたい。
