エピローグ 〜ベルゼンストック市〜
──あぁ、着いてしまった。目の前には四角い真っ白な建物が並ぶ、地中海沿岸部によく似た街がある。
街に入る前に、道中考えていた事を実行しないと……。
「やっと着きましたね」
「……そうですね」
ここでレーナさんとお別れか……なんだか寂しい、出来るのならもっと彼女と一緒に遊びたい。
「元気がないですが、どうかしましたか?」
言え、言うんだ僕……!
「あ、えっと……」
こんな時にも陰キャムーヴしてるんじゃないよ!! さっさと言えよキモオタク!!
「あ、あの! えっと、ぼ、僕と……」
「? なんですか?」
落ち着け、深呼吸だ……ほらスゥー、ハアー……ダメだな手が震える。心なしかゲームなのに手汗までジットリと出てきた気がする……。
彼女との最初の出会いは最悪だった。舌を掴まれながら口に短刀を突っ込まれて脅されたし、強引に最前線を連れ回されるし。でも──
「僕と……その、あの……」
「……?」
──それでも彼女との冒険は楽しかった。彼女に知識を披露するのは気持ち良かったし、彼女の気遣いがすごく嬉しかった。恐ろしいところも多いけど、意外と子供っぽい無邪気な一面があって、異性に対して微妙に無防備なところが目を離せない……そしてなにより──
「──ぼ、僕はあなた自身を見てきて、友達になりたいと思いました!」
「……」
言った! 言ってやった! 一度言葉にするともう止まらない。
「怖いし、強引なところもあるけど、子供っぽいところや知りたがりなところとか好ましく思います! 短時間しか一緒に居れてませんけど……」
「……」
「ですから、僕と友達に……具体的に……フレンド登録してください!」
言い切った……もう悔いはない。さっきから彼女が黙ってるのが怖いけど……引かれちゃったかな? こんな陰キャキモオタクがなに舞い上がっちゃってるのとか思われてないかな? もし断られても潔く諦め──
「……別に構いませんよ」
「──っ?! い、いいんですか?!」
「えぇ、そもそもこの街にいる間は色々と教えて貰おうかと思ってましたし」
「!! あ、ありがとうございます! 精一杯ご教授させて頂きます!!」
──やった!! フレンド登録して貰えた!! しかもこの街で過ごす間だけだけどまだ一緒に彼女と遊べる!!
「……それに私自身を見てくれたみたいですしね」
彼女のその一言で僕は冷や水を浴びせられた気分になる。
ど、どうしよう……傍から見たらさっきの完全に告白みたいじゃないですか━━━!!!!! 僕のバカ━━━━!!!!
頭を抱えながら自身の仕出かした事によって生まれた羞恥心に悶えていると──
「私は友達とか初めてなのでちゃんと教えてくださいね?」
──彼女の初めて? もうその一言で瞬時に立ち直れた僕は、割かし単純だなと自分でも思う。
「ふふ、私自身を見てくれようとしたのは母以外では初めてですよ……」
それにどうやら彼女はあれを告白とは受け取らなかったらしい。それが残念なような良かったような複雑な気分にさせられるが、元々異性に対して微妙に無防備だし、超がつく天然疑惑あるし、当然の結果だなと冷静な自分が言う。
「これからよろしくお願いしますね、ユウさん」
「えぇ、こちらこそレーナさん」
まぁ、彼女が楽しそうに笑ってるし、僕自身もまだ自分の気持ちがなんなのか完全には把握してないから、今はこれでいいかな?