第八章 北の地下通路


 さてクーデターが終わってから一夜が明けました。次の街を目指す前に戦果を確認しましょう。

 まず私のステータスから、その次に山田さん達ですね。


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名前:レーナ 性別:女

種族:人間 Lv.39

状態:憑依《影山さん》

カルマ値:181《悪》

クラス:暗殺者 セカンドクラス:テイマー

SP:35


スキル欄

『短剣術Lv.MAX』『短剣術・王Lv.11』『投擲Lv.MAX』『投岩Lv.14』『歩行Lv.43』『軽業Lv.34』『調薬Lv.MAX』『超薬Lv.2』『不意打ちLv.45』『テイムLv.39』『偽装Lv.37』『看破Lv.34』『交友Lv.29』『窃盗Lv.MAX』『大泥棒Lv.8』『跳躍Lv.MAX』『空蹴Lv.9』『回避Lv.MAX』『縮地Lv.12』『体術Lv.MAX』『体術・王Lv.17』『暗殺術Lv.43』『致命の一撃Lv.51』『フェイントLv.36』『逃走Lv.MAX』『脱兎Lv.17』『変声Lv.27』『変装Lv.24』『曲芸Lv.21』『鼓舞Lv.MAX』『御旗Lv.8』『統率Lv.MAX』『総締Lv.8』『指揮Lv.MAX』『命令Lv.9』『物理耐性Lv.27』『魔術耐性Lv.27』『身体状態異常耐性Lv.32』『精神状態異常耐性Lv.32』『暗視Lv.24』『隠密Lv.34』『消音行動Lv.36』『気配察知Lv.MAX』『気配全知Lv.5』『危険感知Lv.MAX』『危険全知Lv.7』『聞き耳Lv.MAX』『見切りLv.28』『受け流しLv.27』『解体Lv.MAX』『解剖Lv.27』『心眼Lv.2』『火属性耐性Lv.7』『毒耐性Lv.5』『斬撃耐性Lv.5』


称号欄

ジャイアントキリング:自身よりレベルが20以上の格上を倒した者の証。格上と戦闘時与ダメージ上昇《微小》被ダメージ減少《微小》

初めての人殺し:この世界で初めて人を殺した者の証。人類種に対する与ダメージ上昇《微小》

大胆不敵:普通は躊躇する事を実行した者の証。恐怖耐性上昇《微小》魅了耐性上昇《微小》混乱耐性上昇《微小》

虐殺者:短時間で大多数の殺人を成した者の証。一度に敵対する相手が多いほどAGIに上昇補正《最大150%》人類種限定

外道:人道に外れた行いをした者の証。カルマ値が上がりづらくなり下がりやすくなる

略奪者:一定以上の人数から一定回数以上の略奪行為をした者の証。略奪系スキルの成功率上昇《微小》

犯罪者:街の中で法を犯した者の証。正規の手段で街に入れなくなる

神敵:秩序の陣営に宣戦布告またはそれに類する行いをした者の証。カルマ値《善》の敵への与ダメージ上昇《小》カルマ値《善》の敵からの被ダメージ上昇《小》

指名手配・神殿:神殿から指名手配された者の証。現在の賞金額3500万G

無慈悲:情け容赦ない者の証。クリティカル率上昇《小》

人種キラー:人類種を500人以上殺傷した者の証。人類種に対する与ダメージ上昇《中》人類種からの被ダメージ減少《中》

人類の天敵:人類種を1000人以上殺傷した者の証。人類種に対する与ダメージ上昇《大》人類種からの被ダメージ減少《大》

英雄殺し:カルマ値150以上の重要NPCを殺害した者の証。全ステータス上昇《小》カルマ値《善》の敵への与ダメージ上昇《中》カルマ値《善》の敵からの被ダメージ上昇《中》

屍山血河:人の屍で山を築き、人の血で河を作った者の証。全ステータス上昇《小》一度に敵対する相手が多いほどSTRとVITに上昇補正《最大75%》人類種限定


装備

武器:緋炎の小太刀《憑依・山田さん》

体:爆炎獅子の上着

鎧:そうえんの軽鎧《憑依・井上さん》

腕:技師のグローブ

下半身:夜空のレギンス

靴:疾風のブーツ

アクセサリー

・夜空の外套《憑依・麻布さん》

・至高神のロザリオ《憑依・三田さん》

・剛力の指輪

・銀狼のベルト

・対魔の腕輪

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 何気に『始まりの街』の指名手配が無くなり神殿からの賞金額が上がってますね……。

 まぁいいです。全体的に強化され、上着と鎧は騎士団長さんの死体から剥ぎ取った物で、領主さんのお抱えの職人さんに闇色のマントと大空の外套で夜空の外套へと合成強化し、力の指輪を剛力の指輪に強化して貰いました。

「お次は山田さん達ですよ」

『『!!』』

 ふふ、心なしかソワソワしてますね? では見てみましょう、これが進化した山田さん達です!!


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名前:山田さん

種族:リビングデッド・ハイデスソード Lv.1

状態:憑依


スキル欄

『浮遊Lv.17』『暗視Lv.29』『自己修復Lv.34』『武具憑依Lv.36』『切断強化Lv.MAX』『切断激化Lv.7』『精神状態異常無効Lv.』『どくまといLv.2』『致命の一撃Lv.7』『闇魔術Lv.19』『火魔術Lv.17』『火属性耐性Lv.8』


称号欄

レーナの従魔:レーナの従魔となった証。主人から受けるバフの効果が上昇《小》

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名前:影山さん

種族:ダークネス・シャドウ Lv.1

状態:憑依


スキル欄

『影潜りLv.34』『影移動Lv.31』『隠密Lv.24』『暗視Lv.18』『不意打ちLv.36』『闇魔術Lv.MAX』『暗黒魔術Lv.2』『魔術強化Lv.MAX』『魔術激化Lv.4』『精神状態異常無効Lv.』『影操作Lv.4』『付与魔術Lv.5』『火属性耐性Lv.8』


称号欄

レーナの従魔:レーナの従魔となった証。主人から受けるバフの効果が上昇《小》

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名前:麻布さん

種族:ボレアス・ファントムマント Lv.1

状態:憑依

『浮遊Lv.28』『暗視Lv.24』『防具憑依Lv.36』『風魔術Lv.MAX』『暴風魔術Lv.3』『闇魔術Lv.28』『魔術強化Lv.MAX』『魔術激化Lv.4』『精神状態異常無効Lv.』『気配察知Lv.11』『危険感知Lv.14』『警戒Lv.21』『遠見Lv.12』『火属性耐性Lv.8』


称号欄

レーナの従魔:レーナの従魔となった証。主人から受けるバフの効果が上昇《小》

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名前:三田さん

種族:グレーター・ミミック Lv.1

状態:憑依

『擬態Lv.34』『暗視Lv.19』『隠蔽Lv.35』『宝物憑依Lv.36』『光魔術Lv.MAX』『光輝魔術Lv.4』『幻影魔術Lv.28』『魔術強化Lv.MAX』『魔術激化Lv.4』『精神状態異常無効Lv.』『付与魔術Lv.5』『結界魔術Lv.4』『火属性耐性Lv.8』


称号欄

レーナの従魔:レーナの従魔となった証。主人から受けるバフの効果が上昇《小》

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名前:井上さん

種族:ダークネス・リビングアーマー Lv.1

状態:憑依


『歩行Lv.34』『暗視Lv.19』『剣術Lv.MAX』『剣術・王Lv.3』『防具憑依Lv.36』『筋力強化Lv.MAX』『筋力激化Lv.7』『耐久強化Lv.MAX』『耐久激化Lv.3』『防御力強化Lv.MAX』『防御力激化Lv.3』『精神状態異常無効Lv.』『連携Lv.12』『防御術Lv.14』『体術Lv.8』『闇魔術Lv.4』『付与魔術Lv.2』『火属性耐性Lv.8』


称号欄

レーナの従魔:レーナの従魔となった証。主人から受けるバフの効果が上昇《小》

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「皆さん強くなりましたね!」

『──!』

『ヴゥ!』

『……! (バッサバッサ!)』

『がァ!』

『イィ!』

 皆さん誇らしげですね? 特に私を含めて全員が『火属性耐性』を得ているのを見るに、やはり騎士団長さんは強かったのだと再認識しました。

 自分で言うのもアレですがよく勝てましたね?

「さて、ステータス確認が終わったところで街の確認をしましょう」

 まだ一夜が明けたばかりですけど、次の街に行く準備をするついでにクーデターの影響の確認などもしていきましょう。


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 複数の詰め所を爆破して貴族街の方で三桁の兵士達を屠ったにしては、そこまで治安は悪くなってなさそうですね。

 それもそのはず、そもそも『始まりの街』の裏社会を牛耳るムーンライト・ファミリーが悪人の統制をしてますからね。普通ならこういう混乱に乗じて暗躍する側が抑えてますからさもありなんといったところでしょうか? 第一──

「おら! 大人しくしろ!」

「ハンネス、先に突っ走るなって!」

「そうよ、捕まえたからいいけどあんまり先に行かないで」

「す、すまん……」

 ──プレイヤー達が私の後追いらしき悪役ロールをするプレイヤーを、連携して仕留めて回っているようですからね。次の街が解放されてそこに人が流れるまでしばらくは大丈夫でしょう。

 騒ぐプレイヤー達を尻目にその場を後にして、今度はNPCの屋台で聞き込みをしてみます。

「おじさん、これ一つくださいな」

「あいよ、少し待ってな」

 なにやら美味おいしそうな香りのする串焼きを一本購入し、それとなく聞き取りを開始します。

「昨日はすごかったですよね」

「……あぁ、アレな。領主様の発表だと後継者争いだってんだから嫌になるよな」

「そうだったんですか?」

「あぁ、なんでも領主様の隠し子が居たらしくてな。半月前に起こった大事件を未だに解決出来ない領主様とその息子に不満を持ったのと、もともと認知されない現状に嫌気が差したんだと」

「へぇ?」

 どうやら一般人は領主の公表を信じているようですね。これから報告が行く中央政府はどうかわかりませんが……まぁほとんど信用しないでしょう。

「でもまさかアレクセイ様が負けるとは思わなかったな」

「ビックリしましたよね」

「あぁ、あの人が領主様になってくれるなら次の世代も安泰だと思ったんだけどねぇ? これからどうなるのやら……」

 まぁ、不安は大きいようですね、当たり前ですけども。それはこれからのエレンさんの働きに期待ですね。

「はいよ、熱いから気を付けな」

「ありがとう存じます、では」

「あぁ、また来てくれよ!」

 そう言って串焼きを片手に街を歩きながら考えます。ぶっちゃけ指名手配されたから面倒が云々はどうでもよくて、楽しそうだから今回のクーデターを起こしただけなんですよねぇ……あれですよ、カブトムシとクワガタムシのどっちが勝つか、みたいな。

 今回は私の勝ちでしたし、楽しかったのでいいのですが、この街でこれ以上楽しくて愉しい事などそうそう起こらなそうなのが残念です。

「……本格的に攻略を進めますか」

 まずは在庫の減った薬品類を作成して、従魔達と連携の再確認……これに三日間くらいかけてから次の街を目指して出発ですね。


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 さて、クーデターから四日経った今日、いよいよ攻略再開です。

 思えばこのゲームのストーリーや本筋を無視してきてましたからね、ここらで真面目に攻略しましょう。

 目指すは地下墳墓のボスの間の奥から行ける地下通路を通って、内海を挟んだ向こう側の陸地にある『ベルゼンストック市』です。

「……内海の下を通る地下通路なんて、この文明レベルでどうやって造ったんでしょうね?」

 ゲームにリアルさを求めても仕方ないのですが、他の要素があまりに現実に酷似しているので気になるんですよね……設定なんかを調べたらちゃんとした理由は出てきそうですが。


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 地下墳墓のボスの間から奥へ行き、『ベルゼンストック市』に行くための地下通路に入ってから三日が経ち、今日も五時間近く経過しています。

「うーん……」

 やはり上に海があるからか湿気がすごいですね。ここでは火薬玉の効力も弱そうです。

「まぁ、それならそれで他にやりようはあるのですが……」

 ジメジメして薄暗いですし、なによりからか水が漏れてたまにぬかるんでいて歩きづらいですよね……『歩行』スキルを取得しておいて本当に良かったです。戦闘中にバランス崩したら目も当てられません。

 散発的に襲ってくるワイルドバット──デカいこうもり──と、どこからか紛れ込んだのでしょうか? シースネーク──水魔術を放ってくる大蛇──などを斬り捨てながら進んでいますが、全然進んでる気がしませんね。

「……また下り階段ですか」

 さっきからずっと下り続けているんですよね。途中で上り続ける事になるのではないかと思いますが、下りてもまったく周囲の景色は変わらず、空気が重くなるばかりでうんざりします。

「……おや?」

 通算五回目の下り階段を下りて、半ば諦めながら変わらぬ景色を確信していたところで、ガラッと雰囲気が変わりましたね?

 天井は高く周囲をさんと蒼い水晶が埋めつくし、柔らかい光を放っているため見通しもいいです。

「なにより空気が美味しいです」

 ゲームなのに空気が美味しいというのもおかしな話ですが……それはともかくやっと生じた変化に内心ウキウキとしていると、それが視界に飛び込んできました。


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BOSSエネミー

種族:海神の尖兵 Lv.35

状態:普通

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 なにやら三又の槍を握り、こちらを睨みつけてくる魚の配分が多めの半魚人、モンスターでいうサハギンなどに近い緑色のうろこのモンスターですね。

「……そうですよね、ボスですよね」

 ずっと同じような景色からいきなりガラッと変わったのですから予想してしかるべきでした。しかしながら理解は出来ても先ほどまでのワクワク感が無くなった事には納得出来ません。

 その不満を半ば八つ当たり気味にぶつけるようにして、長さ二〇センチほどの毒針を数本投擲して先制攻撃します。

『ジャっ!』

 手にしていた三又の槍でほとんど弾かれましたが、二本ほど肩に刺さりましたね、まぁそれもあんまりつうようを感じさせてなさそうですけど。

「フッ!」

『ジジっ!』

 接近し逆手に持った短刀を上から振り下ろす。槍のいしづきで弾かれましたがそのまま柄で顎を殴り付けます。

『グァッ!』

 そのまま足払いを掛け、後ろへと倒れ込んだ相手の腹に肘を振り下ろし、膝で腰を蹴り上げて、また一時期的に浮いたところを回し蹴りで吹き飛ばします。ついでに毒針の投擲で追撃もしましょう。

『ジィイッ!!

 立ち上がりふんの形相で相手が槍を下段に構え突進してくるのを、あえて前進し短刀を添える事で薙ぎ払いを阻止しながら相手に接近します。

 しかし相手がそれをさせまいと槍を戻す挙動をしたのでその場で静止し、槍のさきに短刀を引っ掛けそのまま強引に引き寄せます。

『ジィッ?!

 前のめりになった相手の鳩尾みぞおちにつま先をめり込ませ、手首を左手で掴みとりそのまま吹き飛ぶのを押さえ、顔面に右拳を二、三回叩き込みながら股間を蹴り上げます。

『──っ?!?!!』

 ……どうやら雄だったようですね。そのままもう一回蹴り上げてから短刀で斬りつけますが、寸前で回避され水魔術の《水刃》を放たれたので距離を取り、同時にガラス片を投擲します。

『ジジィッ?!

 予想通り、全体的に青っぽく柔らかい光が水晶に反射されるこの場では、咄嗟に小さなガラス片を視認する事が出来なかったようで、相手の片目を潰す事に成功しました。

 毒針を再度投擲しながら突っ込んでいき、近づくのを阻止せんと放たれる槍の一撃を、膝を曲げスウェーバックで避けます。

 目の前をスレスレで通り抜けていく槍を見ながら滑り込み、そのまま相手の股下から脚を斬りつけながら通り抜けていきます。

『ジャアッ?!

 全体的に濡れてるこの場はよく滑るので利用出来ますが、今後気を付けようと半ば思考しつつすぐさま反転し、うなじから首を刺し貫きます──が前に転がられて避けられます。

『ググゥ……』

 さすがにこちらを警戒し睨み据える相手に向かって、通常の煙玉を投げ付けて視界を奪い、『空蹴』スキルで空を駆け、死角である頭上から落下攻撃を敢行します。

『ジィッ?!

 寸前に気付かれましたがもう遅いです。そのまま相手の額に短刀が呑み込まれていきます。ダメ押しでそのまま体重を掛けて地面に叩き付けておきましょう。

『ジ……イィ……』

 ……まだ少し息があったようなので短刀を倒し、捻りを加えます。


《レベルが上がりました》

《スキルポイントを獲得しました》

《既存のスキルのレベルが上がりました》

《水鏡の間のボス討伐報酬としてSPを5獲得しました》


 毒が効いてくる前に倒せましたね。手間がないですが新作の毒の効果がわからずじまいでした、残念です。

 それにどうやら初攻略ではないようです。別に構いませんが他のプレイヤーの方と途中で遭遇する可能性がありそうですね。

「とりあえず少し休憩してから先に進みましょう」

 ボスを倒した後、安全地帯となったその場で一旦ログアウトします。


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「なるほどぉ?」

 ログインしてボスの間から先に進む事しばらく、どこからか海水が漏れていたらいずれ水没するのでは? いっそ怖いくらいリアルなこのゲームの事ですからなにか原因があるのではと調べていたところ、海水が溜まるとあの蒼い水晶になるようです。

 なので一番下層にあったボスの間はあれほど煌びやかだったと……。

「……はい、そうでございます」

 という事を、3日前にすれ違って捕まえたプレイヤーを脅し……もとい質問して聞き出したところです。どうやら彼は検証班という人種らしいですね。

「どうして、ここにジェノサイダーが……いや、別におかしくはないけど……」

「……なにか問題が?」

「──っ! い、いえ! なんでもありません!!

 なにやらブツブツと呟いていたので質問しただけなのですが変にかしこまられてしまいましたね。というよりジェノサイダーってなんでしょう? 誰かと勘違いしてませんかね?

「……あのぉ? そろそろ解放して貰えは……」

「便利なのでこのままついてきてください」

「あ、ハイ」

 なにやら色々詳しいようですからね。彼が調べてきた事を、この際ですから絞れるだけ絞りきってしまいましょう。

 私は他のプレイヤーとの交流がまったくないので、こういう機会は貴重ですよ。


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「それで今向かっている『ベルゼンストック市』についての情報は終わりです……」

「なるほど、ありがとう存じます」

 今目指している『ベルゼンストック市』は『始まりの街』側とは違い、港になる入り江がいくつもあり、それにより海路を使った交易が盛んで色んな品々が溢れる海運都市であるそうです。

 それこそ世界中から様々な物品が集まり、それこそ人すら商品として扱われ、それが高じて奴隷都市でもあるという事でした。

「奴隷が民の生活を支えてるんですねぇ……」

「えぇ、その通りです。荷物運びなどの力仕事や下水道の清掃などの、必要だけども誰もやりたがらない仕事は全て奴隷にさせています」

 奴隷はどうやら合法・非合法問わないそうで、奴隷が主人に反抗するのは日常茶飯事だったそうですが、今の領主に代わってからは奴隷に対する締め付けがさらに厳しくなり、それまで保証されていた最低限の衣食住どころか命すら危うく、『死んでしまったのならまた持ってくればいいじゃない』という状況だそうです。

 ですが奴隷という労働力をさくしゅしているおかげで一段と栄え、富裕層などの中流階級以上の民からの支持は厚いようです。

「……あの、ジェノサイダーさん」

「……それ、私の事なんですか?」

 さっきから誰の事かと思いましたらどうやら私の事みたいですね?

「え、知らないんですか? プレイヤーの間では有名人ですよ?!

「……そうなんですね。ですが私はジェノサイダーという名前ではありません」

 なぜジェノサイダーなどと……まぁ、大体察しはつきますがね。どう考えても街中でPKしまくったとかそんな理由でしょう。

「では、なんと呼べば……」

「私の名前はレーナですので、そう呼んでください」

「えっ?! じゃあ地下墳墓を初攻略したあのふざけたパーティー名の──」

「──舌と喉、どちらを切り裂かれたいですか?」

 なにやら聞き捨てならない暴言が聞こえたので、口に短刀を突っ込み顔を近づけ選択を迫ります。

「……ふひぃまふぇんへしひゃ」

「……まぁ、いいでしょう」

 今まで色々教えてくれてましたし、今回は見逃してあげましょう……。

「ゲホッゲボ……こ、怖かった……」

 この人いちいち大袈裟ですね? 見てて面白いからいいですが、毎回こんな感じなんですかね?

「……って、レーナ? どこかで聞いた事あるような?」

「? 初攻略のパーティー名では?」

「あ、いえそうではなくリアルで……」

「まぁ、そんな珍しい名前ではないですから気にする事ないのでは?」

「……よく見ればレーナさんの顔もどこかで? (ブツブツ)」

なにやら考え込んで小声でブツブツ言ってますね……まったく聞き取れませんが、興味ないので放っておきましょう。