あとがき
初めまして。泉きよらかと申します。
この度は「祖父母をたずねて家出兄弟二人旅」第一巻をお手に取っていただき、誠にありがとうございます。
初めて書いた物語を多くの方に愛していただき、書籍出版のご縁にまで恵まれました。本当に、感謝が尽きません。
私が読書を好きになったのは、小学校五年生の時です。
当時のクラスメイトに「この本、面白いから貸してあげる」と勧められたのが、青木和雄氏・著「ハッピーバースデー 命かがやく瞬間」でした。今でもはっきりと覚えています。一生分泣いて、勇気と元気と活力をもらった作品です。
それから私はどっぷりと活字の海に浸かり、いつしか「本の虫」なんて揶揄されるほどの読書好きになっていました。
自然と将来は小説家や司書、出版社の編集者も良いな、と夢見る子どもでした。
そんな私も順当に大人になり、忙しく働く日々のなか、ある時少しだけ時間に余裕ができたのです。
その時にふと「小説、書いてみようかな」と思いついて書き始めたのが、「祖父母をたずねて家出兄弟二人旅」でした。
書くテーマは、あまり考えずとも決まりました。
読書好きになったきっかけである作品から「家族」や「児童養護」の観点を取り入れて、物語を書きたいと思ったのです。
なので、初期案は「育児放棄の母に育てられる。母の情人から暴力を振るわれ、命の危険を感じた兄弟は逃げ出す」という内容でした。
ただ、さすがに暴力表現は控えて、もっとファンタジーらしく……とブラッシュアップした結果、本作が生まれたのです。(担当さまにも顔合わせの際に同じことをお話ししたところ、変えてよかったですねという反応でした)
そんな始まりなので、本作は「なろう系」でありながら、俺TUEEEのようなチートは出てきません。
「ランキングのほかの作品と比べて派手さがなく、テンプレ感も薄めで毛色が少し違う」と感想をいただいて、「言い得て妙だな」と思ったくらいです。
本作の主人公・ルイは、周囲の大人にしっかり頼ることのできる賢いお兄ちゃんです。
それは、私が「子どもは大人を頼って良い。甘えて良い。迷惑を掛けてなんぼ」というメッセージを伝えたかったから、でもあります。
そうして、いつか真っ当に大人に成長した姿を見せる。それだけで十分恩返しになると思います。
そういった意味では、この作品は私からの恩返しでもあるのです。
最後に。書籍の出版にあたり、関わってくださった皆さまに心より御礼を申し上げます。
真っ先に「書籍化しませんか?」と声を掛けてくださったTOブックスさま・担当さま・そのほか校正などに携わった関係者の皆さま。
丁寧で細やかなサポートをありがとうございました。おかげさまで、とても素敵な書籍に仕上がりました。
また、イラストを手掛けてくださった蓮深ふみ先生。
こだわりをたくさん叶えてくださったうえ、提案までしていただき、そのクリエイティビティの高さには本当に脱帽しました。
さらに、数多ある物語のなか、本作を見つけてくださった読者の皆さま。
温かい感想や応援のコメントに、いつも励まされました。ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます。
そして、八月三日に空の向こうに旅立った母へ。この本は娘が書いたのだと、そちらで自慢してくれて良いからね。
泉 きよらか 九拝