異世界生活157日目
勇者たちとの交流から一夜明け、村は普段どおりの生活に戻っている。彼らが村に住めば別だろうけど、今はせいぜい、良き隣人くらいに思っているはずだ。
獣人たちの日本人に対する感情は、多かれ少なかれ、あまり良いものではない。が、勇者たちのことは私からも説明してある。少なくとも、街の日本人と一括りにすることはないだろう。
と、そんな今日は、ルドルグの建築現場を訪れている。既に基礎工事が始まっており、周りには建材を運ぶ人たちの姿が──。
「ルドルグ、調子はどうだい?」
「なんだ長か。やっと落ち着いてきたぞ。今日から村の連中の家を建てる予定だ」
「おおー。ってことは、木材の準備も?」
「バッチリだ。量は揃ってるし、乾燥状態も申し分ない!」
今までに建てた家は、乾燥が不十分な木材を使用していた。収縮によりひび割れたり、変形している箇所が多々見受けられる。背に腹は代えられず、最低限必要なものを建てていたのだが……。桜の水魔法でコツコツと水分を抜く日々、ようやく建材に適した木材が揃ったらしい。
「これからバンバン建てていくぞ」と、ルドルグたちは息巻いている。
「どんなものが建つか楽しみだよ」
「おう、期待しとけ!」
しばらく建築班の作業を眺め、今度は鍛冶場のほうへと向かう。と、近づいていくにつれ、
「やあ。みんなの仕事ぶりを覗きに来たぞ」
「あ、村長お疲れー」
「いらっしゃいませー」
「おいお前ら、仮にも村長だぞ。さすがに気さくすぎないか?」
鍛冶場に到着すると、夏希とベリトア、それにベアーズが集まっていた。
「ベアーズさんも大概でしょ。仮にもって、そっちのほうが失礼なんじゃない?」
「あ、いやすまん。でもオレは村長を気遣うつもりで……」
若い女性2人に挟まれ、おっさんのベアーズはたじたじの様子。とはいえ、終始笑顔でやり取りしてるし、職人同士の関係は良好みたいだ。
「それで村長、今日はどうしたんだ? ご所望の品でもあるのか」