15章 交易路の開通
翌日の早朝。たくさんの村人が見送るなか、メリナードたちが街へと向かう。再会は20日後の予定。次回は家族を連れての帰還となるだろう。
「無理して急ぐ必要はないからな。くれぐれも慎重に頼むぞ」
「はい、お
森の中へと消えゆく一行。そんな彼らの後ろ姿に、荷馬車の必要性を強く感じていた。
街まで道がつながれば、馬車を使って3時間。馬の休息を考慮しても、わずか半日足らずで到着できる。土魔法で固めた平坦な道のりだから、馬や荷台の他、尻への負担も少ないはずだ。定期的に利用する以上、交易路の開通は必須条件となるだろう。
──ってなわけで、今日から本格的な作業に取り掛かっていた。
木こりの夫婦はもとより、ダンジョン攻略班も参戦中。総勢16名による開拓は、人力とは思えない速度で進む。むろん私も参加しており、伐根や路面整備に汗を流している。
桜の水魔法で木々をなぎ倒すと、木こりの2人が器用に枝打ち。ラドたちが丸太を担いで集積所まで運び出す。そして、切り株だらけの地面に土魔法を発動。土を柔らかくして、木の根を強引に引き抜いていく。
ちなみにナナシ村から集落までは、約15キロメートルの道のり。これまで50日の期間を要して開通させた。一方、集落から街までも同程度の距離がある。が、この調子で進めば、思いのほか早く終わるだろう。
日暮れ前には作業を切り上げ、大勢で談笑しながら村へと戻る。
「みなさんお帰りなさい。夕食の準備ができていますよ」
「みんなお疲れ。初日にしてはかなり順調だったな」
「でも、往復にかかる時間がもったいないです。明日からは集落に寝泊まりしませんか?」
そう提案したのは桜だ。道が整備されたとはいえ、到着までに2時間はかかる。往復で4時間のロスは確かに効率が悪い。
「桜殿。我らは全く構わないが、村に残る者たちはどうする? 風呂が使えんだろう」
「あ、私はぜんぜん平気ですよ? 水浴びでも問題ないです」
「わたしも大丈夫だよ。開拓優先でいいからね」
ラドの憂いをよそに、椿と夏希はそう返していた。獣人族のみんなにしても、もともと風呂の習慣がないので気にならないようだ。みんなが私を見ながら結論を求める。
「じゃあ、しばらくは集落に泊まろうか。物資は転送できるし、不都合はないだろう」
「では、早めに食事を作りますね。万能倉庫に入れておけば温かいままですし」
「おー、それはありがたいな」
こうして開拓班は、集落で寝泊まりすることとなった。往復にかかる時間の短縮に加えて、食事の準備いらずとなれば、さらなる効率アップは間違いないだろう。
あ、それともう一つ。長期で村を離れるため、斥候の1人は村に残すことにした。思わぬ事件というのは、得てしてこういうときに起こるものだ。