14章 新たな狩り場と村の鉱山
──メリナードたちが村を出て7日後──
伐採を始めてから実に55日。ついに集落までの交易路が開通した。道幅4メートルほどの土舗装が、村に向かって真っすぐ延びている。
期待していたアナウンスだが……。結局、いつまで経っても聞こえてこなかった。道の長さが足りないのか。それとも街までつなげないとダメなのか。いずれにせよ、敷地の拡張計画はお預けのようだ。その代わりと言ってはアレだけど。伐採をしていた兎人の夫婦に『木こり』の職業が発現。『伐採』のスキルを得て、作業スピードは格段に向上している。
そんな私は現在、集落で休憩をしながら、春香と雑談に興じていた。
「なあ春香。戦略ゲーム的にはさ。今後どういう展開が好ましいと思う?」
「えー、どうだろ。街を攻略するつもりはないんだよね?」
「ないない。あくまで領土防衛がメインだよ」
春香はそっと目を閉じて、
「まずやるべきなのは、獣人領への食糧支援かな。戦力は人族に劣るみたいだし、獣人たちは防衛するしかないでしょ。まあ、戦争になればの話だけどね」
「長期戦になると食糧問題がネックだもんな」
「じわじわ押される程度に調整できればさ、困窮者を村に引き込めそうじゃない?」
「あー、確かに。追い込まれた人なら忠誠度も上がりやすそうだな」
獣人領を盾にして人族からの侵略を防止。同時に、疲弊した獣人たちを村に誘い込む。住む場所を失い、飢えに困ったところで、村の芋を餌にする寸法だ。「人道的にそれってどうなの?」と思わなくもないが……。村が
「あ、そうだ。忠誠度と言えばさ。移住者とか難民とか、数値がギリギリで村に入れない、なんて人が出てくると思うんだよね」
「今までも何人かいたな。だけど、基準を下げる気はないぞ?」
「そこはいいのよ。ただ、そういう人を逃すのはもったいないって話。村の様子を見ているうちに忠誠度が上がるかもよ?」
村の安全性を理解すれば、確かに忠誠度は上がると思う。けど、村の外で何日も生活させるのはどうなんだろう。
「まあ言いたいことはわかるけど、何か妙案でもあるのか?」
「例えばだけど。村の敷地外に宿泊所を建てたらどう? そこにしばらく住まわせるの」
「でもそれって、いろいろと危険じゃないか?」
「敷地外で村人にすれば問題ないわよ。忠誠度はわたしが鑑定するし、殺意がある人は
「なるほど。人数さえ把握しとけば事故も起きないか」
「そのへんはわたしに任せて。というより、わたし以外に適任者はいないっしょ!」
「そりゃあ違いない。じゃあ、ルドルグに宿泊所のことを伝えとくよ」
村に戻ったあとは、夕飯がてら交易路開通を祝う。兎人族にとっては、集落を完全に取り戻した形となるわけだ。その喜びもひとしおで、大いに
そんななか、私もみんなを
「知ってのとおり、明日からはオーク狩りに専念する。苦手な者もいるだろうが、できるだけ参加してほしい」
メリー商会から連絡が来るのは早くて2週間後。交渉がまとまればいいけれど、最悪、議会が攻め込んでくる可能性もある。村にいれば安全だが、できる限りレベルを上げておきたい。
「でも啓介さん。そうなると狩り場が足りませんよ」
そう言ったのは桜だ。彼女曰く、東の森の結界を延長してほしいそうだ。今のままだと獲物が足りず、十分な狩りができないらしい。戦闘職だけならまだしも、村人全員となれば話は別。狩り場の延長は必要だと言い切った。
「……わかった。できるだけ延ばそう」
拡張できる敷地が減るので少し迷ったが、レベルが低いせいで村人が死んでは本末転倒だ。狩り場を増やし、村人全体の強化を優先することに。どうやら桜たちも、オークが相手だとレベルが上がりにくいそうだ。「結界を延ばして新たな狩り場を開拓したい」と、口々に言っていた。
〈107日目現在のステータス〉
啓介Lv26 職業:村長 ナナシ村 ☆☆☆
ユニークスキル 村Lv7(36/500)『村長権限』『範囲指定』『追放指定』『能力模倣』『閲覧』『徴収』『物資転送』
村ボーナス ☆豊かな土壌 ☆☆万能な倉庫 ☆☆☆女神信仰
桜 Lv30 村人:忠誠98 職業:魔法使い スキル:水魔法Lv4
椿 Lv15 村人:忠誠98 職業:農民 スキル:農耕Lv4
冬也 Lv30 村人:忠誠95 職業:剣士 スキル:剣術Lv4
夏希 Lv14 村人:忠誠92 職業:細工師 スキル:細工Lv4
春香 Lv29 村人:忠誠95 職業:鑑定士 スキル:鑑定Lv4
秋穂 Lv28 村人:忠誠89 職業:治癒士 スキル:治癒魔法Lv4
ロア Lv24 村人:忠誠88 職業:魔法使い スキル:土魔法Lv4
ラド Lv19 村人:忠誠96 職業:戦士 スキル:身体強化Lv2
ルドルグ Lv14 村人:忠誠90 職業:建築士 スキル:建築Lv2
ベリトア Lv10 村人:忠誠84 職業:鍛冶師 スキル:鍛冶Lv3