異世界生活100日目

 翌日の早朝。メリナードたちが街へと戻っていった。

 議会との交渉や他商会との調整など、諸々もろもろを処理するのに、最低でも20日はかかるそうだ。もし途中で不都合があれば、商会から伝令が来るようになっている。こっちにできることはないので、しばらくは気長に待つしかない。

 一方、村ではその間、住居の建築と交易路の開拓を進めることになった。まずは20人程度が住める長屋を2棟、西の居住区に建設する。それが終わり次第、一軒家を順次建てていく予定だ。村の道路整備を含め、ルドルグとロアを中心に任せている。

 そんななか、私も交易路作りに参加中。地中に残った切り株の根をせっせと除去していた。今日の伐採班は、春香と戦士の兎人2名。そしてまだ職業に就いていない兎人の6人編成だ。

 春香が力任せに木を切り倒し、兎人2人が枝打ちをする。次に私の土魔法で、残った切り株の周りを陥没させる。と、最後は戦士2人が根を切って、森へと放り投げていった。

「村長、これはただの疑問なんですが」

「ん、どうした?」

「村長のスキルで敷地を拡張しちゃえば、交易路なんてアッと言う間にできません?」

 除根作業をしていた1人が、何の気なしにそんなことを聞いてきた。

「まあ、そうなんだけどさ。どうしても躊躇ちゅうちょしちゃうんだよね」

「というと、何か理由があるんですか?」

 確かに結界化すれば楽なんだけど、いかんせん、余っている拡張分は残り少ない。さすがに使い切るわけにもいかず、悩みの種となっていた。ただ、今までの傾向を見ると、次のスキルアップで敷地が拡張できるはず。「集落まで開通すれば、もしかして能力解放があるかも?」と、ひそかに期待しているところだった。

「なるほど。まあ、道が通れば楽になるし、無駄にはならんですよ」

「すまんな。あと少しだから頑張ってくれ」

 次の敷地拡張が解放されれば、相当な広さを確保できるだろう。そうなれば、街への交易路の他、南の海へ向かって拡張したいと思っている。北の鉱山から南の海まで、結界により完全に分断できるからだ。

 そうなれば、東の森からの脅威はもちろんのこと、街方面からの干渉も防げる。さらには塩の調達が可能になったりと、とにかく良いこと尽くしである。

「集落まで開通したら、交易路はひとまず保留かな。メリー商会から連絡が来るまで、みんなのレベル上げに専念したいと思う」

「おお! 東のオーク狩りですね! 我らも是非参加したいです!」

「そうだな。どんどん強くなってくれ」