私は一瞬迷ったあげく、愛想笑いをしてその場から逃げ出した。
その時は、どうして茨姫がそんなものを私にくれたのか、意味がわからなかった。
……私が彼女の真意を知るのは、ずっと後のことになる。
その後、私とレジーは無事にアラン達と再会することができた。
馬車の中に乗り込むと、早速レジーはアランにあの後どうなったのかを尋ねている。
「パトリシエール伯爵の配下は、振り落とした? それとも捨ててきた?」
にこにことしながら、レジーはひどい二択を口にしたが、アランは特に驚きもせずに応じた。
「馬車の扉が開いたままだったから、振り落とせるかと僕も期待したんだがな。落ちなかったんだ。おかげで自分の足で馬がいた場所まで戻らせることができた。暴走中はたっぷり馬車の中にいたおかげで、キアラがいないことは確信できたそうだ。……ただ馬は雷草に怯えて逃げただろうし、あの男が馬を探し歩いた時に、レジー達とかち合わないかが不安だったが」
するとレジーが楽しげにうなずく。
「騒ぎのおかげで、私達は悠々と隠れることができたよ。それに馬を探すほうに忙しくて、こちらを気にする余裕もなかっただろうね」
「しかし急に雷草が騒ぎだしたのはなんでだ?」
「あ、はい。私が雷草を投げたからだと」
私が手を挙げて発言すると、アランにぎょっとされる。
「投げた!? おい、ヤケドしなかったのか?」
「パチッとしましたけど、あまり痛くは……って、うわっ」
身を乗り出したアランに、両手を引っ張られる。アランは私の手のひらを検分して、ほっとしたように手を離す。
「本当だ。何ともないな……」
「遠ざけたくて思わず投げたんですけど、一匹なら問題なかったですよ?」
「そうは言うがな。お前も一応女だろう。残るような怪我をするのは好ましくない」
真剣な目でそう言われて、私は言葉に詰まる。
……くそう、さすが主人公だ。
小物属性な自分には、この格好よさがまぶしすぎる。思わず顔をうつむけて「はい」と言ってしまう。しかし恋に落ちる気が全くしないのは、ゲームでアラン側としてキアラを何度も倒したせいだろうか。それとも彼に倒されるかもしれなかったせいか。
アランは私の反応など気にせず、座り直してレジーに話を振った。
「それにしても随分と戻ってくるのが遅かったな」
「ああ、途中で茨姫に会ってね」
「茨姫に!?」
さらりと答えたレジーに、アランが再び立ち上がりかけるほど驚いた。
「おいレジー、怪我させられてないだろうな? あの魔女は高笑いしながら棘のある茨で男を打ち据える怖ろしい奴だと聞くが……」
「見てのとおり問題なかったよ」
レジーの返事に、アランは懐疑的な視線を向けていたが、確かに怪我一つないので納得するしかなかったようだ。噂なんて不確かなものだもんな、とアランはつぶやいた。
「それで、茨姫はどんな奴だった?」
「なんかちっちゃい女の子だったよ。僕等よりもいくつか年下の。だけど本人はとても長く生きてるって言ってた」
もうアランの興味は茨姫のことに移ったようだ。
そんな話をしているうちに、私達はその日の目的地へ到着し、一泊した。
翌日からの移動は、追手が再びやってくることもなく、順調に進んだ。
五日後にはエヴラール辺境伯領に入り、その翌々日には、遠く丘の上に建つ辺境伯の城が、馬車の窓からも見えた。
さすが辺境を守る要塞でもあるからか、城壁は高く、堅牢そうだ。丘の下に広がる林の木の大きさからその広さを推測しても、城壁で囲んだ敷地面積はけっこう広そうだ。
あそこでアランが生まれたり、戦いがあったりしたのかと思いながら眺めていると、アランが自分に注意を向けるよう声をかける。
「これから我が城で働いてもらうにあたって、必要だろうから教えておく」
そうして説明されたのは、まずエヴラール辺境伯領の状況についてだ。
エヴラールは隣国ルアインと、その北にあるサレハルド王国と接する国境地帯を治めている。たびたび各国と衝突があるので、辺境伯家は王から元帥の地位を与えられ、有事には他領からの応援で駆け付けた軍を統括指揮することができる権力を持っている。
次に今回アランが領地に帰ってくることになった理由だが、勉学より優先しなければならないような緊急事態になったわけではない。むしろ領地が安全になったからだ。
しばらく前までは、ルアインからの盗賊団が出入りしていたらしい。おかげで辺境伯家の分家の屋敷が焼き打ちに遭ったりと、不穏な状況だったそうだ。なまじ盗賊が大人数ではなかった上、複数の集団があちこちで活動するため、辺境伯領の兵もなかなか捕まえられずにいたようだ。
その盗賊団の行動が、ルアインがいずれ侵略に乗り出すための斥候代わりではないかという疑惑があり、暗殺の危険も考慮されて、アランは遠くの教会学校へ避難させられていたそうだ。
「だが、別に僕が強くないわけじゃないからな? 一か所に一族の人間がいたら、万が一の場合に誰か一人でも生き残らせることができなくなるからだからな?」
アランは自分が保護されていたことが嫌だったようで、やたらと私に念押ししてきた。
こっちとしては、そうですか……としか言いようがない。
反抗期なお年頃のアランに、お父さんお母さんは君のことが心配だったんだよ、とか年下の私が言ったら拗ねかねないし。
思えばアランは突撃型主人公だったな……。ゲームの性質的に戦闘回避はできないわけで、殲滅しろ! なノリでゲームを進めるしかないんだけども。なにかあると「よし戦おう」て言っちゃう人だった。
そこで思い出した。
アランて序盤でお父さんとか亡くしてるんだよね。城が襲撃されてさ。でも助かったのって、城から離れた場所にいたからで……。
ん? んんん!?
私は一緒に何かを思い出しそうになったんだけど、アランの話を聞かずにいるわけにもいかず、その場ではとりあえず保留にした。
「一応、盗賊は捕えて処分したと聞いている。だから問題はないと思うが、城の外に出るようなことがあれば十分気を付けろ。ただでさえうちの城は国境に近いからな」
「わかりました」
うんうんとうなずく。
その後は、アランのお母さんが王姉だという既に知っている情報と、お母さんは毎日のように国境警備に出てるという話をされた。
……え、辺境伯夫人て武闘派?
もしアランのお母さんに関わる仕事についたら、あちこち連れまわされるかもしれないと言われて真っ青になる。しかも貴族令嬢として数年間を過ごした私は、問題がなければアランのお母さんが監視がてら手元に置く可能性が一番高いだろうとレジーまで言いだした。
どうしよう。体力とか微妙なんだよ私……。
辺境伯夫人付きになっても、城に引きこもれないだろうかと小さな声で言えば、アランも「まぁ、お前の場合は体力で侍女に引き抜くわけじゃないからな……」と答えた。
体力で侍女に引き抜くって、そこが既におかしいよ!?
そんなふうに、自分の就職に気をとられているうちに、私達は辺境伯の城へ到着した。
ゲームでは綺麗な筆致で描かれていた城壁は、予想以上に石がごつごつとしていた。重たげに門が開かれると、千人が走り回っても余裕がありそうな空間があり、その向こうには領主が住む城館と主塔などの建物が見えた。
その手前にいるのは、出迎えに来たと思われる人々だ。
両脇に並ぶのは使用人だろう。灰色の衣服を着ているので、ともすると城の石壁に溶け込んでしまいそうだ。
中央に立つのは、濃緑色の上着を着た中年の男性だ。黒髪の彼は、アランが成長したらこうなるだろうという顔立ちをしていた。彼が辺境伯ヴェイン・エヴラールだろう。
隣にいる黄色い橡色の派手すぎないドレスを着ている銀髪の女性が、辺境伯夫人にして王姉のベアトリス夫人に違いない。ベアトリス夫人の背後には私より年上の二人の侍女が控えているが、どちらも背が高くて……見間違いでなければ、剣をさげている。
うん……体力や剣技で採用したのか、夫人の側にいるために習得したのかわからないけど、アランの言ったことは本当だったと納得できた。
ベアトリス夫人自身も、ヴェイン辺境伯よりは小柄だが、走り込みとかしてそうな雰囲気だ。
馬車が停まると、騎士達がアランとレジーを降ろし、私もエスコートしてくれる。
私は話が自分に流れてくるまでじっと待つつもりで、アランの後ろにいた。
その時、なぜかレジーがアランより一歩前に出る。
すると辺境伯達が一斉に膝をついた。レジーに向かって、だ。
「ご無事にお戻りになられて、よろしゅうございました、レジナルド殿下」
え、殿下? 辺境伯が跪くってどういうこと?
それを受けたレジーも当然のことのように受け取った。
「私のわがままを聞いて下さってありがとう辺境伯。またしばらくここに滞在させて頂くよ」
明らかにレジーが上の地位にあるような対応だ。
わけがわからずにぽかんとする私に、ウェントワースさんが後ろから小声で教えてくれた。
「まだお聞きになっていなかったのですか?」
「え……」
ウェントワースさんは気の毒そうな顔をする。
「レジー様は、ファルジアの王子レジナルド殿下ですよ」
聞いた瞬間、私は両手で自分の口を必死で押さえた。さもなければ「はああああっ!?」と大声で叫んでしまいそうだったのだ。
同時に、自分の脳裏によみがえった絵がある。
ゲームのオープニング映像だ。襲撃された辺境伯の城の様子と、倒れ伏して死んでいく人々の姿。その中に、アランの友人の姿があった。サレハルド王国との緊張状態を鑑みて、先方と会談をすることになったため、代表として来ていた王子レジナルドだ。
襲撃のさなか、彼を庇った辺境伯が殺され、レジナルド自身も遠くから飛来した矢に射抜かれて死んでいく。
そのレジナルド王子の髪は、確かに銀色で……。
レジー改めレジナルド王子は、私を振り向いて実に楽しそうに口の端を上げていた。私を驚かせようと思って、わざと教えなかったのだろう。
彼の意図は察したけれど、私は思い出したことが衝撃的すぎて、レジーのお遊びに乗って拗ねるどころではなかった。
今、目の前で笑っているレジーが、死んでしまう。数日の旅の間に、友達のように思えた人が、この世から死によって消えてしまう運命にあるのだ。
でも自分に何ができるのか。
オープニングムービーなんてたった二分か三分の短い代物だ。
ゲーム世界の全体図、戦いの様子を表現するために始まるエヴラール攻城戦。押される兵士達の様子に破壊される門。そしてなだれ込んだ兵に対抗するよう指揮するヴェイン辺境伯とレジーが映ったかと思うと、あっという間に彼らは殺され、駆けつけようとしたアランの場面に変わってしまう。
とても彼を助け出せる材料を見つけられない。
この時、アランは陽動の別働隊を討つため出ていったことで、攻城戦に巻き込まれず、生き残る。そして始まるのが、親と友人達を失ったアランが王国を取り戻すため、ひいては仇を討つための戦いだ。
アランが死を嘆く「友人達」の中にレジーは入っているのだ。
……なんとか、レジーがここへ来ることを止められないだろうか。
考えてみようとしたが、無理だとすぐに思う。国王の代理で来るのに、誰かと交代などできるはずもない。
そもそもレジーがやってくるのは、仕組まれたことだ。サレハルド王国にしても、ルアイン王国の奸計にはまって問題が起こったからだ。
なら、アランと一緒に城の外へ出てもらうか? しかし王子を突撃させるだなんて、辺境伯が許可するはずもない。もしくは王子が守りの薄い状態になる好機だからと、アランともども狙われる可能性もある。二人とも殺されてしまったら、本当に何もかもおしまいだ。
知っていても、何も手の打ちようを思いつけないことに、私は愕然とするしかなかった。
「キアラ?」
レジーが心配そうにこちらに向き直って声をかけてくる。
「あっ、ごめんなさい」
気付けばその場にいた全員が私のほうを見ていたので、背中に冷や汗をかく。考え事に没頭しすぎて長いこと返事もしなかったんだろうか?
しかし、誰も怒った顔はしていない。だからたぶん、そんなに長い間待たせたわけではなかったのだと思う。よかった。今は目の前のことに集中しなければ。
「殿下、その娘は?」
「道の途中で拾いました。彼女の件で、少し話したいことがあります」
レジーはそう言うと、中に連れていってもらいたいというように視線を館へと向ける。察したヴェイン辺境伯が先導し、私はレジーやアランと共についていった。
通された場所は城壁の角にある城塞塔の一つだ。三階の部屋まで上がってしまえば、下に声が漏れにくく、窓の向こうは空なので、扉の前の立ち聞きを警戒するだけで済む。
あまり広くはない部屋に入ったのは、辺境伯夫妻とアランにレジー。私とウェントワースさんだ。
「それで、あまり聞かれたくない事情をお持ちなんですね? そのお嬢さんは」
ヴェイン辺境伯の問いに、レジーとアランがうなずく。
「パトリシエール伯爵の養女です」
レジーがそう言った瞬間、ヴェイン辺境伯が眉をひそめる。私が政敵ともいえる相手の関係者だったからだろう。
「その彼女がなぜここに?」
「クレディアス子爵との結婚から逃げてきたようで。……狂言ではない証拠もあります。嫌がることを想定して、眠らせた上で家に戻すつもりだったようで、私達が見つけた時には、薬を嗅がされて眠らされていました」
「噓ではないと?」
尋ねられたアランとレジー、そしてウェントワースさんまでが苦笑いし、私は恥ずかしくてうつむいた。
「……言っていい?」
レジーが私に確認してくれる。本当は話してほしくはないが、これで信用してもらえるならと、非常に泣きそうな気分でうなずいた。
「キアラは逃げるために、アランの荷馬車に潜り込んでまして。その後で薬が効いたのか、ゆすっても呼びかけても起きないほどぐっすりと眠ってました。実を言うと私達は、彼女の寝言でキアラが荷馬車に入り込んでいたことに気づいたんです」
「ね……ごと?」
ヴェイン辺境伯の問いに、レジーは重々しくうなずいた。
「翌日の昼近くになって目覚めた彼女は、薬を盛られていたことに気付かず『運賃を払うので許して下さい』と言って立ち上がろうとして、足が動かずに寝台から転落しました」
レジーの話を聞きながら、私は羞恥心でスカートを握りしめた腕がぷるぷるしていた。
でも今後のこともあるから、辺境伯達がどういう反応をしたのか知っておきたい。だから勇気を持ってチラッと様子をうかがったんだけど。
……すごく、残念な子を見るような目を向けられてました。
「本当か? ウェントワース」
「残念ながら。ずっと監視していましたが、間違いなく王子殿下の仰るとおりの行動をとっておりました。それにパトリシエール伯爵も彼女を探していたようで、追っ手に一度呼び止められました」
ウェントワースさんにまで保証され、ヴェイン辺境伯はふっと疲れたように息を吐く。
「それで……このちょっとざ……お嬢さんを連れてくることにしたのか」
辺境伯様、今「ちょっと残念な子」と言いそうになりましたね?
いえ、いいんですよ。それで済むなら。こっぱずかしい話を広められたあげくに、でも敵に違いないとか言われたら、我慢をした甲斐がないってものですし。
ちなみに辺境伯の後ろにいた夫人は、口を引き結んではいるけれど、端が震えている。笑うの堪えてますよねそれ。まぁいいです。嫌われるより笑ってくれたほうが、今後の人間関係も円滑になりそうですから。
ていうかレジーといい、王族って笑い上戸なの? そうなの?
やさぐれている間に、アランがいい話として締めてくれていた。
「人助けというか。年下の女の子が……というのは寝覚めが悪くて。養女で伯爵に情はないといいますし、平民扱いでもよいと言うので、うちで雇えないかと思いまして」
「雇う……か」
ヴェイン辺境伯が考え込むような表情になる。
「しかし本当に平民扱いで、耐えられるのかい?」
「はい大丈夫です! 準爵士だった実家で、継母に使用人扱いされてましたから、芋の皮むきとか掃除も余裕です」
なるべく元気に言ってみたが、アラン一家とウェントワースさんがかわいそうにといわんばかりの表情になっていた。悲劇の映画を見た後の観客に似ている。
ごめん、悲惨ぽいよね。そんな気持ちにさせるような話を、私もしたくはなかったんだよ。アランの家は、なんというか普通に貴族らしい愛情とか絆がある家っぽかったからさ、なおさら胸を痛めると思ったんだ。
だけど噓をついても仕方ないし、安全と敵役にならない保証を得たいなら、やっぱりここに置いてもらったほうがいい。それに、レジーやアランを守ろうと思うのなら、この城にいなくてはならない。
そして何か……レジーを救う方法を見つけなければ。
可能性があるとしたら、敵として魔術を使ってたんだから、味方の魔術師に早々にクラスチェンジすることだろうか。来る攻城戦でも役に立つだろう。
問題はどうしたら魔術師になれるかだ。正直なところさっぱりわからない。魔術について調べるには、やっぱり権力者の側っていうほうがいいんじゃないかな。
するとベアトリス夫人が私に尋ねてきた。
「貴方……剣はお使いになれるの?」
非力な十四歳の女の子が就職面接で、剣技の有無を問われるなんて思いもしませんでした。さすが国境の守備隊に紛れて走り回るというお方である。さっき背後にいた侍女さん達も、間違いなく選考基準が戦闘能力っぽかったし。
とりあえず私に剣を振り回すのは無理なので、首を横に振った。
「護身術などの心得はおあり?」
「養父だった伯爵が、王宮に勤めさせようとしてたみたいで、ナイフぐらいの刃物は持てるようにさせられましたが、それだけで……」
「なるほどね」
ベアトリス夫人はうなずき、ヴェイン辺境伯の肩に触れた。
「私のところで、この子を引き取ろうと思います」
「侍女にするのかい?」
「ええ。ロナが先日結婚して職を離れてしまいましたでしょう。他の子達は基本的に私の外の活動についてこられる人ばかりを選んだので、一人ぐらいは貴族として礼儀作法を学んだ子を側に置こうとは思ってましたのよ」
ベアトリス夫人の話を聞いて、アランが明るい表情になる。レジーは微笑んだままだ。
……そういえばレジーだけ、さっきの不幸話でも「うわぁ」みたいな顔をしなかったな。普通に聞いてくれるのって、なんだかほっとする。
「雇って頂けるんですね?」
アランの確認に、ヴェイン辺境伯はうなずく。
「確かにうちの妻の側に、貴族の作法に詳しい人間がいてくれると助かる。この辺境地に来てくれる人というのは、なかなかいないものだからね。よろしく頼むよ、キアラさん」
ヴェイン辺境伯の言葉に、私は「よろしくお願いします」と頭を下げたのだが。
「でも、ここは国境の守備の要。いつ何時どういった状況になるかわかりませんから、逃げ足だけは鍛えてもらうわ」
ベアトリス夫人の宣告に、私は凍りつきそうになる。
運動苦手なんですが……まずは侍女として、足が速くなるようがんばらなきゃならないようです。……その合間に、魔術師になる方法を調べる余裕ってあるのかな?