瘴気蔓延る魔大陸の中心地、この地をよく知る人間たちからはパンデモニウムや魔界などと呼ばれる場所で、巨大な魔王龍と銀髪の少年が対峙していた。

少年の歳の頃は十代か、それ以下だろうか。

しかし魔王龍と未成熟な少年、一見すると全く以って不釣り合いなこの状況に、なんとかしずいているのは明らかに強大な魔力を持ち力を漲らせている魔王龍の方だった。

魔王龍は少年に頭を垂れ、機嫌を窺うようにその顔を覗き込む。

「では魔神様、人間の魔族化に対しかの龍神の邪魔が入るのは想定していると?」

「うん、そうだよ。彼はとても優秀だし、なにより僕の友達だからねぇ……。きっとこちらの思惑にも気づいていると思うんだ」

そう、実はこの銀髪の少年、今なお太古の時代から異世界を騒がせている魔神その人なのである。

普段はこうして人間を模した少年の姿を取り、魔大陸の中心でひっそりと世界を窺っている。

同じ人型である龍神と比べてもその擬態の完成度はかなり高いと言えるだろう。

「しかし、かの龍神が邪魔に入るとなると、あの大陸に散っている今の魔王たちでは荷が重いかもしれませんね……」

「うん、そうだね。でもそれでいいんだ」

世界の影で暗躍する同胞の身を案じる魔王龍に対し、魔神はこともなげな態度で失敗すらも想定内であるかのように振る舞う。

当然何らかの思惑があるのだろうが、依然として捉えどころのない目の前の少年は、古くから付き合いのある魔王龍でも考えが読み切れずにいた。