◇
………………、……!?
「あ、戻ってきたのか」
気づくとログアウトに成功し、俺は自宅の部屋へと戻ってきていた。
なんというか、ちゃんとした手続きでログアウトした時に比べて、戦闘不能により強制ログアウトになった時は意識の覚醒が遅い。
今回も自分が部屋に戻ってきたと自覚するのに、多少の時間を要してしまった。
とりあえずキャラの修復時間を確認するために、アプリを操作する。
【キャラクターが戦闘不能になったため、ストーリーモードが解除されました。現在キャラクターを修復しています。損傷の修復完了まで、残り3時間】
どうやらワイバーンに頭を喰われた時よりも損傷が激しかったらしく、修復にはかなりの時間を要するようだ。
とはいえ、たかが三時間である。
放置してればそのうち修復が終わってるだろう。
「さてさて、ではさっそくあの聖剣の威力の程を確認しておこう」
次に世界地図を操作して決戦の火蓋を切る事となった森を確認してみる。
するとそこにはたった今役目を終えて消えようとしている犬型の召喚獣と、聖剣の直撃によって木っ端みじんに吹き飛んだドラゴン型の召喚獣、……の破片がいた。
「あー、惜しい! ドラゴンは爆殺できたけど、犬の方には命中しなかったかー。でもまあ、あの召喚獣相手にレベル1の聖騎士がこの威力を出せたんだ。攻撃力は文句なしの合格といったところだな。次は絶対に当てよう」
まあ、どっちにしろ俺が世界から消失した事で消えるから問題ないのだが、気分的に当たらなかったのが悔しい。
もちろん次は当てるとか言ってはいるが、この召喚獣と出会う事は二度とないと思うのでただの負け惜しみだ。
おっさんにもプライドというものがあるのである。
ちなみに爆心地には次々に討伐隊として組まれた冒険者たちが集まり、何が起こったんだと調査したり枯れ木のようになった魔族の死体を発見したりしていた。
ついでに次元収納し忘れた俺の剣、もとい伯爵家の備品である鋼鉄の剣も発見されたりして騒がしい事になっている。
あー、これはほとぼりが冷めるまで【ストーリーモード】は控えておいた方がいいな。
飯食って昼寝して、風呂にも入ったら明日どうするか考えよう。
ミゼットには悪いが、あの現場を見る限り俺は死んだ事にされてしまうだろうし、伯爵家の使用人はひとまず引退だ。
今度はCランクの冒険者証でもひっさげて、別の国へと向かう事にする。
うん、そうしよう。
それじゃお元気で、ミゼット・ガルハート。