あとがき



 働き方改革が叫ばれて4年以上経ちます。約8割の企業が何らかの働き方改革を行っていると言われていますが、「成功しています」と答えるのはたった12%です。残業を削減したり有給休暇の取得を義務付けたり、労働時間を削ることを目指す企業が大半です。こういった労働時間の削減に対して64%もの社員がネガティブに感じモチベーションが下がっています。


 今目指すべきは、働き方改革ではなく「会社の儲け方改革」と「個人の稼ぎ方改革」です。

 労働時間を減らして、浮いた時間を新規事業開発とスキルアップに充てれば変化の適応力が上がります。この成功パターンを個人で実践しているのが「5%社員」なのです。彼らは社内で評価され、自由と責任を得て自分のしたい仕事ができています。当然働きがいも感じています。短い時間でより多くの成果を残せば、市場価値が上がり、報酬も上がっていきます。「5%社員」は残業削減に愚痴をいう無駄なエネルギーを使わず、目標を達成して成果を残すことに注力します。

 そうすることで、昇進や副業、起業や転職などの未来の選択肢を複数持つことを理解しています。

 人が幸せになるのは「自己選択権」を持ったときです。


 私は24年前に国内大手通信会社の人事部に所属し、制度の企画部門に在籍していました。その頃は、多くの企業において製品やサービスの力が強かったので、需要に向けて供給することを実直に実行できる人が評価されていました。

 そしてその評価者は直属上司のみでした。

 結果として、上司に気に入られるかどうかで評価が分かれてしまうケースが散見されました。


 現在では、昔と比べて評価制度が変わりました。

 上司のみの評価を絶対評価としていた時代とは異なり、上司以外の管理職が評価を行う360度評価を採用する企業も増えてきたのです。各社員が定量的な目標を持たされる機会が増えましたので、上司から寵愛されているだけでは評価されないのです。


 私自身、今回の調査結果に腹落ち感を持ちました。こういう人たちが活躍しているのはよく理解できますし、こういった人たちと仕事がしたいと心から思います。

 この調査結果からは、魅力的な人物像が明確になっただけでなく、その魅力を構成するのは「態度」「気構え」「行動」であることがわかりました。

 成果を考えると職務実行能力が注目されがちですが、態度や気構えなどのソフトスキルが必要であることを再認識しました。


 今回の調査では、弊社クライアント企業の皆さんに多大な協力をいただきました。業務で忙しい中、ICレコーダーを付けさせて頂いたり、Webカメラをセットして集中力を妨げてしまったりしたことがありました。それなのに、協力をしていただけたのは、成果を残す正しい行動を共有して、無駄なことをやめたいという各社人事部門の熱い思いがあったからです。

 今回の膨大な調査データは、アマゾン、マイクロソフト、アイ・ビー・エム、グーグルのAIを使って解析しました。各社のAIの良いところ取りをして、人が気付かないインサイトを教えてくれました。短期間で今回の大量のデータ解析ができたのは、テクノロジーのおかけです。


 今回の「5%社員」の分析にあたっては、はじめに記事を出して頂いた現代ビジネスの編集長であった阪上さん、私の最初の書籍の出版を手掛けてくれたプレジデント社の村上さんに企画協力を頂きました。深く感謝しております。私を含めたこの3名のアイデア出しによって生まれた企画です。まさに新結合のイノベーションです。

 そして、今回の書籍化においてご協力頂きましたディスカヴァー・トゥエンティワン編集部のみなさまに御礼申し上げます。新型ウイルスの猛威によってリモートワークを強いられた中で、編集作業を進めていただきました。


 最後に、「5%社員」であることをわからずに、調査に協力いただいたみなさんに感謝申し上げます。

「あなたが選定されたトップ5%社員です」とは言えずに調査を進めたのは心苦しかったです。しかし、私自身が深く影響を受けました。

 彼らのシンプルな行動パターンで、私の行動が変わっていったのです。すべてではないですが、必ず読者の皆さんにも適用できる行動パターンがあるはずです。

 なんでも良いので、どれか1つを明日試してみてください。

 行動の後に、振り返って「意外と良かった」ものを探してください。その挑戦によって、変化の対応力が高まり「稼ぎ方改革」につながります。

 意識が変わることを待っていたら5年も10年もかかりますから、ほんの少しだけ行動を変えてみてください。そうすれば、未来の選択肢が増えるはずです。

 この読書の目的は「知ること」ではなく、「行動すること」です。


越川慎司