トップ5%社員は

席にいない、動き回る

席にいるのはたった2割



巻き込むために奔走する


「5%社員」と95%の一般社員の行動を比べてみると、「5%社員」は圧倒的に自席にいる時間が短いことがわかりました。

 会議や打ち合わせに呼び出されることが多い、ということもありますが、それだけでなく、自ら頻繁に席を離れて、社外ではキーマンと対話し、社内では他部署の人に話しかけにいきます。最近は、どこの業界でも課題が複雑化し、1つの部署だけでは解決できなくなってきました。

 しかも、課題の解決には、個人力ではなくチーム力が必要になります。異なる知見を持っている人たちのアイデアをかけ合わせることにより、新たな解決案が生まれ、今までにない方法で課題を一気に解決していく必要があります。


 次に特徴的だったのが「接点の多さ」です。

 顧客のところに訪問する時はもちろんですが、「5%社員」は、社内でも動き回って、自発的に人との接点を作っていました。それも異なる部門、異なる世代の人たちと、Slack(スラック)などのチャットツールも使いこなしながら、会議ではなく「会話」を増やしているのです。

 人との接点を作ることにより、直接自分の思いを伝え、仲間を増やし、人を巻き込んでいく。複雑な課題であればあるほど、多様な人たちとタッグを組み、スピード感をもってどんどん課題を見つけ解決していくのです。

 仲間が増えるということは、仕事のお願いをできる人が増えるということです。自分ではやらなくていい仕事、誰かに任せられるいい仕事は、仲間たちに積極的に振っていく。

「動くこと」が仕事の質を高め、仕事の工程を減らすことにつながるのです。


 今回の調査で「5%社員」と95%の一般社員の調査対象者に万歩計をつけてもらいました。もちろん会社や業種、業態でその歩数は異なります。そこで今回は、同じ会社同じ職種の方々に万歩計をつけてもらい、比較してみました。

 すると、「5%社員」は一般社員より14%も歩数が多いことがわかりました。

 また、「5%社員」のデスクの近くに定点カメラを設置し、自席での作業時間を測定すると、自席で仕事をしているのは2割未満という「5%社員」が半分以上いたのです。

 この調査データだけ見ても、「5%社員」の活動量が多いことがわかります。



イノベーションは現場で起こる


 かつてのモノ消費時代は、イノベーションが研究開発室や役員会議室で起きていました。消費者は会社名やブランド、機能と価格でモノを選び、買っていたので、開発力とコスト削減にかかっていました。しかし、現在のコト消費時代では、研究開発室ではなく現場でイノベーションが起きています。

 顧客や市場、さらには社会が抱える問題を敏感に感じ取るには、人と触れ合わなければいけません。また、自分とは違う考えを持った人や、別の環境にいる人との対話や交流から新たなものが生まれることが多いのです。

「5%社員」はイノベーションを生み出すために、自然と多くの部署の人とコミュニケーションを取っています。だから、自分の席にいることが少なく、別の部署の誰か(有能な社員)と一緒にいることが多いのです。

 何か大きな課題にぶつかった時に、いつ、誰に協力を求めることになるかもわからないため、自分にはない能力を持っている仲間をいかに多く集めることができるかが、仕事で結果を出すための極めて重要な条件になっています。



まずGiveで信頼を高める


「5%社員」が働く時間を増やさずに成果を上げて、評価や報酬を上げるのは、時給を上げることと一緒です。そして、時給を上げるためには「信頼を築くこと」が極めて重要であることを5%社員は知っています。

 相手が動くのは、自分の主張を「伝えた」からではなく「伝わった」からです。「伝わる」には、その人に伝える資格がなくてはいけません。相手は、「この人の話なら」といって聞いてくれるのです。

 そのために、まず信頼を構築できれば、あとは「伝わる」ためのコンテンツと伝達手法を考えるだけでいいのです。

 良好な信頼関係を築くには、先に相手に何かをやってあげること(Give)が重要です。そして、困ったときにその相手から支援を得る(Get)のです。

 ですから「5%社員」は一生懸命に他人をサポートします。これは、返報性の原理で、相手が何かしてくれると、お返しに何かしたくなるという心理効果です。

 一方的にお願いするだけでなく、Give & Getでスマートに関係を構築していきます。社内では、自分の得意な仕事を率先して引き受ける行動も多々見られました。


「5%社員」の大きな特徴として浮かび上がったのが、彼らは「行動ファースト」である、ということでした。

 とてもシンプルですが、生産性を高めるには、止まって考える時間より、「動きながら考える」ことが重要だったのです。当然のことですが、彼らも判断ミスや失注などの失敗をしていることがわかりました。

 ただ、早い段階で失敗をしているので、そのリカバリーも早く、次の行動に活かして成功確率を高めていっているのです。面談などでこの点について伺っても、「失敗した後こそがチャンスだ」と答える人が多く、修正力が高いと感じました。

 このように「5%社員」は、自ら考え、すぐに行動できる人です。仕事や責任を与えられたときに、言われたことをただやるだけではなく、まず鳥瞰的に物事を考えることを必ずしています。この仕事をやる意味、そして「本質は?」「誰のためにやるのか?」「その結果どんな成果を出すのか?」と、「なぜ」を繰り返し問いかけて、すぐ行動に移します。

 ずっと自分の席にいたり、あるいはずっと同じ部署の人と付き合っている人は、「5%社員」を見習い、少し行動を変える必要があるかもしれません。