人間は完璧ではありません。

 そして、人間は「ラクをしたい」という気持ちが標準装備で備わっています。これは、脳の仕組みがそうなっているのです。

「5%社員」は、自分の「弱い」部分を理解しているので、その弱さに対して「対策」を立てます。「5%社員」は行動する前から成功する可能性を高めるために、行動を修正する時間を事前に確保して、うまくいかない時の対策をしているのです。

 一般社員の89%は、軌道に乗ってくると雰囲気のよさだけで「何となく」進めてしまいます。「5%社員」は、うまくいっているときほど成功要因を把握し、それを「次の行動でどう再現するか」を考えて行動しています。



5%社員が行う3つの準備


「5%社員」は、「行動する前」に目標を明確に設定し、手段を目的化させることなく、スピーディに行動していきます。「5%社員」へのヒアリングで、次の3点を準備してから行動に移していることがわかりました。

「背伸びした目標の自己設定」「目的の明確化」「行動のスピード」です。

 これらは、行動する前に自分でコントロールできることです。


「背伸びした目標の自己設定」は、目標達成しないリスクを少なくするために、与えられた目標よりも少し高い目標を自分で設定し、自分に課しています。高すぎる目標だとあきらめ感が強くなりモチベーションが下がるので、つま先立ちでギリギリ届くぐらいの目標を自分で設定し、そこを目指して行動を開始するので、多少の変化があっても最終的に目標達成する確率が高くなります。

「目的の明確化」は、手段を目的化しないための対処策です。「行動のスピード」は、期限を決めて行動することで、効率を高めて納期に遅れないようにする対処策です。



やるべき仕事がリスト化され、事前にチェックできている


 会社に出勤してきてから「今日やる仕事は何だっけ」と確認する社員は、自分がやるべきことを事前に把握し、出勤早々着手している社員とその時点で差が付いています。

 つまり、仕事ができる人とは、自分がやるべき仕事が何かを「漏れなく」「事前に」掴んでいるものです。その一般的な管理方法は「TO DOリスト」などがありますが、それをシステム手帳やスマホのスケジュールアプリで管理するなど、具体的な手法は社員によってそれぞれ異なるかもしれません。

「5%社員」は、このような自分なりの管理方法を通じて、やるべきことを事前にリスト化しています。例えば今日からやるべき事項は「前日」までにそのチェックを終えているのです。

 仕事には緊急度の高いもの、期限内に終えればよいもの、特に期限などがないものなど、優先順位があります。もっとも、これらは単純に時間軸で並べることができるなら優先順位を考えるのにあまり苦労はありませんが、優先順位は刻々と変化します。

 また仕事は突然発生する場合や予測不可能な事態も生じます。

「5%社員」は、そうした状況変化を的確に捉えて、仕事リストを柔軟かつ適正に入れ換えて取り組んでいます。これも事前にリストを作っていたからこそ容易に組み換えができるのです。



「5%社員」は早型


 調査の結果、「5%社員」は平日19時前後の業務量が圧倒的に少ないことがわかりました。一日の働き方についての分析結果をみると、95%の一般社員は、終業時間間際に非常に忙しく作業をしています。

 通常業務が17時半に終わるとしても、それまでに終わらなかった仕事の処理や、明日提出する提案書の準備、さらには経費精算などの事務作業をしているのです。最近は20時前後に消灯する会社も増えていますから、それまでになんとか終わるように、と駆け込みで片付けている人も多いでしょう。

 一方、「5%社員」が最も仕事を詰め込むのは、午前中であることがわかりました。

 そして、夕方にはその日やるべき仕事がすべて片付いていて、ほぼ定時でさっさと退社しているのです。



3つのロスをなくす


 なぜそんなことが可能なのか。「5%社員」はすべての仕事について、先を読んで早めに準備をしていることがわかりました。

 資料を作る前に戦略を練ったり、難しい交渉を翌日に控えていたら、その調査を前日に終わらせていたり、顧客に送信するメールを前日に作成して、下書き保存しておいたり……。直前や当日になって「今からやらなきゃ!」と慌てて作業するとアウトプットの質が下がることを知っているのです。早めに準備をして、「焦りのロス」をなくそうとしています。

 また、「5%社員」は、特に朝に狙いを絞って重要な仕事を進める習慣があることもわかりました。

 朝はメールや電話、会議も少ないため、スケジュールを自分の意思で決めやすい。つまり、朝は誰にも邪魔されずに仕事ができる時間だ、ということを理解しているのでしょう。

 昼頃を過ぎて、「さあ、今から本腰で仕事に取り組もう」と思ったタイミングで、別の仕事の依頼がメールで届いたり、取引先からの電話で時間を取られてしまったり……といった、「集中力のロス」が、彼らには極端に少ないのです。


 また、ランチ後、特に15時前後は、血糖値の関係で人間の集中力が最も下がりパフォーマンスが落ちる時間ですが、「5%社員」はこの時間に、脳を使わない精算などの事務処理作業を行っていることもわかりました。「パフォーマンスのロス」を最小限に抑えるために、脳を使わない作業を15時前後に行っているのです。


 この「5%社員」の時間の使い方は、医学的にも理にかなっています。

 私はマイクロソフトに在籍していた時に「エグゼクティブトレーニング」を受けたのですが、その中に血糖値コントロールというプログラムがありました。

 9時から17時の勤務時間内でパフォーマンスを最大化するために、血糖値の変動をできる限り抑えて最高のコンディションに保つためのプログラムです。

 朝はタンパク質と適度な糖質で体を温め、10時にはリンゴをかじり、お昼は野菜とタンパク質中心にして食後にミネラルウォーターとコーヒーを飲み、パワーが落ちる15時にピーナッツとドライフルーツを食べ……といった感じで行動が決められていました。

 朝に集中力を高めて、午後は無理をせず少しずつ調子を上げていく、これが医学的には「最も仕事の効率の上がる行動」なのです、。


「ワーキングアスリート」とでもいうべきストイックさを求められますが、「5%社員」が朝に創造的な仕事を集中して行い、午後のだれがちな時間にはあえて無理をしないのも、効率性を考えると極めて正しいことなのです。

 人の何倍も成果を出すためには、体調管理はもちろん、眠くならないこと、思考が止まる時間に無理をしないことはとても重要なのです。



デスク周りがきれい


 いざ仕事をしようと思った時に、資料がなくて困ったことはないでしょうか。

 必要な時に、必要なものがないということは時間の無駄につながります。1回の探す時間はわずかだとしても毎回探すとなると、累計で考えると、かなりの時間を使うことになります。この探す時間は、まったく生産性がありません。

 合理的に考えるのならば、この時間は限りなくゼロにする必要があります。

 それは、いつも整理整頓している状態を作っておくということです。物理的なデスク周りだけではなく、パソコンのデスクトップなどもきれいにしておくことも準備の一環です。