フィードバックは宝物


「5%社員」は空気を読みながら、適切なタイミングで他者に話しかけます。彼らの発言で最も多いのが「今ちょっといい?」でした(詳細は第3章で説明します)

 この声かけの相手は、上司や顧客も含まれていました。「5%社員」は約束した締め切りまでに想定を上回るほど質の高いアウトプットをします。そのため、過程において相手とのギャップを縮めようと必死なのです。

 アンケートで「長時間労働を生み出す根源は何だと思いますか?」と聞いたところ、95%の一般社員は「朝礼」や「定例会議」など他責にする回答が81%となり、自ら率先して改善していこうという心構えは感じにくいものでした。

 一方、「5%社員」の回答は「失注」や「凝った資料の作成」など自分の行動を振り返る回答が69%と、一般社員よりも3倍以上であったことが特徴的でした。

「5%社員」の回答で最も印象的だったのは「差戻し」です。せっかく時間をかけて作ったのに作り直しを命じられるのが無駄だと認識しているのです。この「差戻し」は、相手との認識違いや齟齬によって発生することを「5%社員」は理解していました。

 事前にしっかりと打ち合わせをした場合でも、誤解が生じることは珍しくありません。

 細部を詰める前に制作物を見せておくことは重要です。「5%社員」は自分自身の振り返り時間を設け、さらに相手にフィードバックを得るタイミングも計画に入れていました。

 顧客や上司にフィードバックをもらったら、それをもとに修正して、相手のイメージと自分のイメージが重なるように作業を続けて最終成果物を完成させます。

 このように、途中の段階でも相手から意見を聞くことで、相手も制作プロセスに関わったという実感を持たせることができます。

 そして、最終成果物に対して「自分の意見が作品に反映された」と感じてもらえば、それは「自分の作品」という意識が生まれます。顧客や上司がそのような自分ごと化してくれれば、承認されやすく、一体感も生まれてよい関係が構築できます。


 資料などを提出・納品した後には、相手から感想や改善点などのフィードバックを必ずもらってください。

 ある「5%社員」のノート(Evernoteというメモアプリ)を見せてもらったことがありますが、そこには顧客ごとのフィードバックが羅列されていました。そこで得た反省点を次の行動に活かすことができれば、結果も作成時間も改善できることを「5%社員」は知っているのです。


 コミュニケーション術を磨きたいのであれば、自分のプレゼンテーションをメンターや尊敬する先輩に見てもらい、率直なフィードバックをもらうのが得策です。

 直属上司ですと、ストレートな意見は聞けないかもしれません。心理的安全性(何を言っても安全だと思う心理状態)が担保されている相手から改善点を素直に指摘してもらったほうが良いのです。

 それがたとえ、マイナスの評価であっても落ち込まないでください。学びを得て、次の行動に活かせばよいのですから。

 私も毎週のようにプレゼンテーションを行いますが、厳しい表現をもらったり、アンケートで評価が悪い時もあります。そのような時は、「自分では気づかなかった改善点を見つけることができた!」と前向きに考え、喜ぶようにしています。

 経験上、良いフィードバックしかもらえない時は危険です。聞き手が気を使っていたり、関心をもっていなかったりというケースで、PDCAを活かすフィードバックがもらえませんから、実りが少ないのです。