インプットは効率と効果を考える
ビジネスは、アウトプットによって評価されるので、しっかりとインプットしないといけません。情報を集めることが目的であってはならず、必要な情報を見極めて最短距離でそれを獲得するのが「5%社員」です。
一方、95%の一般社員は、情報を探すことが目的になるケースが散見されました。8万2000人に対するアンケートで、「情報を集めるときにまず何をするか」という設問に対して自由回答を求めたところ、その多くが「Googleで検索する」というものでした。
便利さを求めればテクノロジーに帰結しますが、そこには危うさもあります。それは、情報収集の効率が高い反動として、多くの人が獲得可能であるということです。
欲しい情報のありかとその検索方法が一般化していけばいくほど、その特定の情報源にアクセスできる人は多くなるので、その情報がもつ希少性は低くなります。
誰でも入手可能な情報を相手に伝えるのは、その入手コストや探索コスト、そしてその情報そのものの価値、どれをとってもお金をもらう対象にはなりえません。
なぜなら、ビジネスはギャップを埋めることで成り立つからです。
ビジネスはギャップを埋めることで成り立つ
世界初の株式会社である東インド会社もこのギャップを使ってビジネスを行いました。
インドで簡単に入手可能な胡椒や紅茶を、ヨーロッパの貴族たちに高く売ることでお金儲けをしたわけです。
胡椒の価格は一時ゴールドよりも高くなり、その獲得のために戦争が起きるほどになりました。これは、情報と場所、課題の3つのギャップを東インド会社が発見し、埋めたことによって財を成した例です。インドで胡椒や紅茶が簡単に手に入るという情報を、ヨーロッパの貴族は知りませんでしたので、疑いなく大金を出していました。
また、当時は自由にインドへ行くことができなかったので、地理ギャップもありました。さらに、ヨーロッパの貴族たちが感じていた肉の生臭さや、戦争が多い中でゆとりのある時間を設けたいという潜在的なニーズを掘り起こし、胡椒と紅茶を提供したのも東インド会社の妙です。
現在の情報化社会では、このような情報ギャップは生まれにくいように思われがちです。実際にブラジルの市場で売っているトマトの値段すらわかる時代ですから、情報の希少性は薄らいでいます。しかし、欲しいのに獲得できない情報や、その存在すら知られてない情報は、ビジネスのタネになります。これだけ情報化された社会であっても、その情報ギャップをうまく活用して成功している企業は多数存在しています。
例えばリクルートです。
転職活動をしたいビジネスパーソンたちは周りの人に気づかれないように、求職情報や面接の仕方などの情報収集に当たります。そういった転職予備軍が欲しがる情報を、リクルートは1カ所に集積させアクセス数を稼ぎます。
一方、人手不足で中途採用を増やしたい企業は、転職希望者を見つけたくても見つけられません。そこでリクルートは、転職希望者が集まるサイトに採用をしたい企業の広告スペースを売っているわけです。この情報ギャップは、何十年も続いており、リクルートの根幹ビジネスになっています。こういったギャップは転職希望者の情報というだけではなく、例えば住宅情報であれば「SUUMO」になりますし、結婚情報であれば「ゼクシィ」に変わるわけです。
つまりどの時代にも情報ギャップというのは発生しています。
にもかかわらず、誰でもアクセス可能なGoogle検索によって得た情報で稼ごうとするのはお門違いです。そもそもGoogleは広告を生業にしています。
Google検索した結果の上位に、リスティングなどということで広告料をより多く払っている企業の宣伝が上位に出るわけです。つまり検索したキーワードに対して、意図的に広告を出しているわけですから、恣意的に広告サイトへ誘導されることもあります。
またアフィリエイト広告で稼ぎたい人たちは、検索されやすいキーワードを意図的にサイトに埋め込みますから、検索者の意思にかかわらず、そういったキーワードが埋め込まれたサイトへ誘導されがちです。
つまり、目的意識をはっきりしてGoogle検索をしないと意図に反して、広告サイトに誘導されるのです。Googleアカウントにログインして検索していれば、その人の属性がGoogleに伝わり、クリックしやすいサイトが上位にでるので、情報を探すはずであったのが情報を吸い上げられる結果になるわけです。
このことからも、情報検索にはしっかりと目的意識を持って、ダラダラと検索して誘導されないことが重要です。「5%社員」はこの点も理解しているので、検索の前にしっかりと目的意識を持ち、検索時間を抑える傾向にあります。また、ネットでは希少性の高い情報は獲得できないと割り切って、その他のメディアソースから検索しようとするのも「5%社員」の特徴です。彼らは、希少性が高く、かつ重要な情報はネットではなく、人に紐付けられていると感じているようです。
「5%社員」は、テレビよりも書籍によって情報収集しようとする傾向もあります。また情報ソースは、ネットに縛られることなく、専門書や人づての情報を積極的に集めようとしています。
このことは、社内外の人脈を広げようとする「5%社員」の行動につながってきます。「5%社員」の言動を調査する中で、彼らは定期的に情報集める仕組み(キュレーション)を先に構築していました。そして希少性の高い情報を人との会話によって得ようとしていることもわかりました。実際にその人脈は95%の一般社員よりも格段に広いことがわかっています。そして追加アンケートでわかったのは、彼らが人脈を広げる理由の63%が情報収集ということでした。