原則4

「5%社員」の73%が「意識変革」はしない


「行動を変えるためには意識を変えないとダメだ!」という主張の自己啓発本が多々あります。しかし、「意識が変わらないと行動を変えられない」というのは間違いです。

 意識を変えることは必要です。ただ、それをじっと待っていても何も起こらないことを「5%社員」は理解しています。



意識を変える前に行動する


 意識を変えて行動するのではなく、行動を変えることによって意識が変わるのです。

 行動をしてみたら変化が起きたことを自覚し、「行動を起こすことに価値がある」という意識に変わるのです。そうやって行動を継続していくと、行動変容が習慣に変わります。意識せずに行動を変えようとしていくのです。


 これは、「5%社員」に限らず、クライアント企業16万人の行動実験をしたことからもわかります。

 多くの企業は、社員の意識を変えるために、経営陣や人事責任者が意識を変えることの必要性を訴えていました。しかし声かけだけではきっかけの一部にはなるものの、根本的に意識を変えた、その後の行動変容にはつながりませんでした。

 働き方改革に成功している企業もその学びを活かし、意識を変えることよりも行動を変えることを重視しています。半ば強制的に行動の一部だけを変えて、内省によって学びを得ます。振り返ってよければ続ければいいですし、悪化したのであればやめるべきです。この内省による気づきを得ることで、見えなかった部分が見えるようになったり、また気づかなかった部分に気づくことができます。「あ、意外とよかった!」という言葉が出れば大成功です。この言葉を発する人の78%は自らが行った行動の意義と目的を深く理解し、腹落ちさせています。そして自分にメリットがあると実感できれば、その行動変容を自分ごととして、その後の改善活動を継続させていこうとします。


 29社のクライアント企業に対して毎月何かしらの新しい行動を強制させました。全ての社内会議を45分に設定したり、他部門のプロジェクトチームとの連携を強制させてみました。

 はじめは抵抗する人もいたのですが、実際に行動をしてみたら、「思いのほか効果が実感できた」と答える社員が82%以上いました。そのうち68%は、特に指示をしていないのに、その行動を継続しました。


 一方、意識が変わることをトップダウンで言い聞かせ続けて、2年後に現場の意識と行動が自発的に変わったというケースは8%しかありませんでした。

 もちろんトップダウンにより意識変革の重要性は謳うべきではあります。しかし、それは必要条件であって十分条件ではありません。

 同時に必要なのは、現場で自発的に行動させる仕組み作りです。


 組織全員が「働き方改革が必要」と意識が変わるまで待っていたら何年もかかります。

 まず行動を起こして、そのあとに意識が変わることを知っている人は、初動が早く、率先して新たなことに挑戦していきます。

 意識が変わったことを実感できると、行動を起こした自分に自信が持てるので、思考が前向きになります。チームメンバーと一緒に行動を起こし、一緒に効果を実感します。変化への対応力を一緒に身に付けようとする人には、自然と前向きな人が集まり、助け合うことでポジティブな連鎖が拡がっていくのです。


 クライアント各社の「5%社員」たちにも、はじめはこういった行動実験に対して、抵抗を示す人が多数いました。しかし彼らは内省の習慣を持っていますので、行動を変えたことによって自分にメリットがあるかどうかを判定し、意義・目的がわかればそういった行動実験を継続していきます。


 さらにこの「5%社員」はその行動実験の結果を、同僚に広める傾向もありました。

 この情報共有の際には、はじめに良いことばかりをまくし立てるのではなく、「もともとは自分自身も抵抗があったが、やってみたら作業時間が8%減った」といった具体的なメリットを相手に伝えて共感を得ようとしていました。

「~すべき」と正論をかざしても、抵抗勢力は動かないことを「5%社員」は理解しているのです。

 相手と共鳴するために、はじめに相手と同じような悩みや課題を説明し、その悩みがどうやって解決したかを具体的に説明すれば、相手の腹落ち感を醸成できるわけです。

 社内で一目を置かれているのが「5%社員」ですから、周りの社員は、なおさら彼らのアドバイスを取り入れやすいのです。


 このことからも、組織として働き方改革を強力に推進するには、まずこういった「5%社員」の腹落ち感を作り、彼らを起点としてインフルエンサーを社内で増やしていくことでうまく推進できます。

 インフルエンサーが他の社員に対してポジティブな連鎖を起こすような仕組みにすれば、組織全体が働きがいを持つことができ、結果的に生産性も上がっていくわけです。