原則3
「5%社員」の85%が「挑戦」を「実験」と捉える
「5%社員」は、自発的に行動して、結果として自分の活躍できるフィールドを見つけます。天性の能力や運を否定はしません。しかし、成果を出し続けてトップ5%の評価を得る人材は、共通して行動の量が多いことが特徴的です。95%の一般社員よりも、「5%社員」の方が、会話やチャットで接する人数が多く、会議での発言頻度は一般社員より32%多く、社内での移動距離も22%長かったのです。
一方、評価が良くない社員の口癖は、「どうせ」や「だけど」です。
「だけど今は忙しくて手をつけられない」や「どうせ失敗してしまうから、やっても意味がない」と言って新たな挑戦を避けていきます。彼らは失敗することが怖くて、自分たちの可能性を閉ざし、思考を停止させてしまうのです。
これでは、変化に合わせて行動を修正していくことはできません。
全ては学びだと考える
「5%社員」であっても失敗することはあります。
しかし、失敗した時も「どこがダメだったからこうなったのか」「何を変える必要があるのか」といった点を自分に問い続け、失敗した理由を明らかにして次に活かすのです。
失敗の原因を責任転嫁していては、スキルアップにつながらず、いつまでたっても結果を出すことはできません。失敗してもそれを改善の材料と捉え、次の行動を修正していけば、成長できますし、成功にも近づいていくのです。
そもそも「5%社員」は、失敗をさほど悪いものだと思っていません。
むしろ成功しても学びがないことをネガティブに捉えます。
「5%社員」は、「この辛い経験によって学びを得たから、必ず次は失敗しない」と、失敗を自分にとってプラスの材料に変える癖をもっています。
迷った時は苦しいほうを選択する
自分の行動を変える小さな実験によって経験を得ることを目的にする「5%社員」は、あえて苦しい選択や難しい選択をすることもあるようです。
社内の超エース級である彼らは、昇進や昇格、そして部署異動といった複数の選択肢を与えられます。その中で、どう考えてもAのほうが良い条件にもかかわらず、あえて苦しいBを選択する人たちが複数いました。
例えば、ある精密機器メーカーで「営業部長が昇進して営業本部長になる」という選択肢と、「隣のマーケティング部の部長に横滑りする」という選択肢があったのですが、「自分が経験したことのないマーケティング部で経験を積み重ねたい」と本部長ではなく部長を選択したケースがありました。
以前はT型人材がもてはやされました。専門分野の深い知識をもつI型人材(スペシャリスト)に、他の分野に対しても幅広い知識と知見をもつという意味の横棒「│」をプラスした人材のことです。
今回の調査で、「5%社員」は自分にない経験やスキルを身に付けようとする人が69%もいることがわかりました。一方、一般社員ではI型のスペシャリストを目指す人が63%いました。
トップ「5%社員」は横の広がりがある幅広い知識と知見をもつことを、95%の一般社員は縦の専門性の追求を望んでいるのです。
「5%社員」は、変化の激しい中で対応力を高めていくには、1つのスキルや技術に固執することなく、より多様な能力を身に付けていったほうが市場価値が高まると思っています。彼らはたし算のスキルアップではなく、かけ算のスキルアップを狙っています。多様な経験をして、場数を踏んでいる人のほうが、社内でも要職につきやすく、同時に社外の市場価値も高まっていきます。
このように経験とスキルの複線化を進めると、社内外で評価が高まっていくのです。
経歴偏重の採用はキケン
こういった傾向からすると、単に過去の職歴や経験を重視した中途採用の募集を行うのではなく、その人が持っている変化対応力や、スキルの多様性などを見ていったほうが結果的には優秀な人材が獲得できます。
実際に弊社のクライアント企業で実験をしてみました。
職歴や経歴を重視した応募条件で中途採用を募集したケースと、1つではなく複数の職種経験を持つ人、といった多様性重視の応募条件で募集したケースでは、結果的に後者のほうが優秀な人材を採用することができました。
この2つのケースで、1年半後にその採用した社員が活躍しているかどうかを人事部長に判断してもらったところ、良い人材が採れたと回答したのは、職歴や経歴を重視した前者のケースでは64%だったのに対し、複数の職種経験を持つなどの多様性を重視した後者のケースでは82%でした。
このことからも、ひとつの大きな実績を残すことにこだわることなく、複数の職種で多様な経験を積むことが人材としての価値を高めるのだとわかります。