あとがき
初めましての方は初めまして。そうでない方はお久しぶりだったりそうでなかったりだと思いますがともあれどうもこんにちは。藤原祐と申します。
『@HOME』をお送りしました。
本書は今年(二〇一〇年)六月から十月にわたって『電撃文庫MAGAZINE』誌に短期集中連載されたものを加筆訂正、並びに書き下ろしを加えたものになります。連載時から文庫化を待ってくださっていた方、どうもお待たせしました。そんなんよく知らんけどなんか買ってみたという方、雑誌掲載分はすべてもれなく本書に収録されており文庫から入っても特に差し障りがある訳ではありませんので安心してお読みくださいませ。
どちらにせよ、楽しんで頂ければ幸いでございます。
本書は、家族のお話です。
言葉だけだと非常に漠然としていますが内容も割とそんな感じでして、ひと組の──親もなければ血も繫がっていない七人きょうだいという変わった構成の──家族が、笑ったり泣いたり怒ったり楽しんだりしつつ日常を過ごし、いろんな事件が巻き起こったり巻き起こらなかったりしつつ日々を暮らす、そんな物語です。
ナンバリングはありませんがシリーズの第一巻となり、今回は次女のリリィを中心にしたエピソードを描きました。次巻は別のきょうだいにスポットが当たる予定。
ところで実はこの「家族もの」、成立に際して少しばかり妙なエピソードがあります。
あれは昨年末だったでしょうか。
古橋秀之さん、三雲岳斗さん、築地俊彦さん、それから僕の四人が集まって、自分たちの過ごした一年を振り返りつつ来年の展望を話し合っておりました。そういう真面目なことも時々やるのです。いや、真面目といっても内容はといえば今年出た小説や漫画やアニメやゲームのどれが面白かったかとかどのキャラが可愛かったかとかそんなことばかりなのですが仕方ない仕事だもの。遊んでいた訳ではありません。
で、まあとにかく、その最中のことです。
みんなは来年どんなシリーズを用意しているの? という話題になりました。
すると、そこにいた四人中実に三人、具体的には三雲さん、築地さん、そして僕が言いました。「来年は家族ものをやろうと思うんですよ」と。
同時に。一斉に。示し合わせたかのように。なんというネタかぶり。
唐突に起きたシンクロニシティを目の当たりにした古橋さんは苦笑なさっておられましたが、恐らく「なんでこいつら同じこと言ってんだ」と「俺もシンクロ仲間に入れてくれ!」との中間みたいな気持ちだったのではないかと思います。たぶん。
僕も三雲さんも築地さんも、どういう思考回路を経てか「これからは家族ものが来る」的な結論に達し企画を練っていたようなのですが、恐らく三人ともがこの「家族もの」で他のメンバーをあっと言わせてやろうと考えていたに違いなく、でも蓋を開けてみればみんなを別の意味であっと言わせちゃったというオチで──同じ電波を受信せずに済んだ古橋さんを含め、それぞれの発表する作品でお手並み拝見、みたいな感じになってしまいました。
ちなみに築地さんの家族ものについては、既にファミ通文庫さんより『ふぁみぷれっくす』というタイトルで発表されております。同じ家族ものといってもやはり全然違う感じになってまして、よろしければこちらも手に取ってみてくださいませ……といっても、もちろん僕の本の後で! いくら先輩だといってもそこは遠慮する訳にはいかないのです。
まあ、裏話だったり家族ものという括りはともかくとして。
本質的には気軽に読める感じの、でも読んだ後で少しなにかが心に残るような、そんなお話にしたいと思っています。二巻以降は『電撃文庫MAGAZINE』で連載した後に文庫化という形になるのかそれとも普通に一冊分を書き下ろして発表するのか未定なのですが、どちらにせよ売り上げの許す限りは続けていきたいと思っていますので、どうか何卒、応援のほどよろしくお願いします。
本書を刊行するにあたっては、様々な方にお世話になりました。
まずは素晴らしいイラストでキャラクターたちに生命を与えてくださった山根真人さん。ご多忙な中にも拘わらず、本当にどうもありがとうございます。
担当の佐藤さん。毎回毎回繰り返される入稿のチキンレースですが、今回は軽く崖をジャンプして海に落下しそうになったところをどうにか引っ張り上げてもらったという感じで、なんというか本当にすみませんでした……。そろそろ従来の土下座では謝罪に足りなくなってきたので、土下座を超えた新しい土下座を発明せねばならない感じですがそんなことしている暇があったら原稿を書けと言われること間違いなしなので原稿を頑張ります。
先述したお三方、古橋秀之さん、三雲岳斗さん、築地俊彦さんにもお世話になりました。というか現在進行形でお世話になっております。なんだか僕ひとりだけがお世話になりっぱなしな感もありますが、素晴らしい先輩に巡り会えた幸せをわざわざ手放すつもりはありませんのでどうかこれからもお世話してください。
それから、本書を刊行するにあたってご尽力頂きました、アスキー・メディアワークス各部署の方々。また校閲さんやデザイナーさんなどの関係者さま。実際に本を売ってくださる書店員の皆さま。そして最後にこの本が届く相手、買ってくれた読者の方々に。
本当にありがとうございました。
前ページでも触れた通り、『@HOME』の続きは『電撃文庫MAGAZINE』に掲載するかもしくは文庫書き下ろし、いずれかの形でお届けしたく思います。まだはっきり時期が決まっている訳ではないので具体的にいつとは言えず、すみません。とはいえそんなに間を空けるつもりはないので、どうかしばしお待ちくださいませ。
ちなみに「藤原祐の次の本」としては、同時並行で進めている別シリーズ『煉獄姫』の二巻が先に出ます。割とシリアスなファンタジーもので『@HOME』とは毛色がけっこう違う作品なのですが、もし興味がありましたらそちらも是非。
藤原 祐