などと言いながらも一向に帰ろうとせず、いまもオレと一緒にリビングのソファーに腰掛け、こちらの肩に
美人な上に
なんてことを考えていたところ、おそらく来客だろう。ふと玄関のインターホンの音がリビングに響き、それを耳にするなりかおるんはくすりと
「ひょっとしたら、わたくしの帰りを待ち切れず、聖ちゃんが迎えにきてしまったのかも知れませんね」
「……案外聖もシスコンだからな」
かおるん自身はジョークめかしてはいたものの、その可能性は否定できないと思う。
来客に応じるべくオレがリビングから廊下に出ると、かおるんもついて来て「もし聖ちゃんだったら抱き締めてキスします。
と、かおるんの期待通りそこには聖の姿。だが彼女の隣には意外な人物の姿があった。
● ● ●
……しかしまさか
ちなみに、かおるんと修君が
五行家の新しいメイドさんこと氷雨ちゃん。彼女の望みは、もう一度かおるんと会うことだったらしい。そんな氷雨ちゃんの話をする際、宗悟さんは優しくかおるんに目を向け、
『氷雨はずいぶんとお前に懐いているようだな。電話でもお前の話題ばかり振ってくる程だ。氷雨もお前に会いたいんだろうと思ってな。予定よりも少し早いが、今日からうちで暮らして
と、そう口にして、それを聞いたかおるんはといえば、
『せっかくですから氷雨ちゃんに、
なんて言うが早いかオレの腕を取り、うちの玄関前に
おそらく
すると車の窓から、五行家の門の前に立つメイド服を着た少女の姿が確認できた。
腰まで
「
かおるんの言葉を受け、改めて少女──氷雨ちゃんに目を向けたところ、いつから門の前で待っていたのだろう? 氷雨ちゃんは無表情ながらも心持ち落ち着きなく視線を頻繁に動かしていて、夕暮れの中で
けれど、いち早くかおるんが車から降りて彼女の下に足を運ぶと、やはりあまり表情に変化はなかったが、氷雨ちゃんは
聖も宗悟さんも車から出ようとはしない。オレと同じようにふたりは穏やかに彼女たちの様子を見守っていて、そんな中、かおるんは表情に笑みを
「またお会いしましたね、氷雨ちゃん」
「……はい。今日からお世話になることになりました。よろしくお願いします、
「わたくしに、『様』なんてつけなくてもいいんですよ?」
やんわりと温かく、かおるんは笑みを濃くして続ける。
「今日からわたくしは、氷雨ちゃんのお姉ちゃんになるんですからね」
「……お姉ちゃん……ですか?」
「そうですよ。わたくしだけではなく、聖ちゃんも氷雨ちゃんのお姉ちゃん、
「おっしゃっている意味が……わたしにはよくわかりません」
戸惑ったように氷雨ちゃんが
「もちろんすぐには無理かも知れません。わたくしもそうでした。ですがこれからゆっくり、家族になっていきましょうね」
柔らかな言葉と共に、かおるんが頭を
「……わたしは悪魔で……皆に捨てられて……もう二度と……それに道具に家族は……」
ひどく声を震わせ、氷雨ちゃんは無理に拒絶しようとしたのかも知れない。けれど彼女の言葉が続くことはなく、かおるんは氷雨ちゃんを抱き寄せ、ぬくもりを乗せて告げる。
「今は何も言わなくて大丈夫ですよ。自分の気持ちを伝えたくなった時に、また話して下さい。ただ、これだけは覚えておいて下さいね。氷雨ちゃんが納得するまで何度でも言いますよ。あなたはもう道具ではありません。退魔の組織も、いつかわたくしと
──道具ではない。その言葉は、抱き締められたぬくもりは、もしかしたら子供の
それでも、彼女たちの姿を眺めているうちに……なんとなく思う。確かにすぐに家族になるのは難しいかも知れない。けれど一緒に過ごした思い出と、言葉を交わした記憶が氷雨ちゃんの胸に残る頃には……家族になれるんじゃないだろうか。
そんな予感は、次第に確信めいたものへと変わっていく。氷雨ちゃんはなにも言わなかった。それでもかおるんの抱擁に応じるように、
「──大丈夫ですよ。もう、大丈夫ですからね」
ふと、懐かしさを覚えた。昨夜オレが公園で抱き締めて頭を