何度経験しても慣れない。思わず零れてしまった本心に、僕の頰を温かいものが濡らしていく。沢山の思い出を心に刻んで、ようやく僕はこの街を出る。

「でぃしゃん、おはよう」
「ロロ、おはよう」
今日も僕はロロに会いにやってきた。この子は今までの子とは違う。まだちびっ子なのに僕の憂いを感じ取って、一緒にエルフ族の国に行きたいと言ってくれた。とても優しくて、強い子だ。
いつも通りにしていたつもりだったのに、自分でも意識していなかったのに、ロロを守っている神獣は気付いたらしい。僕を心配そうな顔をして見てきた。
「わふ?」
「ピカ、なんでもないよ。ちょっと昔のことを思い出しただけだ」
「でぃしゃん、でぃしゃん、こっこちゃんがね!」
「アハハハ、またコッコちゃんか」
「ぴか、のしぇて!」
「わふん」
今日も元気にピカに乗って畑の中を行くロロ。ロロで最後にしようかな。そんな思いも
ずっとルルンデに滞在しなくても大丈夫なんだからと、国の長老にも言われていたし。
ロロと一緒にエルフ族の国に行こう。ロロはあの国を見たらどれだけ驚くだろう。ロロが望むなら一緒に旅に出よう。今から楽しみだ。思わず笑みがこぼれてしまう。
「でぃしゃん! はやくー!」
「今行くよ!」
ロロの周りは賑やかだ。コッコちゃんの雛がいる。まさか進化させるなんて夢にも思わなかった。それに、ロロの作ったプチゴーレム達。アハハハ、ヒューマンのロロがゴーレムを作るなんてね。
この世界の主神である女神に愛されるロロ。こんな加護を見たのは初めてだ。どんな大人に成長するのだろう。どんな楽しいことが待っているだろう。
僕は送る悲しさより、一緒にいる時の楽しさを覚えていたい。
ロロを追いかけて走る僕の髪を、緩やかで温かいそよ風が揺らしていった。