「ふぁ~」
「わふん」
「ん、ぴか。おきたのら」
「キュルン?」
「うん、したにおりよう」
ベッドから、モソモソと出て1階に下りて行く。ディさんとマリーが話している声が聞こえた。
「まだ、返事がないんだ」
「そうなんですね。時間が掛かるのでしょうか?」
「そうだね、申請だから順番もあるのだろうね」
何の話なのだろう? 大人の話なのかな?
俺が、トントンと階段を下りて行くとマリーが気付いた。
「ロロ坊ちゃま、目が覚めましたか」
「うん。まりー、おのろがかわいたのら」
「はいはい、果実水でいいですか?」
「うん」
「わふ」
「キュルン」
「まりー、ぴかとちろもほしいって」
「はいはい、分かってますよ」
ディさんがソファーに座ってた。いつも食事をしているテーブルの下には、コッコちゃんファミリーが勢揃いしている。親コッコちゃん7羽に、雛が6羽だ。増えたね~。
「ロロ、よく眠れたかな?」
ニッコリとしてくれる。さっきはマリーと、真剣なお話をしていたみたいだけど。
「うん、でぃしゃん」
俺、ちょっと思っちゃった。今更なんだけど、少し心配したのだ。
「でぃしゃん、おしごとしないの?」
「ん? ディさんはそんなに毎日働かなくてもいいんだよ」
「ろうしてなのら?」
「今まで頑張って働いてきたからね。余裕があるんだよ」
要するに、お金持ちってことなのかな? セレブなのか!?
だってSSランクだ。きっと、SSランクが受けるクエストなんて大変なのだろう。報酬も良いのだろうけど。
「ボクも、ぼうけんしゃになるのら」
「えー、ロロは戦うの嫌って言ってたじゃない」
「うん、こわこわ」
「じゃあ、無理だよ。すっごく強い魔獣とかいるよ?」
「えぇー、こわこわ。むりなのら」
「ね、ロロに合ったお仕事をすればいいんだよ。ロロは手先が器用だ」
「ししゅう?」
「そうだね。大きくなったら、もっと付与もできるだろう。ポーションだって売れるよ」
「あー、しょっか」
「そうだよ」
それを忘れていた。
「ふふふ。はい、果実水ですよ。ディさんもどうぞ」
「マリー、有難う」
「まりー、ありがと」
そっか、俺に合ったお仕事か。そう考えると、今趣味でやっている刺繡にもっと付与できるようになれたらいいな。
もっとリア姉とレオ兄を、守ってくれるようにリボンもバージョンアップしたい。それに、ポーションだ。そうだった、ポーションは売れるじゃないか。上級のポーションを作れるようになれたらいいな。魔石にも付与できるようになりたい。
俺はディさんの隣に座って、両手でコップを持ってコクコクと果実水を飲む。ピカとチロも飲んでいる。コッコちゃんはいらないのかな?
「コケ」
「コッコ」
「しょうなの」
お昼の後にお水をもらったらしい。いつもよく喋るコッコちゃんが、分かるようになってきた。主に2~3羽が代表して話してくれる。リーダーさんかな? 日替わりだったりして。
そんなことをされると、余計に区別ができない。やっぱおリボンでも、つけるべきか? 七色もないよ。レインボーじゃん。
鶏冠の色が違うとか、一目見ると分かるような特徴があったら良かったのに。七色の鶏冠のコッコちゃん。それも良くない?
「ロロ、行こうか?」
「うん、でぃしゃん」
「コケッ?」
「こっこちゃんは、おるしゅばんなのら」
「コッコ」
「うん、おねがいね」
「コケ」
お留守番は任せて。と言ってくれた。何を任せるのやら。コッコちゃんは弱っちいのに。
でも、お利口さんだから安心してお留守番を頼める。誰もいない時に勝手にどこかに行ったりする心配はない。一応、柵の中には入っていてね。
ディさんとマリーと手を繫いで歩く。後ろにはピカ、俺のポシェットにはチロだ。最近はこれが定番になっている。教会にもよく行くようになった。
少し前は、教会まで歩くのも疲れていたのに、大分慣れてきた。行きも帰りもちゃんと自分の足で歩いている。前はマリーに抱っこしてもらったり、ピカに乗ったりしていた。
俺も成長しているのだ。
今日は先に『うまいルルンデ』に行く。扉を開けて入るとエルザがいた。
「ロロ坊ちゃま、ディさん、おばあちゃん。コッコちゃんですか?」
「そうだよ、エルザ。ご主人は忙しいかな?」
「もうお昼のピークは過ぎたから大丈夫ですよ。呼びますね」
「ああ、裏に回っているよ」
「はい、分かりました」
すぐに出て『うまいルルンデ』の裏へと向かう。いたよ、いたいた。コッコちゃんが4羽だ。おや、雛がいる。良かった、淡い黄色の雛だ。3羽もいるのだ。
「でぃしゃん、きいろらね」
「そうだね。普通の雛だ」
普通とは
ピヨピヨと鳴きながら、親コッコちゃんの後に付いている。ここのコッコちゃんも柵の外に出ている。そこは一緒なのだね。コッコちゃんはお利口さんだから、柵の扉を上手に開けちゃう。
ここのコッコちゃん達はお馬さんとも仲良くしているみたいだ。『うまいルルンデ』の裏には、お馬さんが2頭いる。
「こっこちゃん、おいれ」
「コケッ」
「うん、げんきらね」
「コッコ」
最近コッコちゃんとばかり話しているぞ。いいけど。
「よう、ディさん」
「オスカーさん、雛が孵ったんだね」
「おうよ、丁度1週間で孵ったんだ」
「誰が温めていたの?」
「メアリーだ。俺だと『お座り』しなかったから、メアリーの方が良いかと思ってさ」
「相性もあるみたいだけど、あんまり関係ないみたいだよ。あれは本当のテイムじゃなかったんだ」
「そうなのか?」
「そうなんだよ。本当にテイムしたらコッコちゃんが光るんだ」
「ほう、そういえば、光らなかったな」
「でしょう? (仮)って感じかな。でもコッコちゃんは、お利口さんだから大丈夫でしょう? オスカーさんにも懐いているし」
「おう、そうなんだよ。懐いてこられると可愛いんだ」
それからディさんは、コッコちゃんにクリーンすることを話していた。俺は毎朝クリーンするけど、そんなに毎日しなくても大丈夫だと思うよ。
でも、朝ごはんをあげる時についでにしておく。コッコちゃんだけじゃなくて、柵全体にクリーンする。その方が気持ちが良い。気持ちの問題なのだけど。
「クリーンか。それは気付かなかったな」
「ロロがしているんだ。そしたら、コッコちゃんの臭いがしないよ」
「そりゃ、いいな」
そうだろう? 『うまいルルンデ』は食堂なのだから余計に良いと思うよ。
雛も孵っていると確認したことだし、次は孤児院に行こうかな。
その時、オスカーさんが言い難そうに俺を呼び止めた。
「あー、それとロロ。ディさんから聞いたか? コッコちゃんだけどな、1羽だけだけど貴族に譲るかも知れない。どこから聞きつけたのか、フォリコッコがいるなら是非食べてみたいと言ってきたんだ」
「うん、きいたのら。しかたないのら」
「そうか」
「うん。おしゅかーしゃんとこの、こっこちゃんらし」
「そうか。俺も本当は嫌なんだけどよぉ」
そうだよね。オスカーさんだって、可愛いって言っていたもん。
「だからな、大きくなったらそのまま引き渡そうかと思ってんだ。俺には絞めらんねーよ。そんな可哀想なことできねー」
「しょうらよねー」
「おう。引き渡すのだって悲しくてよぉ」
あらら、オスカーさんが涙目になっている。身長も高くてガタイの良い体で、どっちかというとイカツイのに。意外にも
「また孵化させたら良いよ。沢山増やしてよ」
「ディさんがそう言ってくれると少し気が楽だぜ。卵料理はスゲー評判良くてな。毎日数量限定なのに、あっという間に売り切れるんだ」
「ひょぉー! しゅごいねー!」
「だろう? 卵だけで充分だよ」
そうなのだよ。卵だってとっても美味しい。卵だけで充分だよ。コッコちゃんを食べようとは思わない。
「な、そうだよな!」
「しょうら!」
オスカーさんと思わずグータッチだ。同じ心境だ。同志だ。
さて、次は教会に行こう。
「あー! ディさん! ロロ!」
教会の前で子供達がワラワラと集まっている。孤児院の庭じゃない。教会の真ん前だ。街の人まで取り囲んでいる。みんなでコッコちゃんを囲んで見ている。
街の人達が、コッコちゃんを撫でたりしている。コッコちゃんも、大人しく撫でられている。
人気者になっているのではないか? もう、馴染んでいるじゃないか。これは、コッコちゃんの世渡り術なのかな?
「こんな場所で何してんのかな?」
「コッコちゃんを散歩させてんだ。毎日散歩してるんだ」
「えぇー、おしゃんぽ?」
「ロロ、来たか」
いつも遊んでくれるニルスがいた。
「孤児院の庭だと狭いからさ、庭から外をぐるっと回って毎日ここまで散歩してんだ。そしたら、街の人達にももう慣れちゃったんだ」
確かによく慣れている。全然怖がったり
孤児院はすぐそこなのに、散歩って必要なのか? とも思うのだけど、コッコちゃんの首に縄を付けて歩いているらしい。よく見ると、縄とは別に首にチョーカーを着けている。あれだね、ギルドで貰った登録している証明だ。
うちのコッコちゃん達も、みんな着けている。そのチョーカーの鎖に、色違いのリボンを付けてある。それで区別しているらしい。そういえば……
「でぃしゃん、ひなも、とうろくしなきゃらめ?」
「雛かぁ、どうだろうね。ギルマスと相談しておくよ」
うん、お願いなのだ。でも、この調子だとどんどん増えるぞ。きっと、雛が次から次へと孵化しちゃうぞ。そうなると、ギルマスが大変だ。
「昨日、2羽孵ったんだ」
「みせて、みせて」
「おう。ロロ、こっちだ」
みんなでコッコちゃんを連れて、教会をグルリと回り孤児院へと向かう。孤児院と教会の間にある中庭。そこに、コッコちゃんの柵がある。その中にいたよ。無事に淡い黄色の雛が2羽。
「でぃしゃん、きいろら」
「そうだね、良かった」
え? オレンジやピンクだと駄目なのか? ん? 引っ掛かったぞ。
「ロロ、駄目なんかじゃないよ。だけど、普通でもないよね」
確かに、うちのコッコちゃんは普通ではない。ピンクの子は回復魔法が使えるようになるらしい。魔鳥さんなのに。コッコちゃんなのに。オレンジの子達は、孵化したばかりなのにダッシュして走り回っていたりする。何度も言うけど、コッコちゃんなのに。
「まあ、でもロロのところだけだろうね」
「しょう?」
「そうだよ。みんなロロ程の魔力量はないから」
「え……」
「ん? 何かな?」
「ボクしょんなにあるの?」
「あるよ~。大人のオスカーさんの何倍だろう?」
「えぇ……」
「君達兄弟は多いよ。ロロとレオは特に多い。もしかして遺伝なのかもね。レオがお母さんに魔法を教わったって言ってたでしょう。だから、お母さんは魔力量が多かったのかも知れないね」
マ、マジなのか? 俺はそんなに多いとは知らなかった。そうか、でもこれは母さまの贈り物かも知れないのだね。そう思うと嬉しい。俺は両親の顔も覚えていないから。
そんなに魔力量が多いとも知らずに、俺が卵に少しだけと思って魔力を流していたのは、少しなんかじゃなかったということなのか?
「今頃何を言ってんだよ~。だから、オレンジの子達が生まれたんでしょ? ロロはまだレオみたいに、どれ位の魔力量でどんな魔法が発動するのか加減が分かってないんだ。だから仕方ないよ」
ああ……やっちまってたのか。いかんな。これから気をつけよう。魔力を流すのは、ほんのちょびっとだけにしておこう。うん、そうしよう。
「アハハハ! ロロはそのままでいいよ~」
「らって、でぃしゃん。またおれんじのひなが、うまれてくるのら」
「いいよ、いいよ~。その方が楽しいじゃない」
「えぇー」
「ふふふ。ロロ坊ちゃま、大丈夫ですよ。色が違っても、お利口ですから」
「しょお?」
「はい。全然大丈夫です」
マリーは太っ腹だ。いや、これもある意味大雑把と言えるのではないか? ディさんは、教会でもコッコちゃんにクリーンすることを伝えた。そして、どんどん増やして欲しいと話していた。
「ディ、どれだけ増やすんだ?」
ビオ爺が聞いてきた。例の計画があるからね。まだまだ増やさなきゃ。
「この前、話したでしょう? だからもっとだよ。それでも、子供達で世話できるでしょう?」
「まあな、コッコちゃんは利口だから手も掛からないさ」
「そうなんだよ。それでね……」
ずっと一日中コッコちゃんに付きっきりという訳ではない。だから、合間に子供達に読み書きと簡単な計算を教えて欲しいと。ディさんが話した。
「て、ことはあれか? 孤児院の子供達だけじゃなくて、地域の子供達も巻き込むのか?」
「そうだよ。でも、まずはストリートチルドレンだ」
「おう、それはいい」
この街には、いるらしい。路上生活している両親のいない子供達が。それを聞いて、俺はショックだった。ストリートチルドレンだ。親がいなくて、小さな子供達が路上生活をしている。
そんなの、遣る瀬無い。胸がキュッと締め付けられるよ。どうやって食べている? どこで寝ているのだ? 雨が降ったらどうするのだよ。お風呂は? トイレは? 病気でもしたらどうするのだ。そんなの
俺達だって、両親がいない。ただ、ピカがいたから邸の物を沢山持ち出せた。それが、この街に住む時の資金源になった。言ってみれば、あの女神のお陰だ。
それに俺には、ピカだけじゃなく兄弟がいた。マリー達がいた。だから、今も温かいご飯を食べて、フカフカなお布団で眠れるのだ。もし……もしも、俺一人だったら……? そんなの考えただけで、胸が締め付けられて涙が出そうになる。
「ロロ、大丈夫だよ。これからだ」
「でぃしゃん……」
「できるだけ多くの子供達を保護するからね。僕達大人の責任なんだ」
「そうだ、ロロ。そんな、辛そうな顔をするな」
「びおじい」
「あらあら、ロロ坊ちゃま」
マリーが抱き上げてくれた。俺、そんなに辛そうな顔をしていたのか?
ちょっぴり涙が出そうになって、思わずマリーの首に抱き着いてしまった。
「また僕が領主様と相談するからさ。それまでは少しずつでいいから増やしてよ。卵を売ることを相談してくる。教会の資金になるからね。それに、小さな子達が優先になるけど保護してくるよ」
「おう、分かった」
ふむふむ。コッコちゃんは大きいから、数が多くなったらこの中庭だけでは狭くなってしまうだろう。今だって中庭だと狭いからと言って、お散歩をさせているくらいだ。きっと、ディさんはそのことを考えている。俺は『ふむふむ』と頷きながら、腕を組み片手を顎にやっていた。どうだい? ちょっぴり生意気で偉そうだろう? ちびっ子なのに。ふははは。
「ロロは本当に賢いね。もう、理解しているんだろう?」
「でぃしゃん、なにが?」
「アハハハ、そんな天然なところもとっても可愛いよ~」
何がだろう? なんだったら俺を社長と呼んでもいいのだよ。いや、会長かな? それくらいに貫禄があるだろう? なんてね。
ディさんとビオ爺が相談して、取り敢えず1日1個ずつ卵を温めることになった。あまり多くなっても、孤児院の子供達に負担が掛かってしまう。それに卵は孤児院の子供達にとって大事な栄養源にもなっている。1日1個程度なら大丈夫だろうということだ。
それでも、だいたい1週間後には7個の卵を温めることになる。それまでに孵化しちゃう可能性もあるのだけど。一日中、温めないといけない訳じゃないから平気らしい。ハンナとニルスで手分けして温めている。ディさんが、他の子供達もできそうな子がいないか見ている。今は物珍しいから、みんなやりたがっている。子供ってそうだよね。目新しいものには飛びついちゃう。
「ロロもまた温めてよ」
「え、おれんじいろに、なっちゃうのら」
「いいじゃない。番犬みたいでさ」
いやいや、コッコちゃんだよ。いくら身体能力が上がっているといっても、元はコッコちゃんだ。
「もう少し大きくなったら、もう一度僕が見るよ」
おう、精霊眼だ。ホント、俺も欲しいなぁ。聞いてるか? 泣き虫女神。何度も言っているけど。
最近、大人しいな。どうしたのだろう? まあいいや。
それから、ニルス達と少し遊んで俺とマリーは教会を出た。ディさんは途中まで一緒だった。今日は、ギルマスに用事があるんだって。だから、ギルドの前でバイバイだ。
「丁度良いから、コッコちゃんの雛のことも聞いておくよ」
「うん」
「また明日ね~」
え? 明日ね~、なのか? お手々はフリフリしておくけれども。
「まりー、でぃしゃんが、またあしたっていった」
「そうですね。ふふふ」
「むふふふ」
「あらあら、嬉しそうですね」
「うん。にぎやかれいいのら」
「そうですね」
家に着くと、コッコちゃん達が柵の前で整列して座っていた。何故に? どうした? 端から番号でも言っちゃう? 点呼しちゃおうか?
「コッコ」
「コケッ」
「うん、たらいま」
おかえり~って言ってきた。
「ろうして、そこれ、ならんれるの?」
「クククッ」
「コッコ」
ああ、そうなんだ。分かった、すぐに掃除するよ。自分達の排泄物があるから、中に入りたくないんだって。なら、外ですればいいのに。そうだな、場所を決めておくか?
「れきる?」
「コッコ」
「コケッ」
当然じゃない。その方がいいよ。だって。ん~、なんだか腑に落ちないなぁ。
そんなにお利口さんなのに、どうして中でするのかな?
「まりー、こっこちゃんのおうち、おしょうじしゅる」
「はいはい。小さい方の
「うん」
小さい方の箒ね。俺用って訳じゃないんだけど、普通の箒より持つところの長さが半分位のがある。それを使ってとマリーが言っていた。長いのは俺も使えないからね。ちびっ子だから。その箒を手に柵の中に入る。あらあら、これは酷いや。
コッコちゃんは、眠る時に藁の上に集まって眠る。そこに卵も産む。なのに入れてある藁が散らばっていて、その上に排泄しているのだ。これは、藁を替えないと駄目だ。取り敢えず、排泄物を外に出しちゃおう。箒で掃いて一箇所に纏めて、そのまま外まで掃いていく。
「まりー、こっこちゃんの、わらかえたいのら」
「はいはい、ちょっと待ってくださいね」
ごめんね。マリーは夕食の準備があるから忙しいのに。と、思っているとニコ兄とユーリアが帰ってきた。丁度いいや。
「ロロ、掃除してんのか?」
「うん、こっこちゃんが、うんちしちゃって」
「ああ、嫌がるだろう?」
「しょうなのら」
だからね、排泄する場所を決めようと思うのだ。
「こっこちゃん、ここは?」
俺が箒で柵の中の片隅を指す。
「クク」
あら、嫌だって。首をちょっぴり横に傾けている。柵の中が嫌なのか?
「じゃあ、あっち?」
「コッコ」
やっぱりだ。柵の外が良いらしい。自由に出入りするから良いんだけど。柵の意味があるのか? って、話だ。夜はみんな柵の中に入って眠っている。だから、お家だという意識はあるのだろう。
「にこにい、あっちにうんちしゅるとこきめる」
「するとこ?」
俺はニコ兄に説明したのだ。排泄する場所を決めておく。その方がお掃除も楽だしね。
でも、コッコちゃんは柵の中は嫌だと言った。だから柵の外の、すぐ近くにする。
「おう、いいな。分かった。で、どうするんだ?」
