八王子の知人。因果応報で刺される
4月5日「喧嘩で怪我人が出た」と通報を受けたナコンサワン県警。現場の役場には床にいくつもの血溜まりができていた。
この騒ぎで喉を刺され負傷し病院に搬送された被害者のナット氏(54)は、有名娯楽施設の元オーナー。一方、彼を刺したとされる中年男性は事件後即座に逃亡した。
警察が監視カメラの映像を検証すると、白シャツの男を何度も振り返るナット氏の姿。目撃者の証言によれば、白シャツはナット氏とも親しいシリチャイ氏(53)という男。
役場のど真ん中でナット氏と口論を始めたシリチャイ氏だが、最初は周りの人々が止めに入っていた。しかしその後、口論はヒートアップ。ナット氏が腰からベルトを引き抜いてシリチャイ氏を打ち始めると、これに逆上したシリチャイ氏がナット氏の左耳をナイフで刺し、重傷を負わせた。
2人を知る者の証言によれば、ナット氏から金を借りたシリチャイ氏が返済できず、会えば口論が絶えなかったという。今回は激怒したナット氏が返り討ちを喰らった形だ。
逃走したシリチャイ氏は後に自首していますが、それはさておき刺された方のナット氏、実は古くからの知人だったりします。
多少のタイ語が出来た私は2010年から約1年間、ある謎の財団で手伝いをしていたことがあります。
その財団、八王子にあるタイの寺を宗教法人とする為、密かに活動していたのですが、最初の会合の後、慣れない私を車で京王八王子駅まで送ってくれたのが、何を隠そう財団理事だったナット氏。そう、今回ナコンサワンで刺された御方だったのです。
「入管に提出する書類の作成代行をしているんだけど、校正してくれる人がいなくてネー」
ハンドルを握りながら日本語で語るナット氏は 「資金難でお金は払えないけど、誰かいませんかネー……」と続け、そっと私の顔色を伺うのでした。
カネは無いと言いつつ、運転するのは結構な高級車。私は幾分不信感を抱きながら「考えておきます」とだけ返事して、後日「きちんと報酬が出るのであれば、お手伝いします」と改めてメールしたところ、それっきり、ナット氏は私を無視するようになりました。
私と顔を合わせた瞬間、それまで微笑んでいたのがうそのような仏頂面に早変わり。最初からタダ働きさせるつもりだったのでしょうが、離婚した日本人妻が校正の前任者だったと知って、やっぱりそうかと頷きました。
その元妻から引っ張ったお金で、ナコンサワンにアパートまで建てていたナット氏。老後は家賃収入で悠々自適だそうですが、彼自身の日本語はお粗末なもので、実務のほとんどは、貧乏なふりをして知り合った周りの日本人たちに丸投げしていました。
タイの好きな脇の甘い日本人女性に笑顔で名刺を撒き、「書類の校正をしてくれマセンカ? ノーギャラで……」と持ちかけ、裏では彼女たちをバカにしていたナット氏。
ある日本人女性が未払いの賃金を要求したところ「俺にはマフィアの友達がいるんだけど」と凄まれたそうです。当時は「何言ってんだこいつ?」と首を傾げるだけでしたが、今回の事件でわかりました。ご自身がマフィアだったんですね。
渦中にあった八王子のタイ寺は、2015年のソンクラン前に火事で全焼。ここの住職もとんでもない悪人で、内情を知る人は「仏罰だ」とささやき合っていましたが、私もそう思います。
タイに戻ったナット氏は、ナコンサワンにキャバレーをオープン。その後、シリチャイ氏に刺された監視カメラの映像がユーチューブに流れ、タイでも一躍ちょっとした有名人に……。
本件もソンクラン前の出来事ですが、彼を嫌うタイ人たちは「仏罰」という評価で一致しています。
有名ソープランド摘発の背景
2016年6月7日、内務省地域保護局とホイクワン署は、人身売買に取り組む国際NGOの通報を受け、軍の治安維持部隊を伴いラチャダーピセーク地区の超有名ソープランド「ナタリー」に突入。マッサージ名目での売春を摘発した。
合計119人いるホステスのうち、約一割が未成年。その半数以上が不法就労の外国人だった。3カ月以上の内偵調査を続けた当局は、未成年少女3名の身柄を確保した。店内からはあわせて、各方面への賄賂が明記された帳簿も押収されている──。
はいこれ、政府によるタクシン派の資金源潰しですね。
ナタリー摘発後、近隣のソープランドにも(形だけ)捜査が入りましたが、かねてよりホイクワン署が外国人風俗嬢に1カ月有効の青い紙を1000バーツで売り付け、捜査官にその紙を見せればお目こぼし……という収賄話があったにも関わらず、本件もホイクワン署が担当するという猿芝居ぶり。
今回の「ナタリー」摘発も、未成年及び外国人売春の取り締まりというもっともらしい理由にこじつけた、ただの見せしめに違いありません。あっさり帳簿が出てくるところも茶番です。
ところで私は、ナタリーというソープが日本人に人気、という話だけは聞いていたものの、理由まで知らなかったためググッてみると、ある風俗系ブログに 「ロリが多い」という一節を見つけ、「あ、それか」と即座に納得してしまいました。
NGO顔負けのナタリー内部情報をアップしたブログを見れば、少女買春の体験談が充実。読めば単なる性犯罪者の自白ですが「なぜ軍事政権はロリを摘発するのか? 現在調査中」というブロガーも発見。調査の結果、未成年売春は深刻な犯罪だからという結論にたどり着けるといいですね……。
創業20年を超える老舗ソープランド・ナタリー閉鎖のニュースは、瞬く間に日本のケダモノさん達の注目を集め、その盛り上がりっぷりは、往年のジュライホテル閉鎖に匹敵するものがありました。
その後、中国奥地に幻の少女売春地帯を求め、突き進むブログも見つけました。現時点ではまだ買春出来ていないようですが、情熱だけは見習おうと思います。
(了)