喫茶・軽飲食・アミー 岐阜県恵那市

 

 

 このコーナーのトビラにもなっている物件。どこだかご存知ですか?

 長年、喫茶ブログをやっていると、読者からタレコミをもらうこともある。

 キーボードの前で寝落ちしていたある夜、知らない人から届いた一通のメール。

 

 アミーっていう良い感じの喫茶があります。たぶんあなた好きでしょ? こういうの……。

 

 そっけない文面に添付されていた写真を見たら、ウエッ、コリャ行かなゃならん店だ!

 場所は恵那市。恵那市ってどこ? 調べてみれば私の暮らす北海道から遥か離れた岐阜県の南東部。ちょっと遠すぎ。

 

 遠すぎてやめようかな……とも思った。だが、今行かねば消えてしまうかもしれない純喫茶。あるうちに行け! 行かなきゃ一生後悔するぞ! が鉄則である。そんなわけで数日後、私は岐阜に入った。

 目指すアミーがあるのは山間部の明智町という田舎町だ。明治から昭和の建物が連なる古びた町並みを活かした「日本大正村」というレトロテーマパークの一角である。

 観光地と聞いて覚悟したが、着いてみれば意外なほど落ち着いた静かな町。観光客におもねず、無理やり感がない。

 

 やがて、喫茶アミーを擁する「笹乃家旅館」にたどり着くと、入り口で懐かしいレーザーディスクの看板が私を迎えてくれた。よかった。営業しているみたいだ……。

 

 地下へ続く階段を降りる。階段右手の古めかしいガラスケースには、瓦屋根や酒瓶、「おいでやす人形」などが収まっていた。

 色とりどりの水玉模様が踊る壁紙、喫茶店らしくない真っ赤なドアに興奮する私をなだめるように、ママさんが店の由来を聞かせてくれる。

 

 アミーが間借りする「笹乃家旅館」は明治40年開業。製糸産業が盛んだった大正時代に一部を改装して喫茶兼スナックがオープンしたという。

 今年で創業95年。すごいよね!

 

 どぎついくらい真っ赤なドアはセルロイド製。きっちり固定されておらず、ちょっとした風でガタガタ動くため、端に漬物石が置いてある。

 昼は喫茶、夜はスナックとなる店内は思いの外広々、カウンターとテーブル席をフルに使えばそこそこの団体でも宴会できそうだ……。

 

 などと空想しながらホットコーヒーを楽しんで、お会計。

 マッチやライターなどの記念品を頂き、反対側にもうひとつある出入り口から退出した。建物に高低差があるため、入る時は地下に潜り。店から出るとそこは一階。

 あいにく満室で、母体となる「笹乃家旅館」には宿泊できなかったが、次回こそはフルに堪能したいと願っている。

(了)