第五章 反乱
そこは深く濃い霧に覆われた渓谷である。
魔王城より遠く離れた、竜族の住まう谷。その名も「ギアナの顎」という。
炎竜、氷竜、雷竜と、様々な種類のドラゴンがそこにいた。霧を割って飛翔する巨躯、切り立った崖の中途、張り出した岩棚で身を休めている者もいる。
その渓谷を見下ろした、山の頂上に、槍の穂を連ねたような竜族の城はあった。
「魔王めが……魔族というものをなんだと思っているのかっ」
その一室。円卓の設けられた石造りの部屋の中で、その男は忌々しげに怒鳴る。
長い髭をたくわえて、堂々とした体躯の男である。
身に纏った竜鱗の鎧が、まるで生きているように輝いていた。
彼はファブルーニル・グラント。竜族の長であった。
「まったくだ。ニンゲンと、友好だと? 魔界の平和? 聞くに堪えん戯れ言だ」
グラントの言葉に然りと返すのは、天井に頭が触れそうなほどに大きな男だ。グラントも巨漢であるが、その大男と比べたら、大人と赤子である。
グラントを、縦に三人並べたくらいの身長はあるだろうか。素っ裸で、青黒い、青銅がごとき体表は、隆々とした筋肉が盛り上がって、まるで小山のようだった。
彼はアレグオム。巨人族の長だ。
「ヒヒヒッ! ニンゲンってのは、叩いただけで死ぬくらい弱いんだろう? さっさと向こうに攻め入って、支配してしまおうや。クヒヒヒヒッ!」
金属をすりあわせたような、不快な声で、別の男が嗤った。枯れ木のような手足。下腹が、妊婦のように膨れている。さながら餓鬼のような風貌の男。
「ニンゲンの──女の肉ってよぉ。やわっこくて、たまらねぇんだぜぇ? アソコに突っ込んで、ヒィヒィヨガリ狂わせるのがたまらねぇんだ」
グール族の長、クルエルはそう言って、またヒヒヒと嗤った。
「わしはまた獣人やエルフを好きなように喰いたいわい」と、アレグオムがぼやく。
獣人やエルフは、巨人族の好物である。その腕で獲物を捕らえては、まるで野菜のようにバリバリと喰らってしまうのだ。
だが、魔王が魔界を支配してからは、それも制限されていた。
「弱肉強食は世の理であろうが。まったく……」
獣人を食した時のことを思い出しでもしたのだろう、じゅるりと巨人が涎を啜った。
どん、とグラントが石卓を叩く。
「そういう話は後にしろ。今は、我々は今後、どうするべきか、だ」
「魔王のいいなりにはなれん。……だが、あの男の魔力は絶大だ」
ぶるり、とアレグオムが巨躯を震わせた。グラントもまた、戦場で、凄まじい魔力を行使する魔王アスモデウスの姿を思い出す。あの時の魔王こそは暴力の化身だった。あの魔王だからこそ、ついてゆこうと思ったのだ。魔界を平定し、人間界すら蹂躙する。
三千世界の鴉を殺し、すべての世界を魔界の闇に染め上げるのだと、そう信じていた。
だが、妻を娶り、娘が産まれ、妻が死んで、彼は変わった。
暴力衝動はなりを潜め、子煩悩ですらあった。
──あの女との間に、子を成したことが、誤りなのだ。
「……魔王は娘を溺愛している。娘を、利用しよう」
「ふむ。人質に取るか。娘はまだ幼いから、力もそれほどではあるまい」
と、アレグオム。
「クヒヒッ! だったらよう、いっそ、童園とやらに攻め込むか?」
クルエルが身体を震わせて、アレグオムがまた頷く。
「それはいいかもなぁ。ついでに、童園のガキどもを喰らい尽くしてやるか」
「メスガキもたくさんいるんだろう? そっちは俺に回してくれよ。何百という俺の仲間たちで、犯して犯して犯しまくってやる。ヒヒヒヒヒッ!」
楽しげに、嬉しげに。巨人とグールが嗤っている。
血と暴力の渦巻いた、かつての魔界を想い、グラントが目を閉じる。
「軍のすべてに号令を。二陣に分ける。一つは魔王を誘き出す陽動だ。そちらは、捨て石でよい。そして第二陣。こちらを主力にして、童園を占拠する。我々も二陣に加わるぞ」
そしてかっと開いた瞳は、蛇のように細く、鋭く、禍々しかった。
「童園など、叩き潰してしまおう。そこにいる子どもなど、すべて食らい尽くしてなくしてしまえ。そうすればまた、この魔界に、怨嗟の声が吹き荒れるだろう」
「せんせっ、せんせっ、あーんっ」
床にあぐらをかいて座る保志の膝に、クーフェイのちっちゃなお尻が乗っていた。
餌を欲しがる雛のように、彼女は大きく口を開けて待ちかまえている。
そこに、箸の先に摘んだ卵焼きを落としてあげた。
「あむあむっ。ううんっ、おいしいぞっ、やっぱりニンゲンのご飯はいいなっ」
尻尾をぱたぱたと動かして、クーフェイは嬉しげだ。
お昼休み。めいめいが、昼食を取っている。
よっぽと人間界の食事が気に入ったのだろうか、このところ、獣少女はお昼のたびに保志へと擦り寄っては、弁当をせがんできた。
「ちょ、ちょっとクーフェイっ! いいかげんになさいましっ。保志に迷惑でしょうっ」
そんなクーフェイを、リリアがなんとか引き剥がそうとするがびくともしない。
膂力においては獣人に敵うべくもないし、それに、クーフェイの手の爪が、保志の太ももにぎりりと食い込んでいるからでもある。ぶっちゃけもの凄く痛い。
「えー。べつにいやじゃないよな、せんせ?」
「いや、まあ、嫌ではないが、できれば自重してほしいなぁ」
あと太ももの肉がちぎれそうです。
と、幼女に腕力負けして座椅子になることを余儀なくされた成人男性が情けなくこぼす。
「保志も保志ですわっ! 本気で追い払いなさいましっ! そうすれば退くでしょうに」
と、リリアは眦を吊り上げやたらと怒鳴ってくる。
こんな他愛ない触れあいで、何をそんなに怒っているのだろう。
「むーっ。リリアも座りたいんなら、座ればいいんだぞっ」
と、クーフェイが保志の、左足にお尻をずらした。右側が、空く。
「な、何を言いますのっ。わたくしが言いたいのはそういうことではありませんわっ。この、童園の秩序のために、言っていますのよっ」
「座りたくないの? じゃあ、やっぱり……」
「ななななな、何をおっしゃいますのっ」
再び、保志の中央を陣取ろうとしたクーフェイを、押しのけリリアが右足に座る。
「す、座りたくて座るんじゃありませんのよっ、か、勘違いしないでくださいましっ! ただ、こいつの好きなようにさせているのは、彼女自身のためにならないから、こうしているだけですわっ。それにニンゲンごときの足なんて、椅子で十分ですのよっ、ぷんっ」
と、角をぶんと振り回してリリアがそっぽを向いた。
「座りたいんだ……」「座りたいんだね」「座りたいんだなぁ」
ぼそぼそと、そんな子どもたちの声が聞こえてきた。
「ほらほら、リリア。せんせの食べてるの、おいしいんだぞっ。ねっ、せんせっ」
とクーフェイが、保志に、リリアにも食べさせろと促した。
彼女の顔は無邪気そのもので、そこに含むものはない。
そんなあどけない顔に、リリアは少しばかり罪悪感を刺激されたのか、う、と呻いた。
「リリア、食べてみるんだぞ」
「ま、まあ、あなたがそこまで言うのなら……食べてあげてもよろしくてよ」
と、保志を振り向いて。その口を、あーんと開けた。
「デレてない?」「か、可愛い、だと……?」「あの二人に何かあったのかしら」
保志の膝の上に乗って、赤い瞳に羞恥を滲ませ、赤い顔で唇を開くリリア。
魔王の娘の、その意外な姿に、クラスがざわめいていた。
やりにくいなぁ、と思いつつ、唐揚げを摘む。
「……………………………………ほ、」
ら、と、食べさせようとしたそれが、横からかっさらわれた。
「あ、ごめんだぞ。モグモグ。わざとじゃないんだが、無意識に。モグモグ」
「ク────フェィィイイイィイイイィイイイィイイイィイイイイッ!」
ごおっ! と嵐が吹き荒れた。リリアを中心に発生した魔力の竜巻が、クーフェイの身体を木の葉のように舞い上がらせた。ついでに保志の身体も宙を舞う。
「わざとですのね? わざとやっていますのねっ、あなたっ」
「だからわざとじゃないって言ってるんだぞ」
くるくる、すたっ、と、猫のような華麗な着地をきめるクーフェイ。
「うわぁあぁあああっ!?」
それと対照的に無様に落下する保志である。
だがその頭部は柔らかなクッションに守られた。
「んっ……。せ、せんせいっ……。だ、だいじょうぶ?」
実に偶発的に、まごうことなき偶然で、保志の顔はミイナの豊満なバストに挟まれていたのだ。さらに両手は着地のショックをやわらげようと前に突き出されていたために、左右のおっぱいをがっしり掴んだ格好である。あくまで、偶然にも。
「ちょ、ちょっと保志っ! なんて破廉恥なっ!?」
と、保志を吹き飛ばした元凶が、柳眉を逆立てる。
「い、いやいや、わざとじゃないからっ! う、うわっ!?」
慌てて、ミイナの上からどこうとするが、足を滑らせてしまった。
「あっ、アアンッ」
両腕が、柔らかすぎる胸肉をむにゅぅっと押し潰して、ミイナの喉からやたらとエッチな声が漏れる。サキュバスの艶声に、男子の何人かが股間をそっと隠した。
「あううん、せ、せんせいっ……こんな、みんなの前でなんてっ……だめですぅ」
と拒否を口にするミイナだが、瞳は潤んで口元は微かに笑っている。
「……み、ミイナ」
ふわっと、頭の中に何かが浮き上がってくる。それは邪な、もう一人の自分である。
ミイナの瞳に映る、己の瞳が、金色に輝きだす──。
「ほぉおおおぉお、しぃいぃいいいぃいいい? 何してらっしゃいますのぉおお?」
怒りの気配が背骨を凍らせた。リリアの身体から、なんだか青いオーラが発散されている。金髪が、背中でゆらゆら逆立っていて、スーパーなんとか人みたいだ。
「だだだ、だから、わざとじゃないんだって! な、ミイナっ」
「み、みんなに見られながらするのも、淫魔としてのべ、べんきょうなんですねっ……。は、はずかしいけど、せんせいなら、わたしっ。お、おねがいしますっ」
とミイナはぷるぷる震えながら、床に座って両足をM字に開いた。
「な、何をやらせているの、せんせいは?」「すげえ、ニンゲンって」「きいたことがあるぞ。ニホンジンっていう種族は、ニンゲンの中でも特に変態なんだって」
触手でエッチの本場だしな。江戸時代から。
「ああ、みんなの前で、わたくし、せんせいにぐちゃぐちゃにされちゃうんだっ……」
「ぱくぱくモグモグぱくぱくモグモグ。あ、せんせ、このあいだの、ちんぽから出した白いみるく、また飲ませ──」
「わ──わーわ──────────っ!」
とんでもないことを言い出したクーフェイを、大声で遮る。
「ちんぽ? なに?」「しろいみるくっ、て……」
けれど少し遅かったようで、子どもたちがざわめいていた。
「保志……あ、あなたって人は……本当に、手当たり次第にっ」
ぷるぷる震えるリリアの、人聞きの悪い──こともない物言いだ。
「手当たり次第……?」「せんせい、まさか」「まさか、リリアも……?」
みんなのその反応に、リリアがしまった、という顔をして、
「だ、だまらっしゃいっ! いいからみんなは大人しくお昼を食べるのですわっ!」
怒鳴りつけた。魔王に連なる者の覇気を叩きつけられて、子どもたちの背がぴんと伸びる。ミイナもはっと目覚めたように、乱れた服を整えて座り直す。
「食事の時くらいは静かにするものですわ。わかりまして、みなさん?」
と、保志に変わって言い聞かせるように、リリア。コクコクと、みんな揃って頷く。
──このところの彼女はなんだか、いつもこんな様子だ。
喧嘩している子どもがいたらそれを止めたり、レクリエーションのさなか、落ち着かない子どもがいたらそれを諫めたりと、童園の子どもたちを相手に、まるでリーダーのような振る舞いを見せていた。やたらと偉そうにしていた時より、ずっと自然である。
クラスのみんなも、そんなリリアと少しずつ打ち解けていた。
よかったなあ、と思う。
「な、何をそんな、わたくしを見てますのっ」
慈しむような、暖かい目で見ている保志に、リリアが頬を染めて顔を背けた。
まったく……と呟きながら、リリアは玉座に戻っていく(椅子の撤去は固辞された)。
少しずつだが。童園は、いい方に向かっている気がする。
(最初は、どうなることかと思ったけれど)
なんとかやっていけそうだ──と。安堵する、保志だった。
「……反乱? 今さらとは、のぉ」
地方にて、軍の蜂起あり。その報告を受け取ったアスモデウスは可笑しげに笑った。
「反乱軍の中心は……竜族、巨人族、グール。……グラント、か」
グラントのひげ面を思い出す。確かにあの男は、平和な路線へと舵を切ったアスモデウスに不満を抱いていた。だがこれほど早く、行動を起こすとは。
「巨人族とグール族それぞれの、族長の姿も確認されています」
と、報告を持ってきた部下が言う。
「反乱軍に間違いなく、いたのだな、グラントたちが?」
「はい。遠見の鏡で確認しました。確かにあれは、三族の長。どうやら、ダークエルフの隠れ里を襲うつもりのようです。いかがいたしましょうか、魔王様?」
「わしが向かわねば、グラントには誰も敵わんだろう。行くぞ。速攻で、叩き潰す」
覇気もあらわに立ち上がるアスモデウスの身体から、凄まじい魔力が迸る。
「軍を編成しろ。わしは先に行く。反乱軍が里へたどり着くのを押し留める」
指示を出すアスモデウスの背中に、巨大な鴉の羽が広がる。
「四貴族に連絡を。この城を、護ってくれと伝えてくれ」
「確かに、承りました」
部下の返答に頷き、アスモデウスは天を見上げた。漆黒の羽が空を打つ。
次の瞬間、魔王の巨躯は遥か天上を飛翔していた。
その威容を見送り──部下は、手のひらを耳に当てると、何事かを一人ごちる。
「聞こえていますか。はい、はい、作戦通りに、魔王は一人で行きました。はい。魔王軍は動かさずにおきます。それでは」
魔術での通信を切って、彼はくぐもった笑みを漏らす。
「はてさてさあて。どうなることか。くっくっくっ」
窓際へ歩み寄り、彼方を見つめる。そこには、魔界という世界にそぐわない、可愛らしい建物が二つの太陽に照らされて牧歌的に輝いていた。
「せっ、せんせいっ……んっ、はうぅっ、んっ……」
蜜を垂らすような甘い声が、ミイナの喉から漏れている。
くちゅくちゅと、粘ついた音。
股間に伸ばした右手を動かし、少女の腰が小さく震えていた。
しかもそのたびに、大きな胸がぷるんぷるんと揺れるのだから、まったく、憎たらしい。
(大きすぎますわ……。や、やっぱり保志も、大きい方が好きなのかしら)
平坦な、己の胸を見やって、リリアは深々と嘆息する。
ここは童園の女子トイレ。個室である。
水が流れるトイレを見て、最初はびっくりしたものだ。リリアの城のトイレなんて、ただ椅子があって、座面に穴が空いているだけである。
「ここならゆったりできていいですわね、ミイナ?」
「ひっ、ひぃいいぃいいっ!? り、リリアさんっ!?」
オナニーの真っ最中であったミイナがこちらを見上げて悲鳴を上げた。慌てて右手を引き抜いて、股間を隠す。
「な、ななななな、何をしてるんですかっ」
「それはこちらの台詞ですわ。わたくしの童園で、何をなさってらっしゃいますの」
リリアはふよふよと、中空に浮いて天からミイナを見下ろしていた。
トイレに来たら、個室から妙な声が聞こえてきた。その声が、あまりにもアレだったので、これは注意せねばと思ったのだ。
決して、声の中に「せんせい」が含まれていたから、気になったわけではない。
「あう……」と、ミイナの顔が羞恥の紅に染まり、がっくりとうなだれる。
「こ、こうしておかないと……自分が抑えられなくなりそうで。あうう」
「まったく。まあ。あなたはサキュバスだから、仕方ないのでしょうけれど」
嘆息する。淫らな性は、ミイナの種族の特性だ。一度スイッチが入ってしまえば、自制を取り戻すのは難しいのだろう。それに、だ。
「あなた。保志と『契約』をしちゃったんですのね」
先ほど、ミイナに抱きついた保志の瞳が、金色に輝いたのを思い出す。あれを見てしまった者は、自分の中にある性的な欲求を拡大されてしまう。
「う……。うん。なんだか、そういうことに、なっちゃった」
気まずそうに、ミイナ。
「ご、ごめんね、リリアさん?」
「ど、ど、どうしてわたくしに謝りますの? 別に、そんなのはお二人の問題であって、わたわたわたくしは別に、なんとも思っておりませんですことよってに」
「あ……、うんその。ここの、節度とかそういうのに、悪いかなーっ、て」
「あ、ああ、そういう意味ですの」
ごまかすように髪を弄くる、リリアにミイナは笑いかけた。
「……リリアさん。せんせいのこと、好きなんだよね?」
「は……はひっ!?」
しゃくり上げるような声が出てしまった。急に何を言い出すのか、この娘は。
「わたくしが、あんなっ……ニンゲンのことなんて、なんとも思っていませんわっ」
なぜだろう、自分でも不思議なくらいに必死な口調だった。
「そうかなぁ?」
「そうですわっ。あんな、気が弱くて、ひょろっとしてて、いつも曖昧に笑っていて、流されやすくて、えっちくて、実は細かなところに目を配ってて、誰にでも優しくて、わりと二枚目で、手のひらがあったかくて、そんな、ニンゲン、なん、……て」
尻すぼみになる声。ミイナが、似合わないにやにや笑いを浮かべていた。
「後半。褒めてたね。せんせいのこと、よく見てるんだ」
「……あうう」
顔が、熱くなる。
頭の中に蘇るのは、保志の優しそうな微笑みだ。
そうなのか? わたくしは、そうなのだろうか。
わたくしは、本当に。保志の、ことが──。
轟音。
衝撃。
建物が激しく揺れる。あちこちで、ガラスの割れる音が響いた。
「な、なななななっ、なになになにっ、はぎゅぷっ!」
飛び出そうとしたミイナが、バランスを崩してひっくり返った。
リリアは浮遊の魔法をそのまま飛翔のそれに変え、教室へ向かう。
「いったい、何が起こりましたの……?」
嫌な予感が、胸中に膨れ上がっていた。
──何が起こったのか、すぐには理解できなかった。
教室の、壁の一部がいきなり吹き飛んだ。瓦礫が跳ねて、粉塵が立ち込める。
頭の中で爆発音がきぃんと反響していて、聴覚が、数瞬、麻痺していた。
子どもたちの無事を確認する。幸いにも爆発は教室の最後方、外壁側の一面からで、保志の周りに集まっていた子どもらまでは、瓦礫は届かなかった。
(な、なんだっ……? 何が……)
宙を舞う粉塵が、少しずつ、晴れていく。
一人の男が、破壊された壁の向こうから歩いてくる。
魔王アスモデウスに負けないほどの、巨漢である。その男の醸し出す空気に圧倒される。常人を、視線だけで圧殺しかねない、荒々しい力に満ちていた。
見たことがある。初めてこの世界に呼び出された時、アスモデウスの向こうで、保志を憎々しげに睨みつけていた鱗鎧の男だ。彼は、やはり、不機嫌極まりないといった様子で、こちらに渋面を向けていた。
子どもたちをかばうように、保志は前へ出る。
「──貴様らは、人質だ」
いきなり、男はそう言い放った。耳鳴りのする聴覚に、よく通る声である。
「……は? ひと、じち……?」
何を言っているのか──理解できない。人質? なぜ。どうして。
──アスモデウスが言っていたことを思い出す。いつ、自分が討たれ、居なくなるかわからない、と。つまり、この男は、魔王に対する反抗勢力なのだろうか。
だったら、狙いはリリア?
「……いないな」と、保志の考えを裏付けるように、男が呟いた。
今、この教室にいないのは、リリアとミイナの二人である。
トイレか何かだろう、そのまま逃げて、お城に救援を呼びにでも向かっていてくれれば、と思うが、そう甘くはいかないか。
崩落した壁の向こうに──天空に、無数の竜が泳いでいるのだ。
上空から見張られていては、逃げようもない。
「な、なんなんですか、あなたたちは」
声は震えていないだろうか。子どもたちの怯えた目が、背中に刺さる。
「こんな、子どもたちを相手に……っ!」
「黙れ」
一睨み。
男にただ、睨みつけられただけで、心の底から震え上がった。
不良に絡まれたことはある。チンピラに恫喝されたこともある。
そんなもの、優しいくらいだったと思う。何もかもが、魂のステージが違うと告げる、骨の髄まで刺し貫くような恐怖に、鼓動が止まった気すらした。
腰を抜かすことすらできず、怯える保志に、男は鼻を鳴らす。と。
「やいやいっ! せんせを怖がらせるなだぞっ、ばーかっ!」
クーフェイが、そんなことを言いながら飛び出した。
(──怖いもの知らずにもほどがあるっ!)
「……獣人か。ここにいるということは、四貴族の子か」
男はクーフェイを見下ろし──クク、と嗤った。
「貴様の親父は美味かったと、アレグオムが言っていたな。犬の肉は美味だとも」
「──────て、めぇっ!」
(やめろクーフェイっ!)
クーフェイの顔が怒りに染まる。
全身の毛を逆立たせ、牙を剥く。爪を尖らせ、飛びかかろうとして──。
「ふん。まずは貴様を殺して、ガキどもへの見せしめとしようか」
そう、呟く男の右腕が膨れ上がった。クーフェイの身体が、硬直する。
右腕の筋肉が膨張して鎧を弾き飛ばした。体表はドス黒い緑に染まり、無数の鱗が浮き上がる。指の一本一本は肥大化して、鉄杭が如き爪がそこに伸びていた。
男の右腕が、異形と化した。その光景に、子どもたちが悲鳴を上げる。
「ど、ドラゴンっ……!」「竜族だっ」「うぁあ、もうだめだぁっ」
子どもたちから絶望の悲鳴が上がる。竜族とは、それほどに畏れられている種族なのか。
──それが、わかる。わかってしまう。
男の右腕を、見ているだけで心が折れかけた。ただ腕の一本が、本当の姿を現しただけで、魂が擦り切れそうなくらいの恐怖に襲われていた。
「う……あ」クーフェイすらもその顔を恐怖に歪め、後ずさっていた。
本能で理解するのだ。
あれはまるで別の生き物で、敵う敵わないすら論する必要のない相手だと。
「……む」
グラントが、瞳を細める。クーフェイの前に、保志が立ちはだかっていた。
相対しているだけで膝が笑う。気が遠くなる。小便と、糞すら漏らしそうだ。
けれど膝を落とさない。落としてはやれない。
「……もう、帰ってくれませんか。子どもたちが怯えている」
震える声帯を、無理矢理に押さえつける。丸まろうとする背中を、ぴんと張った。
男は何も答えない。ただその暴力の塊を振り上げて──。
「エヴォルタッ!」
横合いからの青白い一撃を、打ち払った。雷撃が、中空へ拡散していく。
「──ヘーシュム・リリア・デーウ。そこにいたか」
「ファブルーニル・グラント。ずいぶんと、下衆な手に出ましたのね」
教室の、出入り口。銀のティアラを煌めかせ、リリアがそこに立っていた。
ミイナが、その背後に隠れるようにしている。
「そんなにお父様が怖いのかしら? 幼子を人質に取ろうとは」
「ふん。昔のヤツならば、そんなもの、なんの意味もなかっただろうよ」
と。グラントと呼ばれた男は、リリアへ近づいていく。
「……わたくしが、あなたと行けば。ここの子どもには手を出さないと約束できて?」
「リリアっ!」保志が、叫ぶ。それをリリアは手で制した。
「できん。ここは潰す。この建物こそ、魔王の、愚かさの象徴よ」
「……そう。まったく、あなたこそが度し難い愚か者ですわ」
そう、言って。リリアは何事かを呟いた。
「────すべてを守護する偉大なるフィルガナよ──────」
次の瞬間、リリアを中心にして、青白い円球が広がっていく。それは、ミイナを、保志を、子どもたちを包み込んで、グラントのみを向こうへ押してゆくのだ。
「これはっ──結界っ!? 小娘っ、貴様、すでにこれほどのっ……っ!」
膨れ上がっていく円球に、グラントはなすすべなく押されていく。
竜族の、それも族長クラスが、抵抗すらできていない。力量差に関係なく、その魔術は敵を押し返してしまうようだ。
「おのれっ……! おのれっ! だが、無駄なあがきよっ……く、うぉおおおっ!」
青白い結界はどんどん膨れ上がって、童園を包み込んでなお広がっていく。百メートルは向こうに、グラントを追いやってしまった。
「す、すげえ……」
呆然と、呟く。子どもたちからも、歓声が上がっていた。
「すごいじゃないか、リリア。あとはこのまま、助けが来るまで待っていれば……」
「あさはかですわね、保志」
と、リリアが小馬鹿にしたように鼻を鳴らす。その顔は、青ざめ、汗を浮かべていた。
「こんな、大規模な……魔術。長くは持ちませんわ。は、あっ……。あなたの、世界の時間で言うのなら……せいぜい、十分というところでしょうか」
喜んでいる子どもたちに聞こえないように、リリアが小さな声で言う。
「そ、そんな。どうにかならないのか? お城に、助けを呼ぶとか」
「ここに反乱軍が押し寄せている時点で、それは期待できませんわね」
「ま、まさかっ……魔王が、軍が、やられた?」
「それはあり得ませんし、そうするとわたくしを人質に取る必要もありませんわ。たぶん、お父様と魔王軍はどこかへ誘導されていると考えるべきですわね」
「じゃあ……どうすれば。この結界を、なるべく長く保たせる方法はないのか?」
そうすれば、異常を察知した魔王が戻ってくるまで時間が稼げるかもしれない。
「無理ですわ……何か、強力な魔力源があれば、別ですが」
「魔力源?」
「ええ。お父様の魔力が籠もった、何か。それがあれば、しばらくは……」
「……これは、どうだ?」
と、保志が取り出した指輪に、リリアが目を見開いた。
「それはっ、お父様の、守護の指輪? そうですの、それがあなたを護っていましたのね」
「ああ。これなら、どうだろう?」
「確かに、それを使用すれば、しばらくは。一時間は、稼げるでしょうね」
「……これでも、一時間、か」
だがこのまま、手をこまねいているよりは、まだマシだろう。
「よし、じゃあ──」
「けれど保志。それがどういうことか、わかっていますの」
──と。リリアの目が鋭さを増して、保志を貫く。
「どういう……? 何がだい」
「あなたがそれを手放すということは、自身を守る切り札を失うということ」
魔王の指輪は最高クラスの魔防具なのだとリリアは言う。
「それを失えば、保志。あなたは魔族の吐息一つで苦しみ悶え、指先一つで身体は壊れ、魔術を喰らえば消し炭も残らない。ただの無力なニンゲンになり下がるのですわよ」
「……ああ、そういうこと」
たびたび、リリアの魔術を喰らって生きていたが、それはこの護りがあったからだ。普通は大怪我か、あるいは死んでいる。ファンタジーやメルヘンじゃないんだから。
「その指輪があれば、あるいは貴方だけは生き延びることも可能ですわ。だから──」
「はい」
と。リリアに指輪を渡す。
彼女はそれを受け取って、怒ったように顔を歪めて、悲しそうに眦を落として、諦めたように顔を緩めて、まあなんだかよくわからない顔をした。
「……まあ、そうすると思いましたけれども」
最終的には大きなため息をついて、リリアは指輪を人差し指に嵌めた。
ポゥ、と、その指に赤い光が灯って、消える。
「これで、この指輪に秘められていた魔力は結界に付与されましたわ」
「……あと、一時間、か……」
その間に、魔王が童園の異常に気づいて、戻ってきてくれる。それを願うしかない。
けれどそれ以外に、なにかこちらでできることはないか。
「……なあ、リリア。僕の身体に、何が起こっているんだろう」
瞳が金色に変わること。リリアは何か、知っているのだろうか。
「……な、なんでそんな怒った顔をするの?」
「知りませんわっ! つーん、だっ」
保志の問いに、少女はぷくうと頬を膨らませていた。
「なあ、頼むよ。教えてくれ、リリア。もしかしたら、僕のこれが何か、現状を打破する一つの方法にならないかな」
保志の金眼を見てから、クーフェイも、リリアも、様子が変わった。クーフェイなんて、なんだかエッチになってしまった。それはミイナの力と似ていないだろうか。
「なあ、リリアっ」
藁にも縋る思いで少女に迫る。なぜだかリリアの頬が、桃色に染まった。
「あ……その、……うん。なる、か、もしれませんわね」
たどたどしく、彼女は言う。リリアに似合わない、煮えきらない態度だ。
「で、でも……それは。その、あのぉ……」
つんつんと両手の人差し指を突きあわせ、リリアは恥ずかしげであった。
「頼む、教えてくれ。僕はみんなを護りたいんだ。そのためならなんだってする」
「そ、そうですわよ……ね。みんなを、護るためですものね」
と。俯くリリアが保志の右手を取って、ぐいぐいと引っ張った。
「お、おい、リリア?」
「いいから、黙ってついてきてくださいまし」
子どもたちに教室で、じっとしているようにと言って、リリアと連れ立つ。
たどり着いたのは、童園の保健室であった。
「ど、どうしたんだい、リリア? 怪我でもしたの?」
リリアの小さな身体を上から下まで確認してしまうが、そんな様子はない。
ゴスロリドレスには汚れの一つもなく、つやつやの肌は綺麗なものだ。
「……そ、そこに、座りなさいな」
と、リリアがベッドを指さした。頭の中にハテナマークを浮かべながら、腰掛ける。
「あなたの身体に起こっている事象を、わたくしは知っていますわ。そうしてそれは、確かに、この現状を打破できる一つの方法になりうるかもしれません」
「……その、方法とは?」
訊く。リリアの、ただでさえ赤い顔がなお赤くなって、耳まで朱色に染まり、その目はなんだか潤んでいる。やはり、様子がおかしい。風邪でも引いたのだろうか。
「そ、その、方法というのは」
「いうのは?」「いうのはっ」「うん」「いうのは、で、っででで、ですわねっ」
ひゅくりっ、とリリアの喉が鳴った。やたらと髪を弄りながら、なかなか切り出さない。
「いったい、どうすればいいんだっ、リリアっ」
もどかしさに、思わずリリアの肩を掴んで迫っていた。
「は、はいっ! あのっ……わ、わたくしと、エッチ……する、ことです」
「…………………………へ」
思いも寄らぬリリアの言葉に、呆然となってしまう。彼女ははっ、として、
「だ、だからっ! ミイナたちとやったみたいに、わたくしとセックスするのですわっ!」
赤らんだ頬のまま、そう怒鳴られた。
「ど、どうして……そんな?」
「……特に高位の魔族と、その……することは、『契約』と呼ばれる儀式になりますわ。契約をかわされた魔族は、その種本来の力、これは原初の力と呼ばれるのですが──を、行使することができるようになりますの。
だから、わたくしが保志と、エッチをすれば、わたくしは魔王の、原初の力を発揮できますの」
「契約……」
それを行えばリリアが、魔王の力を使える。
混沌の極みにあった、魔界を統べたという、絶大なる魔王アスモデウスの力を?
「あのドラゴンの男も、その、原初の力とかいうのを使っているのかい?」
いいえ、とリリアは首を振った。
「契約には、色々な条件がある……らしいんですの。誰でもよいというわけではありませんわ。今の魔界では、契約が行えることそのものがまれ。だから、わたくしが契約により、本来の──原初の力を使えるようになれば、あるいは、グラントに比することもできるかも」
詳しい条件はわからない、とリリアは言った。
「でもミイナは、あなたと契約ができた。クーフェイとも契約を結べてますわ。あなたの中から、二人の魔力を感じますもの。だから、たぶん、その、わ、わたくしとも。ですからっ」
腕を組み、仁王立ちで、顔を真っ赤にして、
「わたくしとエッチをしますわよっ!」
リリアは保志にそう命じた。
「で、でも……」
だが、それでも──今さらかもしれないけれど。
こんなことで、エッチをするなんて。
「……いいんですわよ、保志」
──と。リリアの腕が、保志の首に回される。少女の額が、額に触れた。
「わたくしも、ここを護りたいんですわ。ミイナを、クーフェイを、──みんなを」
「魔王の──娘として?」
「いいえ。これはわたくしが、わたくしとして、そう感じているのですわ。だから。保志。わたくしを、抱い、て……じゃにゃあですわっ! 抱いてさしあげますわっ!」
と。リリアは喚いて、保志をベッドに倒そうとする。
保志は、苦笑すると、リリアの腋に手を入れて猫みたいにぐっと持ち上げた。
ひどく軽い。ぷらんと綺麗なおみ足が揺れる。
「……子ども扱いしないでくださいまし」
まるで高い高いをされる子どもだと、リリアは憮然とした顔をする。
そんな彼女の身体を、ベッドの上に立てた。
保志もベッドに這い上がり、少女の前に跪く。
「……脱がせなさい、保志」
命じられた。少女の背中に手を回して、抱きつくようにして、ゴシック調のドレスを留めている革紐を、解いてゆく。「あ……」と、リリアの、桜色の唇から小さな声。
少女の身体から、黒白の皮膜がするりと落ちた。
「──────────」
ただ、綺麗だと。そう思った。
ドレスを脱ぎ捨て、真っ白なニーソックスとショーツだけになった少女は。
白い肌は陶器のようになめらかだ。未成熟な体躯は起伏が薄くなだらかで、緊張に喘ぐ胸板に、ほんのわずか、まだ膨らみとも言えないような、指先で摘み上げたような乳房が、春を目前にした草花のように芽吹いている。
淡い桜色の、花びらが一枚、そこに乗っていた。
腹筋がまだ少ないから、内臓に押されて、お腹の部分が柔らかく膨らんでいる。そのせいで、胸の下からお尻までが、なだらかなハの字形を描き出していた。
いわゆる、イカ腹というやつだ。肌の白さが、イカっぽさをなおさら強調してくれる。
緩くウェーブのかかった金色の髪が、その白い肌にまた映えるのだ。
この先、相当な美人になるだろうと確信させるほどに整った美貌は、今はまだあどけなく、愛らしい。
手足は細く、しなやかだ。太ももは、半ばまで白いソックスに覆われている。ソックスの上端には、大人っぽいレースが縫いつけられてあって、それが幼いリリアの美脚をどこか蠱惑的に彩っていた。
──まるで天使の彫像だ。
山羊みたいな角がなければ、彼女が魔王の娘だなんて信じられないだろう。
「な、何をそんな、じぃっと見ていますのっ」
「あ、ああ、ごめん。あんまりに綺麗なものだから、つい……」
「きれっ……! う、そ、その、ありがとうですわ。そ、それで」
恥ずかしげに睫を震わせ、頬を桃色に染め、リリアはむにゅむにゅと唇を蠢かせる。
「じゃ、じゃあその。し、しますわよ。え、エッチなこと……」
と言うけれど、もじもじと恥ずかしげにしながら彼女は動こうとしない。
何を、どうすればいいのかなんて、わからないのだろう。
そんな彼女のすぐそばへ、膝立ちで近づくと、少女のイカ腹にちゅっ、と唇を押し当てた。
「ひゃいんっ!?」びくんっ、と、小さな身体が跳ね上がる。
その腰裏に手を回して押さえつけ、温かなお腹にキスを繰り返した。
ちゅ、ちゅちゅ、と。なめらかなお腹の口触りが気持ちいい。腹筋が薄いから、その奥の、はらわたの感触までわかる気がする。
「んっ……ふあ、保志……」
他人に舐められたり、触れられたりするのは気持ちがいいものだ。
リリアはうっとりと瞳を細めて、自分のお腹に口愛撫する、保志の姿を見下ろしている。
「脱がすよ、リリア?」
少女の大事な場所を覆い隠している、薄い布に手をかけた。
魔界には滅多にないだろう上質の下着には、小さな赤いリボンが一つ。
その可愛らしいショーツを、するりと下ろしていく。くるくる丸まって、降りていく下着の向こうに、リリアの、ぴっちりと閉じきった肉谷が見えてきた。
幼童の土手はふわりと膨れて、産毛すら生えていない。下着を、片足に引っかける。
「ああっ、保志っ。は、恥ずかしいですわぁっ……」
男の眼前に、恥ずべき秘所を丸出しにして、少女は羞恥に腰をくねらせる。
白磁のような白い肌に、羞恥の桜色が浮かび上がる。高飛車な姿ばかりが印象的なリリアが、膝小僧をすりあわせて恥じらっているのは、なんだか新鮮だった。
「そ、そんなにじろじろ見ないでくださいませっ……」
と、股間を隠そうとしたリリアの手を、保志はそっと掴んだ。
「だぁめ。もっとよく見せてくれ。リリアの、綺麗なここを」
「な、何をおっしゃいますの。そんなところ、綺麗なわけありませんわ」
毎日、穢れたものを垂れ流す器官なのだ。けれど保志は首を振ると、
「そんなことないよ。リリアのなんだから」
と、リリアの、薄紙の一枚も通りそうもないスリットに顔を近づける。
薄布に蒸れた股間部は、甘いミルクのような香りがした。
あまりに可憐で、無垢な、幼童の秘肉。そこにもちゅ、と、キスをする。
「ほっ、保志っ、な、なんてところに口づけてますのっ! い、いやぁっ」
リリアの顔が一気に赤くなって、瞳には涙まで滲んでいた。
慌てて保志から離れようとするけれど、腰をがっちり掴んで逃さない。
股間に顔を突っ込んだまま、ぬるりと肉谷を舐め上げた。
リリアの腰がびくんっ、と痙攣する。
「あっ、ふゃああぁあっ!? ななななな、何してますのっ、こ、このバカぁっ!」
小さな拳が保志の頭をぽかぽかと叩く。
「そ、そんなところっ! 舐める馬鹿がいますかっ」
リリアの制止を無視して、保志は舌肉をスリットに差し込んだ。ぬぷぅうう、と、閉じきった肉の門を、濡れたナメクジが滑りながらこじ開け、入っていく。
「んぅ……や、やめなさい、保志ぃ……。汚いですわぁ……」
ほんのりとした塩味と、ぴりりとくる刺激を舌に感じる。ぬらついた侵入者に、幼い秘貝がひくんと震えて、舌に触れる体温が上昇した。
レロレロとカップの底に残ったアイスを舐めるように、リリアのヴァギナを舐め上げる。
「ふぁぁあああっ!? な、舐めっ……! ばかっ、だめですわぁあっ」
保志の頭をぐいぐい押して、身を捩って、リリアは必死で逃れようとする。けれど。
ぬるっ、ぬちゅるっ、ぺろ、ぺろんっ。
「あ……んっ、ん……だ、めぇ、ああっ」
芳醇なミルクの香る幼貝を舐められて、未熟な体躯が緩んでいく。
ふるふるっと、小さな太ももが震える。何か、ねっとりとしたものが舌先に溢れてきた。
その粘液を、閉じた肉耳の内側へ、丹念に舌で塗りつけていく。
ネロネロっ。レロレロ、ぬろんっ。いやらしく粘つく音が、室内に響く。
成人男子が、幼女の股間に跪いて行う舌肉愛撫に──。
「ああっ、ふああっ、ほし、保志っ! だ、だめですわ、立っていられませんわっ……」
リリアの喉から、飴を転がすような甘い声が漏れ始めた。膝をガクガクと震わせて、保志の頭を抱え込むように、倒れ込んでくる。
いたいけなその身体を、ベッドへ横たえる。両脚を抱えて、ぐいと頭の方へ押しやる。
「ああっ……なんて、格好をさせますの……」
未成熟なヴァギナも、艶々の皺穴まで丸見えな、まんぐり返しの格好であった。
「ふふ。リリアの穴がよく見えるよ。お尻の孔まで、よぉく、ね」
ヒクッ、ヒクッと、菊の蕾が震えている。その上には保志の唾液でベトベトの、いまだ閉じきったヴァギナがあって、そのさらに奥には幼性そのものの小さな可愛らしい尖り乳首がある。さらに向こうにはリリアの、羞恥に赤らむ顔があって。
可憐な乙女の恥ずかしい姿すべてが見通せる、それはそれは素晴らしい姿勢であった。
「こんな、こんな格好、恥ずかしすぎますわぁっ」
「ふふふ。まだまだ、一番恥ずかしいところを見せてもらわないと、ね?」
と、保志は太ももを両手首で押さえつけて、大陰唇に指を食い込ませる。
そうして肉裂を──ムチィッ、と割り開いた。
むわぁっ、と立ち込める、甘いミルクのニオイ。脳髄に直接、愛液を流し込まれたような濃密な匂いに、保志は数瞬、酩酊した。
リリアの中身はトロトロだ。ミイナよりは薄め、だがクーフェイのそれと比べては濃いめのピンク色の襞肉は、濡れそぼちつやつやと輝いていた。
そこに少女の肉孔があった。あまりに小さな膣口であった。
「た~っぷり、ほぐしてあげるからね、リリア?」
「あ……あああ、保志……そ、その、目、またっ……」
おののくようにリリアが口の端を引きつらせる。
その赤い瞳に、どうしてか金色の光点が輝いているように見えた。
「んっ、ぐちゅぶっ」
「ふぁあんっ!」
鮮やかに花を咲かせた桃の実に、保志はしゃぶりついた。唇を押しつけてじゅぶじゅぶと、舌肉で思いっきり舐め回す。リリアの、両脚の指がびくびくと踊り始めた。
「くひぃいっ! ほしの、保志の舌ぁっ! ざ、ざらざらしてます……! ざらざらが、き、きくっ……っ! ん、ああっ、んぐぅああっ!」
大人の男に無理矢理に、押さえつけられた小さな身体が、うねり、震えた。
男性器を受け入れるにはまだまだ未熟な膣穴が、くぱくぱと呼吸を始めた。
そこから染み出す愛液を、ネロネロと舐め取って、小陰唇やクリトリスにまぶす。
「あうあぁあああっ! そこ、先っぽっ! 刺激が強すぎますのおっ!」
クリトリスは敏感神経の塊だ。そこを、大人の荒れた舌肉で舐められた瞬間、リリアの両脚がぴぃんと張った。
ずるっ! ずじゅるっ! ちゅ、ちゅばっ!
「あン。んんっ、あンあンッ! りゃ、りゃめっ、あなは、穴の周りもビンカンですのっ、くひぃいぃっ! そんな、ざらざらしたベロでこしゅらないでぇえっ!」
小さな小さな膣穴を広げるように、穴の周りを、ぐいぐいと舌で押していく。
純白ソックスに包まれた幼脚がもどかしげに揺れている。
真っ赤に染まっていく太ももとのコントラストが、見事であった。
「だめっ、保志っ! その目で、その目で見ないでくださいましぃっ……! おかしく、おかしくなっちゃいますのっ! んぁあぁっ!」
初心な下唇からこんこんと愛液が溢れ出してくる。膣穴が柔らかく、とろりとしていく。幼い身体でありながら、魔族の強靱な肉体は、男を受け入れるためにその準備を整えていく。
「ちゅ、ちゅばっ、ぐちゅっ。ふふ。おいしそうになってきた……」
楽しそうに笑うと保志は、開く花弁の真上、興奮に硬く尖った肉豆を、ずぞりっ、と舐め擦った。リリアの腰がぐうっと浮き上がって、呻くような悦声を漏らす。
「くひぃいいんっ! だ、だからそこも、そこもだめですのぉぉっ!」
リリアの喉から漏れる声は、明らかな快美を帯びて、熱い。
その声をもっと聞きたいと、保志は、愛らしい肉粒を集中的にいじめてあげる。
舐め、突き、しゃぶり、そしてちゅるううと吸い上げた。
「ほしの、保志の舌、ああっ! い、いぬみたいにっ、わたしのおま○こ、べろべろしてますわぁっ! け、けがらわしいですわっ、お、おしっこをするところなのにぃっ! んんんっ、くひぃっ! どうして、こんなにっ、きもひぃいんですのぉっ……!」
執拗な陰核への弄びに、リリアは金髪を振り乱して涙目で身悶える。
まんぐり返しで高く掲げられている蜜壺からは、甘い蜜がじゅくじゅくと溢れ出し、お臍の方で恥ずかしい水溜まりを作っていた。
「うっ、うううっ! あひぃっ! だ、だめ、だめですのっ! 何か、なにかきちゃいますのぉっ! も、もう、そこいじめちゃあらめれすのぉおっ! あっ、あふうっっ!」
もはや幼童の身体は、吹き荒れる快美に翻弄されるばかりであった。
トドメとばかりに、前歯でクリトリスを軽く噛んであげると──。
「~~~~っっ! ふぁあぁあんっ! っ────っ!」
保志の腕を弾き飛ばしそうなくらい、ガクンガクンと激しく両脚を震わせた。
眉尻が垂れ落ち、瞳から涙が溢れ出す。小鼻が膨らみ、喉を反らした。
紅潮するロリータの肉体は、未知の快楽絶頂に怯えるように、震えるのだった。
「あ、ふ……ふ、あ、ああ、あ……」
呻きを漏らし続けるリリアの脚を下ろす。ソックスの中で足指がぴくぴくしていた。
膝を掴んで、左右にぐうっと広げる。ワレメがわずかに唇を開いて、幼い洞穴からジュクジュクと、甘い蜜が染み出してきた。すごく、エッチな光景だ。
──さあ、入れてしまえと声がする。両目が、そう囁いている。
幼い脚の間に下半身を押し込む。
無垢な秘園へ、取り出したペニスをあてがった。
リリアが、不安そうに保志を見ている。まるで怖がる子猫のようだ。
「ほ、保志。い、入れるん……ですの?」
「うん。行くよ。今からリリアのなかに、僕のチンポをずぶって入れるからね」
スベスベの、イカ腹を撫でる。こんな幼い腹腔に、大人の肉棒を突っ込むのだと思うと、脳が沸騰するような背徳感になおのこと、ペニスが猛ってしまう。
「ふ、ふふ。魔王の娘たるわたくしの、初めてですわ。ありがたく……味わいなさい」
「──ああ。リリアの初めてを、僕が奪うんだね」
先っぽから溢れる我慢汁が、リリアの愛液と混じりあう。
くちゅりっ、と鈴口を押しつけると、幼いイカ腹がびくと震えた。
「大丈夫、リリア?」
「っ、ば、ばかにするんじゃありませんわっ! このヘーシュム・リリア・デーウが、こ、この、このくらいのことでっ……っ!」
ミリ、ミリミリッ! 鈴口が、花弁を割り開き、ロリ孔をこじ開けた。
「ひぎっ」
と、リリアが身体を後ろへ逃がす。ペニスが、膣から離れた。
保志は前進してまたペニスを挿入しようとする。けれどまたリリアの身体が後退した。
ごつんと、少女の頭が枕を越えて壁に当たった。もう逃げられない。
「こ、怖くなんてありませんのよっ!? こ、この場所がいいだけですわっ」
少女は涙目であった。小さく震えるその手を、保志はそっと握って。
──腰を押し込む。
大陰唇が押しのけられ、甘蜜ローションにまみれたピンク色の秘肉が開かれていく。
狭隘に過ぎる膣孔をミリメリと拡張しながら、亀頭が埋め込まれていく。
「あぅうぅ……あぐぅっ! ひ、い、痛っ……ほし、ほしぃっ……!」
赤い瞳にみるみると涙が溢れ出す。金髪を儚げに揺らして、少女は襲い来る破瓜の苦悶に必死で耐えている。
レースに彩られたソックスに、熱い汗が染み込んでいく。
「ああ、入ってきますわぁ……保志の、がっ。お、おなか、裂けちゃいそうですわぁ」
けれどリリアの口に浮かぶのは、どこか嬉しそうな微笑みだ。
「こ、こんな……凶悪なの。ミイナや、クーフェイに、入れてました……のね。ま、まったくっ……せんせいの、くせにっ、ああっ! あなたという人は──」
「うう。ごめんなさい」
汗まみれのリリアの身体から、甘い匂いが立ち上る。ヴァギナから香るそれを薄めたような、幼いミルクの匂いだ。
ずぶ……ずぶ。ずぶぶっ。亀頭が埋まり、さらに奥へと、狭隘な孔を掘り進む。
「んくっ、くうぅっ! ふぁっ、あっ……」
みりめり……ぶちっ、ぶちぃっ。何かが破れる感触が、先っぽにあって。
「ふぁっ!? あにゃぁぁあんっ!」
なにか強烈なものに打たれたのだろう、全身をビクンと震わせた。
「はぁ、はぁはぁ……ああ、保志。わたくしの処女、破ってしまったんですのね……」
それは未成熟な幼花が、成人男性の蛇に喰い散らされた瞬間であった。
「リ、リアっ……」
処女膜の残骸を襞に押しつけながら、肉棒は少女のなかを掘り進んでいく。
肉の塊に、新しい穴を開けているような感覚だ。
ぎゅうぎゅうと噛み締めるような締めつけに、保志は呻きを漏らしながら、とうとう肉棒のすべてを、幼い肉塊に埋め込んでしまった。
陰毛が、無毛の肌に密着する。
「ぜ、ぜんぶ……入っちゃったぞ。偉いな、リリア」
「ふ、ふん……な、なんのことはないですの。あくっ、う……ふ、ふふ」
額に玉の汗を浮かべた少女は、自分の幼いイカ腹をつるりと撫でた。
「んく……ほ、保志の……この奥で、どくんどくんしてますわ」
熱い、肉の洞である。焔に炙られてでもいるようだ。このキツさと熱さは翻って、リリアの膣の悲鳴なのだ。キャパオーバーの異物に、未成熟な膣道が悲鳴を上げているのだ。
「ほ……保志。ああ。あなたのをっ……こんなにも、わたくしの中に、感じますわ」
けれどリリアは嬉しそうに笑っていた。
いつもの高慢な表情はそこになく、汗を浮かべ、ほつれた毛を額に張りつけて、健気ですらあるその顔に、どきりとしてしまった。
「リリア……」と、彼女の金髪を撫でて、整えてあげる。
角を優しく触ると、小さな身体がぶるっと震えた。
スベスベの、純白ソックスをさわさわと撫でたら、足指がくにくに蠢いた。
「あ、ンッ。な、なんだか全身が、ビンカンになってますのぉっ……」
艶めいた吐息が、リリアの赤みを増した唇から漏れる。
一度、絶頂に達した余韻が、少女の身体に残っているのだろう。あどけない顔が綻んで、するとペニスへの締めつけが、ほんの少しだけ緩んだ。
ぬりゅ……と、腰を揺り動かしてみる。
「いひっ!? あひ、んんんっ!」
リリアのイカ腹がぐうっと持ち上がった。可愛いお臍が迫ってくる。
「うあぁあっ……、すご、いまの、リリアっ……」
膣肉の内部でペニスを躍らせた瞬間、可憐な襞肉がいっせいに、保志のペニスを締めつけたのだ。それはあたかも暴虐の侵略者を押さえつけようとするようであり、リリアの性格を反映したような蠢きであった。
それをまた、味わいたくて──。
ぬりゅっ……ぐちゅぐっ。ずぶっ、ちゅ、ぐちゅぅ!
「あ、あああっ! ほ、保志っ! ま、まだ入れたばかりですのっ、んひいっ! そんなに、そんなになかで動かさないでっ! ジンジン、ジンジンするんですのぉっ」
唇をわななかせ、角を振ってリリアは身悶える。
「ごめん、リリア。ぼくこんなの、我慢できない」
「ひいっ」保志の返答に魔王の娘は小さな悲鳴を上げる。
サイズ差が、あまりに違う大人の腰が、小さな股ぐらを断ち割って、蹂躙を開始する。
ぐぅじゅ、すぼじゅ! じゅ、じゅぼぅっ!
幼い蜜壺に突っ込まれた肉棒が、その狭隘な道を拡張してゆく。
きついゴムが食い込んだみたいに、へこむ男根の付け根を支点にして、開ききった破瓜孔を、ぐちゅりぐちゅりと掻き混ぜた。
「んひいぃぃ! んぐっ、あううっ。保志の、保志のがぁ……中で、暴れてますわ……」
寒さをこらえるように、震える自分を抱いて、リリアは熱く呻く。
その両腕すら無理矢理に開いて押さえつけ、剥き出しの幼乳房を、ネロリと舐めた。
「ふぁあああんっ! い、いまはおっぱいっ、やあですのぉっ!」
可愛らしい嬌声が保健室に響き渡る。あまりに青い乙女乳房は、感度も抜群のようだ。
「な、なんですのっ……ふぁあ、わ、わたくし、こんなっ……」
──初めてなのに、とリリアが悩ましく身を捩る。
「に、にくたらしぃっ……あなたの、目がっ! くひっ! わたくひをエッチにさせますわぁっ! んくぅうっっ! ひぁああんっ!」
蜜壺の温度は高まり、襞肉がペニスに絡みつく。
溢れるほどの蜜汁が亀頭を、肉竿を濡らして、はらわたを犯す蛇肉をぬめらせ滑りをよくしてくれる。まるで、もっと動いてというかのように。
「気持ちいい? 僕は気持ちいいよ。リリアのなか、うねうねって動いて、こんなに僕を気持ちよくさせてくれる。初めてなのに、嬉しいよ、リリア」
「や、やあんっ、言わないでくださいましっ! んっ、くひっ! わ、わたくしのそこは、そんなにふしだらではありませんっ、ああ────ンッ!」
言い訳をしようとするリリアの、最奥までを穿った。先端が、行き止まる。子宮を打たれた衝撃に、小さな顎がカクンと開いて、背骨がぐうっと波打った。
「そこ? リリアの、おま○こ? こんなに涎垂らして、気持ちよさそうだよ」
ずっ、ぶっ。ぐちゅっ、ずぶっ。耳朶を打つ、淫らな音色。
「ねえ、気持ちいいんでしょう、リリア?」
気持ちいいっ……!
気持ちいいんですのぉっ! ああ、わ、わたくしのおま○こ、ほしのをいっぱい呑み込んでぐちゅぐちゅいってますわぁ……っ。頭の中までしびれてしまいそうですのっ、あ、あああっ、熱い、熱いので脳みそが溶けてしまいそうですわ。あ、ま、またおっぱいを舐めてますわっ、わたくしの、ちっちゃな、子どもおっぱいをちゅうちゅうってっ! はぁああんっ、らめ、られめすのっ、身体中が悦んでしまいますのっ!
「保志、保志いっ! ふぁあ、保志、いいっ……っ!」
どうしてっ……! 初めてなのに、どうしてこんなに気持ちいいのっ。
金眼に狂わされているからだ。そうに違いない。
でも、それだけ?
──リリアさん、せんせいのことが好きなんだよね──。
「ほしっ、ほしっ! ああ保志っ! くひぃいいんっ」
好き──だから。
好きだから、好きだから、大好きだからっ!
だからこんなに、気持ちいいっ。
「保志っ、保志っ、保志っ! ひっ、ああ、ほしっ!」
初めてなのに、初めてのエッチなのにぃっ!
わたくしの、子どもみたいな身体が、おま○こが、ふしだらにされてしまいますっ!
おま○こぐちゅぐちゅに蕩けさせられて、狂っちゃいますぅっ!
ああ、保志、保志。わたくしは、あなたのことが──。
──大好きですのっ、保志ぃっ!
「──大好きですのっ、保志ぃっ!」
リリアの告白に、下腹が白熱した。精液が、漏れかける。
(あ、ああっ……だめだ、も、もうっ……でそうだっ)
紅潮する幼い肌。艶めかしい瞳が保志を見つめている。ぐちゅぐちゅと粘つく恥肉には、赤い色が混じっていて、それがまた背徳の悦楽を煽るのだ。
「保志、ひぃっ。ほしの、おちんちんでっ、わたくひのおま○こ、気持ちよくなっちゃっ
てますのぉっ……! ら、らめぇっ、おま○こへんになるぅうっっ……!」
可愛らしい幼童がいやらしく、性器の名前を連呼する。そんな幼い少女の淫らな姿に、股間はますます熱を増し、欲望の煮汁がとぷとぷと、先っぽから染み出すのである。
じゅっぶ! じゅっぶ! じゅっぶ!
「ふぁああっ、おく、奥がとろけりゅっ! ひ、ひいいいんっ」
大人のペニスを胎内いっぱいに受け入れて高慢少女は淫らな鳴き声を上げる。
あのリリアが。こんなにも、エッチに悶えて、保志の肉棒を受け入れている。
未成熟に過ぎるイカ腹に汗を浮かせて、快楽によがり震えている。
「リリア、ぼく、ぼくっ! もう、もうだすよっ、リリアのなかにっ!」
ずぶずぶっ! ぐちゅぐちゅ! じゅぼっ、じゅぶぼっ!
「あ、あああっ、だしますのねっ! わ、わたくひのなかに、あの、くさい汁を、お腹が破れそうな勢いで、どぴゅどぴゅってだしますのねっ……!」
腔内に出す。小さな教え子に、その子宮に男の精を注ぎ込む。
溢れんばかりの背徳に、保志の腰が激しく動く。
「ふぁああっ、はひぃぃっ! おま○こ、じゅぶじゅぶうぅっ!」
純白ソックスごとガクガクと揺さぶられ、未熟な身体が悶絶する。
「んくぅう……うんっ! よ、よろしいですわよっ! は、ああっ! この、子どもみたいな身体に……たっぷり、お出しなさいませっ!」
悶えるリリアの美脚が、逃がすまいとするかのように保志の腰を包み込んだ。
「ああ、リリア……」
ぎゅうううっと、腰を押しつける。一番奥、女の子の大事な部分に流し込むように。
子宮がぎゅぼっと抉れ、鈴口が子宮口にちゅぱっとキスをして。
保志は溢れ出す衝動を解き放った。
「あぐうっ! で、でるっ、くぅううう~~~っ!」
どびゅるうぅうっ! びゅびゅびゅ! どびゅるぅうぅっ!
「くひっ、ひぃいいいん! でてますのっ、ほしのくしゃいのが、し、しきゅうのなかに
ちょくせつでてますのぉっ! あ、ああ、んくぅうぅぅ──ンッ!」

赤子袋に直接、焼けつくような灼熱の子種汁を流し込まれて、小さな体躯がガクガクッ! と痙攣した。イカ腹がせり上がり、眼球が上向いて、赤い舌を吐き出して。
ぴゅるるうっ! どぴゅどぴゅっ! どぴゅんっ!
「あひゅぃっ、あひゅいんですのっ、わたひ、ほひのせーえきでイってますのおっ!」
中だしザーメンの絶頂に、リリアもまた絶頂へ至った。
「うぉ、お……っ! ぜんぶ、でる……」
亀頭のディープキスは離れずに、どぷんどぷんと大量ザーメンが、一滴残らず、未熟な子宮に呑み込まれていく。
ロリヒップがぴくっ、ぴくっと痙攣を繰り返している。
膣肉はうにうにと、男根を揉み干して、精液を絞り出す。
気のせいか、イカ腹がほんのり膨らんだ気すらした。
「ふぁ、あ……ほ、保志の、まだ、中で……でてまひゅわ……。わ、わたくひのないぞうを、せーえきだらけにする気、ですの……? んぅ、ふぁ……あ……」
赤い瞳は夢見るように蕩けきっていた。
「これで……契約が?」
「は、あ、はあ……いいえ。今は、仮契約といったところですわ。そうして、これで」
うっとり微笑むリリアの両手が、保志の顔へ伸びる。頬を掴まれ、引き寄せられた。
ちゅ……と。小さな唇が、保志のそれへと重なりあう。そして──。
汗にまみれ、艶めかしく輝くリリアのお腹。荒い吐息に上下しているそのイカ腹の表面に、ぼんやりと魔法陣が浮かび上がった。
赤い──血で描いたような文様だ。
「こ……これは?」
「はぁ、はぁ……これが、『契約』の成った、証ですわ」
リリアの手が、お腹を撫でる。なんだか幸せそうな顔だ。
その顔が、さっと変わった。意地悪そうに、保志に笑みを向けている。
「……ふふ。保志。これであなたはもう、わたくしから逃げられませんわよ」
その笑みに──何か、怖いものを感じてしまう保志であった。
すべての運命が、この時決してしまったような。
「あなたの、その目。それは、ミイナの力がフィードバックされているのですわ。催淫効果のある魔眼。サキュバスの、能力ですわね」
と、リリアは言った。やはり、この金眼は、サキュバスのものか。
「じゃあ……クーフェイのも?」
「たぶん。身体能力の、向上といったところでしょうか。そちらに、自覚は?」
首を横に振る。自分にクーフェイのような強靱さが備わっているとは思えなかった。
「これで、結界をずっと維持できるのかい?」
衣服を整えた、リリアに訊く。魔王の力を振るえるというのなら、今、童園の周りに張っている結界を保持することができるのではないか。
いいえ、と、リリアは首を振った。
「おそらく今、外部では、わたくしの張った結界を読み解き無効化する、解呪の真っ最中ですわ。魔力が尽きなくても、もうそろそろ限界でしょう」
「そ、そうなの。じゃあ……どうするんだい」
不安げな保志に、リリアは笑みを返す。
「もちろん──戦うのですわ。ねえ、ミイナ? クーフェイ?」
「……う、うん」
「あったりまえさ!」
いつからそこにいたのだろう。二人が扉の向こうから、顔を覗かせていた。
「……覗いてたのか」
決まり悪そうに苦笑するミイナと、悪びれもせずえへへと笑うクーフェイ。
クーフェイが保志の首に飛びついてきた。「んー、ちゅっ」と唇を、唇に押し当てる。
「ほら、ミイナも。ちゅうするんだぞ」
と、クーフェイに頭を押し下げられた。ミイナが頬をぽっと赤らめて、あうっと呻いて、
おずおずと近づいてきて、その赤い唇を保志の唇と重ねあう。
二人のお腹が、赤く輝いた。
契約、完了である。
「四貴族であるこの二人に、魔王の血族であるわたくしが加われば、怖いものはありませんわ」
「だ、……だいじょうぶかな、だいじょうぶかな?」と、ミイナ。
「しんぱいするなよっ! 死んだら死んだ時さ! 土にかえるだけだぞ。むしとかとりに食べてもらって、あらたなだいちのかてになるのだぞ」
胸を張るクーフェイの言葉にミイナがガクガクと震え始めた。
「本当に、戦うのか」
「心配ありませんわ、保志。あなたはここで、みんなを元気づけてくださいまし。それが、保育士というあなたの役割ですわよ」
そう言って、彼女は扉を向く。
「それでは。お父様の如く、立ちはだかる敵をすべて潰して平らにいたしましょう」
眦を鋭角に、口の端を吊り上げて、自信と覇気を込めて、リリアは笑う。
保志はそこにアスモデウスの笑みを見た。
それは王者の笑みであった。