19



「先にいっておきますが」ヤルダはいった。「わたしは自分でも理解していないことを話すのに、時間の大部分を費やします。その際に二、三の事実と二、三の推測を提供しますが──そのあと、そうした事実ではじゅうぶんといえない理由と、そうした推測がかならずしも正しくない理由を説明します」

 ヤルダは部屋を見渡した。顔の多くは見慣れたものだった。ここでの教育を受けはじめた当初から、そのようすを追いかけてきた若い女たちや男たち。しかし、ほとんど見覚えのない生徒も半ダースいて、それにはいっそう勇気づけられた。ひとたび古い野蛮さを過去のものとすれば、〈孤絶〉に乗っているだれもが、豊かな知的生活を送れるようになる。いつの日か、人々は手肢を動かすのと同じくらい自然に、目を閉じて回転物理学を思索し、四空間の対称性について考えているだろう。

「わたしはなにを理解していないのか」ヤルダは言葉を続けた。「固体が安定している理由を理解していません。気体がくっつかない理由を理解していません。そして、周囲の塵とやんわりと接触しただけで、岩が白熱する理由を理解していません」

「固体が安定していることは証明したはずです」オーシリアが言葉をはさんだ。「この前のセヴェラの授業で」

 ヤルダはいった。「たぶんあなたがたは、輝素の配列には、ネレオの力があいだで働くと、その形状を保持すると考えられる幾何配置がいくつかあることを示したのではないかしら」

「そう理解しました」オーシリアが答える。

「では、それはどういう仕組みなの?」

「すべての輝素は、位置エネルギーの山と谷に囲まれています」オーシリアがいった。「もし輝素がたくさんあれば、そのすべてを隣接する谷に落として、それらがその場にとどまろうとする整然としたパターンを作ることができます」

「確かにそのとおりです」とヤルダ。「しかし、まだ基礎を学んでいるうちは、あなたがたを混乱させるのを避けるために、セヴェラが提起しなかった問題がふたつあります」

 ヤルダは基本的な一次元の例をスケッチした。