「まずロケットを作ります」エウセビオがいった。「この世界から離れていけるくらいに強力なものを。それを宇宙空間に送りだして、疾走星の速度と同じになるまで加速させます。それが達成されたら、直交星群団 から来るなにかがロケットにぶつかる可能性は非常に小さくなる──ただし、ぼくたち自身の星群団 のガスや塵との衝突を避けられるように、出発時点で位置を調節する必要があるでしょう。
道程の全体は、ここに描いたとおりです。この世界で経過する時間は、ロケットの来歴を合計で一回転させるのにかかる時間になります。四分の一回転で加速、半回転で反転、最後の四分の一回転で減速。仮にロケットが一重力で加速したら──乗員たちの体重は地上と同じにしかなりません──帰還までの四分の一回転ごとにこの世界で経過するのは約一年ずつで、全体は四年がかりになります。
回転の各段階でロケットの上で経過する時間は、それよりもそんなに大きくはならないでしょう。湾曲部分のそれぞれは、この図の高さより二分の π 倍長いだけです。けれど、ロケットの来歴がこの世界の来歴と直交しているあいだは、出発地のこの世界ではまったく時間が経過しません 。だから、ロケットの搭乗者たちは、必要ならいくらでも長いあいだ、旅をすることができます。もし課題を達成するためにもっと時間が必要になったら、航宙をもう一代 、もう一期 と延ばしていける。それでもロケットのこの世界への帰還は、一瞬隔 たりとも遅れることはない」
ヤルダは絶句した。ふたりの役割は完全に逆転していた。いまエウセビオが提示した案は物理学的にすばらしく単純明快で、ヤルダは自分でそれを考えつかなかったのが恥ずかしいほどだった──疾走星群を、過去にむかう始源世界の破片だと最初に考えたときと同じような、奇想をもてあそぶ気分であれば、ヤルダも思いついたかもしれないが。
だが、それを実行に移すとしたら、どこから手をつければいいのか?
「いったいどんなロケットを作ろうという気なの?」ヤルダはいった。「その中で数世代の人々が、一期 間生き延びられる──さらには、目的を達成できる可能性が少しでもあるくらいには学問が盛んになるような場所、ということよ? これまでこの目でじっさいに見たことのある最大のロケットは、わたしの腕のサイズだった。話に聞いた最大のものでも、わたしの体より小さいというし。もしあなたがわたしの光学作業室を宇宙空間へ送りだせたら、それはこれから一世代 、ズーグマの語り草になるでしょうけれど、そこに小麦畑を作る余裕はなさそうだわ」
エウセビオは口ごもっていたが、それはどう返事をするか考えていたからで、ヤルダの言葉にはこれっぽっちもくじけてはいないようだった。
「あなたは〈孤絶山〉にのぼったことがありますよね」エウセビオがいった。
「もちろん。大学の観測所が頂上にあるわ」
「なら、あの山が、人の定住している土地のどこからも遠く離れているのをご存じでしょう」
「確かにね」エウセビオの話がどこにむかっているかがわかった、とヤルダは思った。人の住む場所から隔絶した、高度の高い場所は、新型ロケットのテストに理想的だ。
だがエウセビオはこういった。「地質学者によると、〈孤絶山〉の中心部は純粋な太陽石だそうです。そこにトンネルを掘り進んで、太陽石に点火して、山を丸ごと宇宙に打ちあげる、というのがぼくの計画です」
ヤルダは学校に子どもたちを迎えにいって、そのまま光学作業室に連れてきた。アメリアとアメリオは床の上で楽しく遊んでいる。傷のあるレンズをしまった箱を見つけたふたりは、そのレンズを並べて即席の望遠鏡を作り、おたがいの歪んだ像を見て、際限なくブンブンいっていた。ヴァレリアとヴァレリオは、空想の動物の絵を描くという子どもの成長段階のただ中にいる。こちらのふたりはその絵をどうしても取っておきたいといい張るので、ヤルダは昔の学生が課題として提出した片面が空白の紙と、リディアが工場から住居に持ちかえった染料の壺を渡した。
そして自分の机の前に立って子どもたちのようすを見ながら、ヤルダはエウセビオの計画をどう考えたものか、結論を出そうとした。
ジョルジョが偏光の実験でヘリオスタットを使うために、学生の一団を連れて作業室に入ってきた。子どもたちは歓声をあげてジョルジョに駆け寄り、ジョルジョは少しもわずらわしそうにも恥ずかしそうにもせずに抱きつかれるままになっていたが、そのうち自然に子どもたちをさっきまでの遊びに戻らせた。ヤルダは学生の力学の課題の山を出して、採点をはじめたが、その間も、さっき自分が惑星の全滅を回避する適切な手段を考えるために、日常の職務から二鳴隔 ほど離れていたのを後ろめたく思ってしまうことに驚いていた。ヤルダは疾走星についての考えをジョルジョと話しあっていた──そしてジョルジョはいつものように、洞察に満ちた意見をいい、反論もした──が結局のところ、ジョルジョはまだそのすべてを、形而上学の演習問題のように扱っていた。
ヤルダが子どもたちを連れて住居に帰ったとき、ちょうどリディアも勤務シフトが終わって戻ってきた。
「また染料を持ってきてくれた?」といってヴァレリアがリディアにつきまとった。ヴァレリアとヴァレリオは、体の横に並んだ六つの口を大きくひらいた巨大な長虫の絵を何枚も描いて、もらった染料の最後の分を使い果たしていた。
リディアは両腕を広げ、ついでに冗談半分で六つの空 っぽのポケットもひらいた。「今日はないの。今日は全部の瓶が検査に合格したから」
ヴァレリアは不機嫌になったしるしに、六本の腕を自分の双に巻きつけて、頭をもぎ取ろうとした。ヤルダは一回ごとに声をきつくして、やめなさいと三回いってから、じっさいに手を出してふたりを引き離した。
「いっつもヴァレリオをひいきするんだから!」ヴァレリアが金切り声をあげた。
ヤルダは暴れるヴァレリアをおとなしくさせようと苦労しながら、「ひいき? ヴァレリオがなにか悪いことをした?」
返事に詰まったヴァレリアは作戦を変えた。「あたしたちは遊んでただけなのに、ヤルダに邪魔された」
「これからはいい子にしている?」
「わたしはいつもいい子だよ、この太った変人」
リディアがうなり声をあげて叱りつけた。「ヤルダおばさんに、そんないいかたをしてはダメ」
「あんたはもっと変人じゃん!」ヴァレリアはいい放って、リディアとむきあった。「ヤルダに双がいないのは、別にヤルダのせいじゃない。生まれる前にまちがって双を飲みこむかなにかしたんだけど、あんたが石で自分の双を殴り殺したのはみんな知ってるわ」
ヤルダは、ヴァレリアが作業室でとてもいい子にしていたのを思いだすことで、自分の中に残っている忍耐力を呼びおこそうとした。
ダリアは以前、トゥリアの子どもたちが学校の三年生になったら、どんどん冷淡になっていく級友たちから笑いものにされるのはおまえたちのせいだとばかりに、養母たちにむかって暴言を吐くようになる、といったことがあった。だから子どもたちが三年生になるときに、ヤルダは四人が直面することになるだろう無知と敵意について話し、それをうまくあしらう方法を聞かせた。そのときには、ヤルダのアドバイスを受けとった子どもたちは、悪意に満ちた世界でなにがあっても、自分たちがおばさんたちに感じる愛と誠実な気持ちはずっと変わることはありえない、と約束したのだったが。
そこまでのやりとりを無表情に眺めていたアメリオが、うんざりしたあきらめをこめて発言するのにふさわしいタイミングだと判断した。「女がいるのは子どもを作るためで、育てるためじゃないんだ。この人たちにちゃんとできると思うのが無理だよ」
ヤルダは思った。疾走星がここに落ちればいい 。
リディアがいった。「自分たちで染料を作ってみない? 市場に行けば、材料が見つかるわ」
ヴァレリオの顔が興奮でパッと明るくなった。「それいい!」
「わたしも行きたい」アメリアが頼みこむようにいった。
ヴァレリアは二、三停隔 、我慢していたが、染料の話は自分がいいだしたことなんだからと判断したらしい。「最初にどの店に行けばいいか、あたし知ってる。頭の中にリストができてるわ」
ヤルダはリディアと目を見交わして、状況の悪化を食いとめてくれたことに感謝した。「じゃあ全員で行きましょう」リディアがいった。「暗くなる前に」
ヤルダは真夜中すぎの最初の時 鐘 で目をさました。ダリアはまだ帰ってきていない。ダリアはときどき、夜、大学から〈単者クラブ〉に直行して、そのまま自分の部屋に行って眠ることがあった。そのときは翌朝、リディアの勤務シフトしだいで、ヤルダかリディアが子どもたちを学校に連れていくことになるが、この部屋の家賃の半分以上を出しているダリアにむかって、担当分の役目を果たしていないと文句をいうわけにはいかなかった。
窓の脇の床に光の斑点があって、散乱光の端にかすかに色がついていた。ヤルダは起きあがって、音を立てずにそこに歩み寄った。窓のむこうに四組の尾が見えていて、広がりかたは遅いが、それでもほとんどの星を見えなくする明るさがあった。初期に報告された疾走星は、動きが速くてこの星の近くを通るものばかりで、それはたぶん、もっと遠くのものは暗すぎて肉眼では見えなかったからだと思われる。もし、現在出現している疾走星にかつてのように近くを通るものがあれば、すごい眺めになるだろう。それはもしかすると、ヤルダの優柔不断にケリをつける力があるかもしれない──はるかにひどい事態を引き起こさなければ、だが。
仮にヤルダの心の中に、遠い過去から次々と押し寄せる岩のせいでこの世界が終わることをどうにも信じられない部分があるとしても、それを信じている 部分は、その大宇宙的騒乱の回避策が存在すると想像するのにもっと苦労していた。もしかするとこれは、人はだれもが生まれたときから、人生はふつうどおりに続いていくと思おうとする傾向を持っているということでしかないのかもしれない──そしてその先天的ともいえる確信を、〈孤絶山〉で作ったグラフの中に隠れているのを発見した直角三角形に端を発する議論によって覆 せると思うのは、これまで受けてきた教育がどれほど役に立つとしても、ヤルダの脳の動物の部分にとっては、ないものねだりでしかなかった。
ヤルダは、眠っている子どもたちにちらりと目をやった。ひどく腹が立つこともときどきあるけれど、絶対にこの子たちの運命に無関心ではいられなかった──だが、この子たちの人生が、そしてこの子たちの子どもたちの人生が、いまや自分の真面目で、熱心で、頭がおかしいかもしれない昔の教え子の手の中にある、という気分を腹の底深くから感じることはできなかった。
(トゥリアだったら、どうしていただろう?)笑いのめし、熟考し、嘲笑し、議論し、対立するすべての議論の弱点を探し、ほかの人々の盲点に光を当て、それから、ほかのだれもと同様に不完全な、自分自身の本能に従っただろう。ヤルダはいまもつねにトゥリアを思いださずにはいられなかったが、今回はそうでなくても頭が混乱しすぎていて、亡き人々に助言を求めるどころではなかった。
床の光が明るさを増した。ヤルダは振りかえって窓際に戻った。新たなまばゆい紫色のすじが出現していた。それはゆっくりと、先行する尾と平行にひろがっていった。
ヤルダはなんらかの結論を下す必要があった。いまから眠りに戻るだけのためだとしても。では……エウセビオの計画に乗って、自分にできるかぎりの手引きを提供し、奇妙な活動計画の落とし穴を見つけだすのを手伝うことにしよう。そこまでするだけなら、正気の沙汰ではない空飛ぶ山の乗員になることに同意する必要はない──そして、エウセビオと自分とを悩ませている宇宙花火が、ダニの群れ程度の無害なものだとこの先判明するかもしれない、という希望を捨て去る必要もない。
エウセビオに連れられて、ヤルダは埃っぽい茶色の平原の最後の数区離 を徒歩で横断した。「こんなに長く歩かせることになってすみません」エウセビオがいった。「でも、トラックを近づけすぎるのは、どう考えても避けたいので」
ヤルダはその言葉の意味を理解するのにちょっと手間取った。トラックの燃料の解放剤は、太陽石に用いられるのと同じものではないが、それでも交差反応する可能性はある。ひとつまみの灰色の粉末がタンクからこぼれて、風でまずい方向に運ばれ、そしてなにかを急激に過熱することはありえた。
「じゃあそもそもどうやって、太陽石をここに運びだしたの?」ヤルダは質問した。
「通常の輸送方法でですよ。しっかりと小さく分包して」
ふたりは試験用ロケットのところに到着した。ヤルダの背丈くらいの硬石でできた円錐だ。頂部のいくつかの隙間から、複雑に組みあげられた歯車やぜんまいが内部にしっかり固定されているのが見えていた。「このほとんどは姿勢制御のためのものです」エウセビオが説明する。「もし太陽石の燃焼にムラがあったら、それはロケットに回転モーメント をあたえ、全体が進路から逸れはじめます。ロケットの機械装置類は、それを感知し、直ちに燃焼点間の解放剤の流れを調節して対応することが要求されます」
「感知する方法は?」
エウセビオはロケットの脇に置き去りにされていた道具箱からクランクを手に取って、主ぜんまいを巻きはじめた。「回転儀 です。三つのホイールが常平架 の上に据えられて高速で回転していて、もし支え台 に対して回転軸がズレたら、それはロケットが直線コースから逸れたことを意味する」
ぜんまいを巻きおわったエウセビオはしゃがんで、六本の短くて太い脚で地面から半歩離 上に持ちあげられている円錐の底を、クランクで指し示した。「太陽石には四ダースの先細りの穴があけられていて、穴の内側はいちばん奥近くまで安定石で覆われている。それぞれの穴を作るために切りだされた円錐形の太陽石の塊も、安定石で覆われてもとに戻されていますが、こちらの安定石には溝が刻まれていて、穴とのあいだに隙間がある。解放剤はその隙間を伝い落ちて、安定石で覆われていない底の部分に点火する。太陽石が燃えるにつれて覆いが劣化して、だんだんと燃料を露出させていくわけです」
ヤルダはエウセビオの脇にきて、〝完全にはふさがれていない穴〟が規則的に並んでいるのをじっと見あげた。大公会堂での夜通しの公演のあいだ輝きつづける太陽石ランプには、最小量の解放剤が用いられ、しかもある種の不活性な砂を混ぜて効力が弱められている──それでも毎年、不注意な操作係が二、三人死んでいた。このロケットの奥深くで燃料にむかって落ちていくのを待っているのは、なんの混ぜものもない、タンクいっぱいのそんな物質だ。
「昔あなたが、化学科を訪問するのを怖がっていたことがあったわね」ヤルダはいった。
「怖がったことなんてありません!」エウセビオが抗議した。「エネルギー一覧表もまともに作れないような化学者たちとつきあって時間を無駄にするな、とあなたがぼくにいったんですよ」
「はいはい、確かにわたしは、そんなことをいったかもね」ヤルダは立ちあがって、ロケットからあとずさった。
エウセビオは道具箱にクランクを投げいれると、平原のむこうのアマンドがいるほうに顔をむけた。アマンドは、ヤルダがここに到着したとき実験場で作業中だった三人の助手のひとりだ。エウセビオは二本の手を大きく振りまわし、同じ身振りが返事として返ってきた。それを見てエウセビオは円錐の中に手を伸ばし、レバーをひとつ外した。
「いまのはなにをしたの?」ヤルダが訊いた。
「点火まで一鳴隔 」
「警告してくれてありがとう」
「一鳴隔 もあるんですよ!」エウセビオは道具箱を拾いあげながら冷笑気味にいった。「点火のずっと前に、防壁の陰に隠れられます」
ヤルダはすでに、十歩離 先を走っていた。「お父さんはほんとうに、あなたに列車の設計をさせてくれたの?」後ろのエウセビオにむかって叫ぶ。
「くれましたよ、でもぼくは他人の設計にちょっと手を入れただけですけれどね」エウセビオは白状した。「列車は複雑だ。あんなものをゼロから発明するのはごめんです」
ヤルダがロケットにいちばん近いトラックにたどり着くと、ほかのふたりの助手、シルヴィオとフリドが胸を下にして荷台に伏せていた。高さ約四歩離 の頑丈な木材の防壁がトラックの横に取りつけられている。ふたりの男は、経緯儀が設置された細いスリットの後ろで、両肘をついて体を支えていた。理論どおりにいけば、ロケットは垂直に上昇し、燃料を使い果たして、運動量のみでさらに少し上がり、それから垂直に地面に戻ってきて、だいたいのところ打ち上げ地点に穴 を作る。ロケットが到達した高さがわかれば、実験チームは、作りだされたエネルギーのうちでじっさいに有効な働きをした分を数値化することが可能になる。これが作業室の実験なら、四分の一摘重 の太陽石を燃焼させた結果を、密封されたチェンバー内で発生したガスに荷重のかかったピストンを駆動させることで、計測できるだろう。だが、ガスがロケットの側面からまき散らされ、熱で砕けた燃料が砂漠にばらまかれっぱなしという状況で、実験室と同じ成果を期待するのは、少々楽観的かもしれない。
エウセビオが追いついてきて、防壁の後ろでヤルダとアマンドに並んだ。アマンドがいった。「打ち上げ一分隔 前」アマンドが手にした小さな時計は、エウセビオがロケット内に設置したものと同期していた。ヤルダは不安な思いで時計の文字盤を見つめた。もし太陽石が予想よりも高温で速く燃えたなら、防壁がなんの保護にもならない高さにロケットがあがってから、炎が立ちのぼってタンクいっぱいの解放剤をぶちまけ、なにもかもがひとまとめで巨大な閃光と化すことも考えられなくはない。
「わたし、こんなところでなにをしているの?」ヤルダはつぶやき、視界を完全にさえぎることなく安全に低く伏せる姿勢を探ろうとした。
「歴史が作られるところを目撃しているんですよ」と答えたエウセビオは、本気一辺倒ではなかった。ヤルダはちらりとアマンドを見たが、その顔からはなにも読みとれなかった。
「三、二、一」エウセビオがカウントした。
防壁は点火時の閃光は遮蔽したが、ヤルダが地面の震動を感じたときには、目も眩むほどの白い光の線が、視界に入る高さにのぼっていた。一瞬後、シューッという大音響が空気を伝わってきた。
ヤルダは目の上に手をかざして、残像のてっぺんにいるロケットを探したが、なにかが正常ではなかった。視野に焼きついた光の軌跡は、弧を描き、円になり、曲がりつづけて螺旋になった。そうした曲線を描いていた輝く点はまもなく防壁より下に落下し、地面が揺れた。ヤルダは衝突音が聞こえないように振動膜を硬くして守り、もっと大きな爆発を予想して体じゅうが張りつめた。
だがそのあとはなにも起こらなかった。燃料がすべて燃えつきていたか、あるいは解放剤が飛び散ってしまっていたかだ。
ヤルダはエウセビオのほうをむいた。動揺しているようすだったが、たちまち冷静さを取りもどした。
「ずいぶん高くまであがりましたね」エウセビオはいった。「十街離 くらいかな」
一時 隔 以上かけて砂漠をトラックで走りまわって、ようやくロケットの残骸が見つかった。もしロケットがひとまとまりのままだったら、目を見張るようなクレーターができていただろうが、地面にばらまかれた硬石の外被や鏡石の歯車の破片は、ほとんど地表をえぐっていなかったし、早くも砂埃に半分埋もれているものもあった。仮にヤルダがなにも知らないでその破片につまずいたとしたら、考古学者を呼びにいくだろう。
「姿勢制御だ」エウセビオがいった。「改良が必要だというだけのことです」
エウセビオは助手たちに残骸の整理をまかせ、街に戻る車にヤルダを同乗させた。
「ご家族はこの件をどう思っているの?」ヤルダは尋ねた。ヤルダ自身はリディアにもダリアにも、大学の同僚のだれにも、なにひとつ話していなかった。エウセビオから、各種の〝管理上の未決事項〟に決着がつくまでは、プロジェクトについてだれかに話すのは待ってほしい、といわれていたからだ。
「金を注ぎこむ価値はある、と父には納得させました」とエウセビオ。「たとえ世界が疾走星の危機にさらされていないとしても、搭乗者たちが旅の途中で発明するなにかは、財産を軽く倍にする可能性がある、といってね」
「あなたの双は?」
「エウセビアはぼくの頭がおかしいと思っている。でもぼくは彼女に──そして父に──このロケットが飛びたって、未来を保証してくれるようになるまでは、この世界に自分の子どもたちを生みだすことには同意しない、といってあります……ふたりともそれを聞いて、喜んでいるらしい」
「どうして?」
エウセビオは愉快そうにブンブンいった。「エウセビアは、その日がずっと先だから喜んでいる。父は、その日がもうすぐだと思って喜んでいる」
ヤルダはなにもいわなかった。エウセビオはヤルダのほうをむいて、言葉を続けた。「念のためにいっておきますが、エウセビアはこの件とかかわりなく、そう望めばいつまででもそのときを遅らせることができます」
ヤルダは嫌みな言葉を返したくなるのをこらえた。あなたはとても寛大なのね 。もしエウセビオがほんとうに、自分の双といっしょになって、父親のうるさい催促に逆らっているのだとしたら、その話が自慢のように聞こえたからというだけで口論をはじめるのは、感心できることではない。
「これのせいで財産を失う ことにならないという確信はあるの?」ヤルダは訊いた。「いま、山ひとつの時価はいくら?」
エウセビオがいった。「〈孤絶山〉の管轄権を主張している市議会のすべてから、鉱業権は買いとってあります。安くはなかったですが、破産はしませんでしたよ」
〈孤絶山〉は五つの別々の都市からほぼ等距離にある。所有権を主張してもいっさい異議が出ないようにする唯一の手段は、五つの都市すべてにお金を渡すことだ。ヤルダはいった。「鉱業権には利益の分配に関する取り決めも含まれるんじゃないの?」
「当然です。もしこのプロジェクトで儲けが出たら、各議会に分け前を払います」
「でも、各市議会はあなたが計画しているのは、太陽石の採掘とその販売だと思っているんでしょう?」
「その誤解を解こうとしたことはありません」石だらけの道でトラックが揺れる。「でも、ぼくがわが同僚たる議員諸氏相手に回転物理学の講義をしようとするのを、あなたはほんとうに望みますか? 父は進んでぼくのいうことを鵜吞みにしてくれました──ぼくの教育にあれだけの金を使ったんですからね──でも、アシリオや取り巻き連中が、速度-波長の公式からはじまって、高速で移動する旅人にとっての時間経過にいたるまで、証拠の道すじを根気よくたどることができるとは思えません」
「無理でしょうね」アシリオの名前が出たことで、ヤルダはもうひとり、考えまいとしていた人物のことを思いだした。「大学との交渉はどんな具合?」
「ぼくが観測所移転の費用を払うという線で交渉中です」エウセビオがいった。「まだ決着してはいませんが、現在検討している金額を考えれば、大学は二倍のサイズの新しい望遠鏡を作れるでしょう」
「でも、同じ高度にではない」
「すべてを手に入れることはできませんよ。サイズのほうが重要だとは思わないんですか?」
「あなたが納得させる必要があるのは、わたしじゃない」ヤルダは忠告した。「メコニオという名前の男について、聞いたことはある?」
「メコニオ ? はるか昔に死んでいる人なのでは」
「精神的な意味では違うのよ」たぶん、大学がエウセビオの金を受けとって取り引きに合意するほうが、ルドヴィコがこの〝採鉱プロジェクト〟と新しい物理学の忌まわしい主題との関係に気づくよりも、早いだろう。
「山のどれくらいが太陽石だと考えているの?」ヤルダは訊いた。
「質量でたぶん三分の二」
ヤルダは背中を使ってすばやくいくつかの計算をした。「それは四空間での四分の一回転の一回分にはじゅうぶんそうだけれど、旅の全体分をまかなえる見こみはまったくないわ」
エウセビオはびっくりしたようすでヤルダを一瞥した。「半期 ものあいだ改良に取りくんでも、燃焼効率が同じままだと思うんですか?」
「たぶんそんなことはないかもしれないけれど、もし加速段階が終わったとき、太陽石がほとんど残っていなかったら……どれだけ高い燃焼効率を期待しているの?」
「加速後の段階では太陽石を燃やすことはないと思っています」エウセビオが答えた。
ヤルダは仰天した。「搭乗者たちが、硬石や安定石を燃料に変えるようになるというの?」
「そうかもしれないし」とエウセビオ。「あるいは、燃料をまったく必要としないレベルに移行するかも」
いまのは冗談ですよという合図を、ヤルダは待った。そんな合図は来なかった。「つまりあなたは、このロケットが〈永遠の炎〉に乗って飛ぶのを当てにしているの? そんなことを期待しろと、お父さんに話したの?」
エウセビオは身構えるように肩をそびやかした。「第九期 のペテン師たちが似たような発想で山のようなたわごとを書いていたというだけでは、それが現実に不可能だということにはなりません」
「燃料をまったく燃やさない炎が?」
「それが存在するはずがないという理由を教えてください!」エウセビオは逆に質問した。「思想家たちが勝手に空想したやつのことじゃなくてですよ。いつのまにか棚の上にあった魔法の石は、光を作りだすが、ほかにはなにも生じませんでした、なんていうのじゃなくて──それじゃあエネルギー保存則に反するでしょうからね。けれど、もし光と運動エネルギーがいっしょに作りだされるなら、両者が正確に釣りあってはいけない理由はありません──そして隙間を埋める化学エネルギーにはなんの変化ももたらさない。燃料はかならずしも 燃えなくていいんです。ぼくたちがいま手にしている種類の燃料が、そういうかたちで作用しているにすぎません」
ヤルダはエネルギー収支については異論がなかったし、この問題に関係するエントロピーをその場で計算することもできなかったが、光を作りだすことは一般的にエントロピーの増加を意味する。通常の炎では、消費された燃料が生んだ熱いガスは、エントロピーの上昇にも寄与するが、それが不可欠なことだと考える理由はない。だとすれば、表面的には岩板が光線を作りだすことも可能になる──光線を出すのと反対方向に後退するがほかにはなんの変化も被 らないことによって、光線のエネルギーと運動量の釣り合いを取る──ヤルダの思いつけるどんな法則にも反することなしに。
理論が主張するところを受けいれるのは、それはそれ。無限の速度で宇宙空間でにっちもさっちもいかなくなり、呪文を唱えて〈永遠の炎〉を実在のものにできなければ故郷の星へ戻る術 がない、というのは別の問題だ。
「ありえない、ということはできないわ」ヤルダはその点は認めた。「それでも、加速後にも使いものになる量の太陽石が確実に残っているようにする必要はある──たとえ、死重を除去するために、その時点で残っている山の半分を投棄しなくてはならないとしても。搭乗者たちにもっと有効活用できるものをあたえてあげてちょうだい、第九期 の神話を実現するか、さもなくば決して戻ってこられないかの選択じゃなしに!」
「山の精密調査の結果が出てから考えましょう」エウセビオはそれが妥協案であるかのようにいった。「三分の二が太陽石というのは、控え目な想定にすぎませんから」
ヤルダは砂漠の彼方を見やった。疾走星より生き延びるのがむずかしく思えるこんな愚行の搭乗者に、だれが志願しようとするだろうか?
ヤルダはいった。「まさか、廃熱処理の方法を、搭乗者たちに自力で考えださせるつもりじゃないでしょうね」
「もちろん違いますよ」
「じゃあ……?」
「排気ガスの一部の転用を考えています」エウセビオがいった。「断熱状態で膨張させることによってピストンを駆動させ、それによって冷却されることで有益なエネルギーを供給する──そのあとさらに減圧しながら居住区を循環して、熱を吸収する。そこで大半は宇宙空間に放出されますが、居住区の圧力を維持するために使われる分もある。そうしないと、長期間のうちにもともとの空気は漏れだして、圧力は低下するでしょうから」
「そうするとその目的のために、ロケットが使われていないあいだも、太陽石を燃やすことになるのね?」
「そうです──でも、推進に使われる量に比べれば、大したことはありません」
ヤルダはこの計画の欠陥を指摘することも、明白な改善点を提案することもできなかったが、だから問題なしだとはいえない。「これであなたが爆発を怖がっていないことは証明できたんだから」ヤルダはいった。「このまま〈切断小路〉に寄っていかない?」
エウセビオは不審げにヤルダを見た。「なぜです?」
「コーネリオという男の人がいて、彼は熱についてわたしたちのどちらよりもよく知っている。この件について、アドバイスを求めるべきよ」
「その人は秘密を守れますか?」
「さあどうかしら」ヤルダはいらいらと言葉を返した。コーネリオはつねに彼女に敬意を持って対応してくれるが、エウセビオの酔狂に進んでつきあってくれるという保証はできない。
「心配はいりません」エウセビオがいった。「その人をコンサルタントとして雇って、契約書にサインしてもらいますから」
ヤルダは我慢の限界に来た。「あなたは本気で山ひとつ丸ごとを、こっそり 宇宙空間に送りだせると思っているの? あなたと、数ダースの助言者だけで? それに、あのでかい無生命の岩の塊を地面から飛びたたせることなら、試行錯誤だけで実現できるかもしれないけれど、いましているのは、人命を危険にさらすという話なのよ! あなたは世界じゅうの最優秀な人々にこのことを知らせる必要がある、そして頭を絞ってもらうの──あなたのアイデアのすべてを、あなたのシステムのすべてを、あなたの戦略のすべてを、厳しく検討してもらうの。ついでにいえば、その最優秀 というのは、あなたが給料を払って沈黙の誓いを受けいれさせられるうちの最優秀じゃなくて、無条件の最優秀ということですからね」
「ぼくには敵がいるんです」エウセビオは苦々しげにいった。「そいつらは、この計画を知ったら、ぼくが失敗するのを見るだけのために、自分たちの財産の大半を喜んで費やすような連中です」
「わたしの知ったことではないわ」ヤルダは、自分がエウセビオの敵たちの怒りのせいで、彼本人の経験したよりもはるかに大きな被害を受けたことを思いださせたくてたまらなかったが我慢して、冷淡に返事をした。「生き延びるなんらかの望みを搭乗者たちが持てるようにするには、この星のありとあらゆる生物学者、農学者、地質学者、化学者、物理学者、それに工学者に、搭乗者たちの運命をあなたと同じくらい気にかけさせる必要がある」
「それで、その学者たちが数人の赤の他人の生命を心配する理由が、どこにあるんです?」エウセビオがいい返す。「この旅が未然に防ぐことを目的としている大破局のニュースを広めることに、あなたは熱心ではないようでしたが」
「それはわたしがまちがっていた」ヤルダは認めた。「最初は自分で自分の推論を真剣に受けとめていなかったし、そのあとは、自分に対応策を見つけられないなら、そんなものは存在しないと考えるほどうぬぼれていた。そうではないことを教えてくれたのはあなたで、その点では感謝している。でも、いまはもっと先に進まなくては」
エウセビオは無言で、視線を前方に据えていた。
「これからは秘密はなしよ」ヤルダは宣言するようにいった。「わたしは問題点を洗いだすために、ことを公にする必要があり、あなたは解決策を見つけるために、ことを公にする必要がある。人々に議論してもらい、わたしたちのまちがいを正してもらい、わたしたちを支援してもらい、わたしたちを論破してもらいましょう。これをうまく進めるには、それが唯一、希望の持てる方法よ」
ヤルダが部屋に帰ったとき、ダリアが来ていて、ズーグマを破壊する巨大なトカゲたちのスケッチに解剖学的リアリズムを持ちこもうとしているヴァレリアとヴァレリオの手助けをしていた。
「トカゲはほとんどどんな風にでも、好きなように肉の位置を変えることができる 」ダリアが説明する。「でも、とくに好きな姿形が五つあって、それは別々の場所で別々の目的のために使われる。もしトカゲが地上にいて、こんな風に建物を壊していたら、後ろ脚と尻尾にたくさんの肉があることは、賭けてもだいじょうぶ。細い枝を走っているように見えるのは、ダメな描きかたよ」
子どもたちは夢中だった。ヤルダもすわって、あまり言葉をはさまずに話を聞き、そうやって同じ興味を持つだけのことが愛情のしるしと思ってもらえればいいのだけれどと思った。ヤルダが熱心になりすぎると、ヴァレリアの反応は軽蔑混じりになったが、距離を置いたら置いたで、無視していたといってあとから責められる。そのことでこれほど頭を使わなくてはならないのには、消耗させられた。なにがきっかけかはわからないが、子どもと保護者の関係がほとんど苦労のいらないものになることがときどきある。とはいえトゥリアの子どもたちと、その子たちを育てることに決めた三人の友人たちに関していえば、そうなったといえることはごく稀だった。これは自分が好きでやっていることだが、だからといって、ヤルダがこれまでの人生でやってきたことの中でいちばん大変なことでなくなるわけではない。
リディアはアメリアとアメリオを医者に診せにいっていたが、もうすぐ戻ってくるはずだ。今夜子どもたちが眠ったら、リディアとダリアにすべてを話そう、とヤルダは決心した。
ふたりには真実を知る権利がある──でも、もしふたりがヤルダの正気を疑うだけで終わったら? ヴァレリオとふたりで、悪ふざけや凝った工夫を次々と繰りだしつつ、たがいのトカゲを描きなおしながら楽しげに歓声をあげるヴァレリアの姿を見ながら、ヤルダは疾走星の危険性に関する自分の確信がまたしても揺らぐのを感じた。家庭生活に没頭していると、身のまわりの人々に対する脅威への心配が深まるのではなくて、自分が無感覚で懐疑的になっていくのに気づく。ここでいっしょに暮らしているだれもが死んでしまったときのことを想像するのは、むずかしくはない。時がすぎ去れば、それは避けがたいことだ。だが、いま生きているあらゆる女、あらゆる少女が男と同じ死にかたをして 、自分よりも先の時代に生きる子どもがただのひとりもいない、という光景を思い浮かべると、ヤルダの心は、そんな不条理な結末を導きだす理論の連鎖の全体に、反感と疑いを覚えるほかはなかった。
ダリアが解剖学の授業から一瞬離れて、ヤルダに直接話しかけた。「あなた宛ての手紙がサイドボードにあるわ」
「ありがとうございます」芸術家たちは作業にすっかり夢中で、ヤルダがちょっと授業を中座しても、気にしそうになかった。
手紙はルシアからだった。農場を最後に訪れてから、ヤルダは何回か彼女宛ての手紙を出してはいたが、ふたりの手紙のやりとりは途切れがちだった。
ヤルダは木筒の蓋を取って、数枚の巻かれた紙を引っぱりだすと、平らに延ばした。ルシアが紙を皮膚に押しつけたときに隆起を静止させていられなかったかのように、シンボルのいくつかは線が少々揺らいでいた。
『親愛なるヤルダ姉さん。
最後に手紙を出してからずいぶん経ってしまってごめんなさい。あなたがここへ来て、新しい農場を見てもらえればいいなと思ってからもずいぶん経っているけれど、あなたの友だちのトゥリアの子どもたちを育てながら、大学での研究も続けているのだから、忙しいのはよくわかっています。(これを聞いてもあなたは驚かないと思いますが、ジューストおじさんにとうとうその子どもたちのことを話したとき、あの人はそんなことが起こるなんてありえないと断言し、あなたはその出産に責任があるに違いない逃避双か代理双を捜しだすべきだ、なんていったの!)
クラウディオと彼の子どもたちが、二旬 前から新しい農場に来て、わたしたちと暮らしています。これだけの歳月をふたりきりで暮らしてきたあとで、こんなにたくさんの人が身のまわりにいるのは、とてもすてき。わたしたちが昔の農場を訪ねていくのをやめたりしていないのはもちろんですが、しきたりどおりにふたつの農場は一中旅離 以上離れているので、あまり頻繁ではありません。
こうしてあなた宛ての手紙を書いているいちばん大きな理由は、これがわたしの最後の手紙になるだろうことを知らせるためです。オーレリアとクラウディアの出産の一報も予告も送られなかったことで、あなたがとても傷つき、悲しんだことは忘れられないし、わたしと双のときも同じことになるのは嫌だとずっと思っていたの。だからいっておきます。明日、わたしは母親になります。
怖くないといったら噓をついていることになるけれど、ルシオとわたしが子どもたちの未来のために最善を尽くして準備してきたという確信があるから、わたしは大きな希望と幸せでいっぱいでもあります。農場の経営はとても順調で、わたしたちはたくさんのお金を貯めたから、若いいとこの子どもたちが父親に見守られながら農場の仕事をするあいだ、ルシオは育児にほぼ専念できるでしょう。(そしてルシオに腹を立てないでちょうだい、この決断は彼のものであるのと同じくらい、わたしが下したものでもあるのだから)
ここでわたしたちが見ているのと同じ美しい流星が、ズーグマでも見えているのでしょうか? あなたはそれを研究しているのだから、とても興奮しながら日々を送っているに違いありませんね。昼間でも流星は信じられないくらいにとてもすばらしく見えますが、わたしの子どもたちはそんな光景を当たり前のものとして育つのだと思うと、なんだか不思議で、そしてすてきな気分です。わたしの子どもたちは、昔、空がもっとずっと空っぽだったころがあると父親から聞かされて、びっくりすることでしょう!
あなたの姉のルシアより』