矢の高さが──物体が静止していた時点と比べて──減った分の量が、物体の運動エネルギーです。速度が小さいときには、それは古い公式と一致しますが、より高速度になると、ずっとゆっくりと増加するようになります。物体の運動量は、矢が空間を横切って伸びる距離。ここでも、物体がゆっくり動いていれば、それは古い公式と一致します」

 ジョルジョはその図表をはじめて見たようなふりをした。「この〝真のエネルギー〟とはなんだね?」

「エネルギーの自然な尺度は、時間方向の矢の高さです」ヤルダは説明した。「このように、運動量が空間と関連しているのと同じかたちで、エネルギーは時間と関係しています。運動エネルギーは、それから派生する二次的な量です」

「だが、〝真のエネルギー〟は、矢を倒していけば、少なくなっていく」ジョルジョが指摘した。「つまり、なにかが動いているとき……そのエネルギーは減少している ときみはいいたいのか?」

 ヤルダはいった。「そうです。それ以外は意味をなしません」

 ヤルダの厚かましさに感嘆して、ジョルジョは目を大きくした。「ということは、きみの理論は過去三エイジ 分の科学をひっくり返すものだ。位置エネルギーも同様のかたちで、従来考えられていたのとは正反対だというつもりなんだろうね?」

「もちろんです! 位置エネルギーは運動エネルギーと一致するかたちで定義されている のですから」ヤルダはふたつのバネの絵を呼びだし、それぞれのバネには質量-長さを示す矢がついている。バネの四次元運動量だ。「ふたつのバネが圧縮されていて動かないとき、それらは高い位置エネルギーを持っているといえます。では、バネを解放して、ふたつをばらばらに離れさせ、どうなるか見てみましょう。