
「だから……その、もう少しだけ、こうしててください」
「あ……? ん? それはいいんだけど。うん。いいんだけどさ……」
どうにも釈然としない気持ちになる。
どうして自分を大バカ呼ばわりした後輩を撫でたり、抱きしめなくちゃいけないんだろう。
まあ、後輩に頼られるのは、嬉しいと言えば嬉しいんだけど。
いや、この場合、嬉しいって思っちゃうのもおかしいのかな……? いやいやいや。だって私は先輩で、心塚さんは後輩なんだからこれくらい普通のコミュニケーションのはずだ。
……普通だよね? うん。
「あははは……やっぱり先輩、おバカさんですよ」
「ま、まあ……おバカさんくらいならいいけどさ」
「おバカさんならいいんだ……先輩の基準って、よくわかんない」
私は先輩だから、多少の暴言は大目に見るし、こうやって後輩のお世話だってする。私は心塚さんの要望通りもう少しだけ――二十分ほど、彼女の頭を抱きしめてあげていた。