第9章 アラクネのアルカ


 アラクネ族。上半身は美しい人間の姿をしていますが、その姿に騙された旅人は数知れず、と言われています。ぼく自身、出会うのは初めてなのですが、確かに見とれてしまうほど端麗な容姿をしていました。

 年上の女性、という見た目のせいで、なんとなく逆らえません。いえ、それ以前に拘束されて運ばれているので抵抗すらできないのですが、仲間たちが言うには、ぼくたちオークを連れていくのは決して捕食目的からではないらしいのです。

 有り体に言ってしまえば、子作りのためですね。

 ぼくたちオークは、その性欲とは裏腹に種が薄く、回数で補っている節があります。いえ、むしろ本質が性欲解消にあるので、いつの間にか相手が身籠っているほうが多いくらいです。

 アラクネ族など、発情期を持つ種族はどれだけ相手の種が薄かろうが、発情期であれば簡単に妊娠できるようなのです。

 つまり、ぼくたちオークは発情期の種族にとって、これ以上ないほどのパートナーのようでした。とはいえ、結局オーク族は嫌われているのでパートナーとして選ばれることはほとんどないのですが、ぼくを運ぶこのアラクネさんはとくに忌避していないようです。

 嫌われず、誰かに必要とされるのは嬉しいですね。

 アラクネ族のお姉さんに担がれたぼくは、洞窟の中に連れてこられました。洞窟内はかなり広く、下半身が大きいアラクネ族がすれ違ってもぶつかることはないのでしょう。しばらく揺れていると、広場のような場所に出ました。動物の骨が転がっているので、この辺りで生活をしているのでしょう。

「よし、みなの衆。種を連れてきたぞ!」

 お姉さんがそう言うと、洞窟の奥からたくさんのアラクネ族が出てきました。数はおおよそ20人前後でしょうか。全員女性で、オークのように他種族から相手をまかなっているというのは本当らしいですね。

 担がれたままのぼくを見て、洞窟内が途端に騒がしくなりました。彼女たちの言葉に耳を傾けてみると、やはりぼくがオークであることに不満のようでした。どこへ行っても嫌われているというのは、ある意味すごいかもしれません。

「え、どうしてオークなんか連れてきたの?」

「む? 種として優秀ではないか。こいつならすぐに子供を作ることができるぞ」

 なにやら嬉しそうなお姉さんと、いくぶんか幼い上半身のアラクネ族が言葉を交わしていました。どちらも位が高いのでしょうか。ほかのアラクネ族たちはみな、固唾を飲んで見守っていました。

「いやよ! オークなんて臭いし汚いし、醜いじゃない! いくらわたしたちアラクネ族しか生まれないからって、こんな豚を相手にするくらいなら人間のほうがまだマシよっ」

「わたしとしては残虐な人間よりもオークのほうがいいと判断したのだが……なにより絶倫ではないか。人間など、ほんの数回で許しを乞うて泣き喚くではないか。オークならばわざわざ新しい種を連れてくる危険もなくなるぞ?」

 完全に種馬扱いですね。地面に転がされたぼくを一瞥いちべつもしようとしません。人間には人権というものがあるそうですが、ぼくたちオークには一生獲得できないものなのでしょうね。いえ、自業自得なのですが。

「それはそうだけどっ、アルカはそれでいいの!? こいつでいいの!? せっかく子供を作るんだから相手だってちゃんとそれなりの相手がいいわ!」

「わからんでもないが……」

 本人が目の前にいるのですが……遺憾です。

「あ、あの、なんでしたらエルフ族の男ならご希望に添えるのではないでしょうか? 他種族からも美形だと呼ばれていますし、性欲も薄くはありません。この森にはいくつかの縄張りに分かれて暮らしていますし、複数人まとめて捕まえればなんとかなるのではないでしょうか?」

 これは、生殖後に捕食される、なんて生態がないからこそできる提案です。動物の中にはそんな生態を持つものもいますが、アラクネ族はその外見とは裏腹に、心優しい種族だと見聞きした覚えがあります。だからこそ、オークであるぼくをここまで丁寧に運んでくれたわけですからね。

「ほぉ、最近のオークはしゃべれるのか!」

「うわぁ、なんでそんな丁寧な話し方なのよ……」

 やっぱり、どこへ行ってもしゃべるオークというのは驚かれるようです。仲間たちは確かに、ぶひぶひだの、ぐふふだの、仲間内でしかわからない言葉で会話しますからね。

「なんだ、聞いたよりもずっと賢そうではないか。話し方もしっかりしているし、知性も感じる。相手としてもってこいではないか?」

「んもう、嫌だったらっ! そんなにこいつがいいならアルカが相手すればいいじゃない」

「そうだな。ではそうしようか」

「え、ちょ!?

 8本足を器用に動かして、背後に転がっているぼくに振り返ると、アルカさんはしおれたイチモツを優しく握りました。致した直後でズボンを穿く間もなかったため、ここまでずっと下半身を丸出しで運ばれていました。なんというか、ひどく惨めでした。

 裏筋をさすり上げるアルカさんの指遣いは極めて優しく、むずむずと肉棒が大きくなり始めました。そんなぼくを見てなにを思ったのか、器用に蜘蛛脚を畳んで座りました。

「おお、これは初めてみる大きさだ。オーク族はみなこんなに大きいのか?」

「うっ、は、はい。むしろぼくは小さいほうで……っ」

「小さくてこのサイズか。すごいな」

 裏筋をこすっていた親指が先端をなぞるように動いて思わず腰を突き上げてしまいました。敏感な鈴口を執拗しつように刺激する指から逃げようと身をよじりますが、いかんせん拘束されているので思うように動けません。そうこうしているうちに、完全に肉棒が張り詰めてしまいました。

「うぐ、そこは……」

「おお、ここに子種がぎっしり詰まっているのだな? ではよくほぐしてやらねばな」

 空いている手で陰嚢いんのうを優しく揉みほぐしながら、アルカはさんは手淫を激しくしました。亀頭のくびれを輪っかにした指でこすり、親指は変わらず鈴口を刺激しています。ずいぶんと手慣れているようですね。周りのアラクネ族たちもぼくを嫌悪しつつも興味はあるのか、遠巻きに眺めていました。

「ふふっ、見られて大きくするなんてさすがはオーク、スキモノだなぁ」

 誤解です。その一言も言えないほど、アルカさんの動きは激しくなってきました。強弱をつけた上下運動に横回転が加わり、亀頭のくびれを集中してこするものだからすぐさま限界が訪れてしまいました。

「っあ、でる!」

「おっと、いけない。いささか刺激が強すぎたようだな。あと何度かは我慢してもらうぞ?」

 あとひとこすりでもされれば途端に決壊してしまうのに、アルカさんはぴたりと手を止めてしまいました。陰嚢だけは揉みほぐしてくれていますが、それだけの快感では到底射精に至るわけもありません。

 寸止めしたことはありますがされたことはありませんでした。これはなかなか、いえ、かなりつらいです。

 びくびくと震える肉棒をしばらく楽しげに眺め、射精感が治まっていく瞬間を的確に見極めたアルカさんが、再び陰茎をしごき始めました。

「なに、心配しなくても最後には入れさせてやるさ。オークの種は薄いと聞くからな。数回分を一度に出してしまえば確実だろう?」

 それはつまり、受精が確実という意味で。ぼくはその言葉を聞いただけで危うく射精しかけてしまいました。すると、突然限界間際まで張り詰めた肉棒に驚いて、アルカさんが手を離してしまいました。うぅ、あと少しだけ触れていてれもらえば出せたのですが。

 少し時間を置いたあと、またしてもアルカさんの長くすべすべとした指が亀頭を撫でてきました。度重なる寸止めのせいで、込み上げる射精感はなかなか治まらず、それでいてすぐに射精寸前まで張り詰めてしまうのですから、とんでもない悪循環です。

「きみの昂ぶりは手に取るようにわかるぞ。ふふっ、ほら、ここをコスるだけでもう限界だろう?」

 亀頭を親指でまっすぐこすられて、腰が浮いてしまいました。完全に手玉に取られてしまっています。

 糸の拘束さえなければ、いますぐにでも押し倒して好き放題に腰を振るのですが、そんなことができるのはいまや頭の中だけです。唇を噛んで、射精感をなんとか堪えていると、腫れ上がった鈴口にアルカさんの指が侵入してきました。

 射精したくてたまらない鈴口はアルカさんの指先を受け入れてしまいました。わずかな痛みと、それを上回る強烈な快感が亀頭の先端を這い回り、しかし指が尿道に入れられるということに思わず腰を引いてしまい、アルカさんの指が抜けました。

「うっく……」

「急に動くな馬鹿者。危うく出てしまうところではないか」

 ぎゅっと肉棒の根元を強く握られて、指が鈴口から抜けた衝撃に耐えられなかった射精感を無理やりせき止められてしまいました。

「むぅ、あまり我慢させすぎてもいけないか。では入れるぞ? 空になるくらいたっぷり出せよ」

 音を立てずに立ち上がったアルカさんが、ぼくの体をまたまたいでぐっと蜘蛛の下半身を落としました。人間の姿であれば、ちょうど下腹部に位置する場所にアラクネ族の性器はあるようで、柔らかい体毛にくすぐったさを覚える間もなく、亀頭に柔らかい感触が触れ合いました。

 外殻に守られたそこは、甲殻を開閉することができるらしく、寝転がっているぼくの位置からだと、ぱっくりと口を開いて愛液で濡れた膣口がよく見えました。

 思わず注視してしまって、アルカさんも気づいたのか、頬を赤く染めてそっぽを向いてしまいました。それでも腰を落として、ぬるりと抵抗もなく最奥まで届きました。


 その瞬間、いままでせき止められていた精液が放出されました。

 いままでにないほど敏感になっているせいで、相当な勢いと量が尿道を駆け抜けていくのがわかります。危うく意識を飛ばすところでしたが、唇を強く噛んでなんとか堪えます。

 大量の精液がアルカさんの子宮を叩いているようで、彼女は下腹部に手を当てながらうっとりとため息を漏らしました。

「ふ、ふふ……やっぱりオークはすごいな。たったの一度で子袋が膨れ上がってしまったよ」

 いまだ収まらない吐精に、アルカさんは驚いたような表情を浮かべつつも、納得しているようでした。

 いくらオーク族とはいえ、こうも長く射精するのはありえません。なんだかおかしな認識をしているようでしたが、訂正している余裕はありませんでした。

「んん……はあぁぁぁ。すごいな、これならしっかり妊娠しているだろう。感謝するよ」

 にっこりと笑顔を向けられてしまい、思わず肉棒が反応してしまいました。結合部から滴り落ちるほど大量に出したにもかかわらず、ぼくの暴れん棒はまたしても臨戦態勢に入っていきます。

 硬化はまさに一瞬でした。アルカさんの大人な容姿でほほ笑まれてしまえば、オークでなくとも前屈みになってしまうでしょう。しかも、ぼくはいままさに、そのアルカさんの子宮に種付けしている真っ最中なのです。

 驚くことに、先ほどよりも大きくなった肉棒が、アルカさんの子宮口を押し上げました。その拍子に子宮の中に詰まっていた精液が漏れ出してきたのを亀頭で感じました。

「本当にすごいな……あれだけ出したのにもうこんなに張り詰めてるなんて……せっかくだ、今度は私も楽しませてもらおうかな」

「ちょ、ちょっと待ってっ! アルカばっかりずるいわ! あたしも、あたしたちだって、その、赤ちゃんほしいのよ!」

「む、オークはいやだったのではないのか?」

「そ、それは……その。せっかくアルカが連れてきてくれたんだし、1回くらいはってみんなも言ってるから……」

 いつの間に、ぼくたちの周りには数多くのアラクネ族たちが集まっていました。みながみな頬を紅潮させ、せわしなく蜘蛛の脚を動かしては、もじもじと腰を小さく揺すっていました。もしかして、この人数を相手にしなければならないのでしょうか。


「まったく、本当に仕方ないな。順番だぞ。あ、待て待て、先に私だ。少し精液漏れてしまったからな。そのあとで交代だ」