第7章 インプのクレナル


 身支度を整えてオリネさんのご友人を訪ねたのは、お昼を少し過ぎた頃です。

 穏便に、穏便にと言い聞かせて、なるべく言葉遣いも柔らかくしたのですが、邸宅の門前に到着した途端に、見張りの護衛のみなさんに敵意を向けられてしまいました。

「くっそ、なんでオークがこんなところにいるんだ!?

「知るかっ! 大方、お嬢様に欲情したんだろうよ。それがこいつらオーク族だ!」

「で、でもよぉ、お嬢様はここ数日自室にこもりっきりだろう? ただの訪問者だったりしねえか?」

「ばっかおめえ、そんなわけねえだろうがっ。よく考えてみろよ! オークだぞ!? あの性欲魔人が用事があってお嬢様に会いにくるなんて、ひとつしかねえだろうが!」

「くそっ、やっぱそうなのかよ! お嬢様には指1本だって触れさせねぇ!」

 さんざんな言われようですが、実際にオーク族は護衛のみなさんが言っていたとおりの生態ですから反論もできません。

 門の近くにある詰所から出てきたのは、5人の護衛です。中には半裸の男も混じっていて盗賊かと思うような風貌なのですが、ちゃんとした護衛のようでぼくに剣を向けてきました。

 さっそくひとりの護衛が飛びかかってきました。穂先を布で包んだ槍の柄で撃ち落とすと、首筋に石突を落として昏倒させました。

 さすがに血を流すのは取り返しがつかなくなりそうなので、おとなしく眠ってもらうことにしました。

 次々と飛びかかってくる護衛たちを気絶させながら門をくぐると、広大な庭へ入りました。元は山のふもとだというこの庭は、何百人が走っても余裕なほどの広さがあります。それでいて隅々まで手入れされているので、さすがは豪商といったところでしょうか。

 オリネさんの友人であるクレナルさんはインプ族だそうです。巻角が側頭部から生えている小柄な体は見た目どおりに軽く、運動能力は低いようです。

 その代わりに、インプ族は優れた頭脳を持ってるのです。歴史上の学者や商人はほとんどがインプ族というくらいに頭脳明晰で、クレナルさんの一族が代々豪商の一家であったとしても不思議ではないでしょう。

 広大な庭を半ばまで進むと、遠くに大きな屋敷が見えました。山道を上るとその屋敷に着くようで、クレナルさんもそこにいると思います。しかしそう簡単にたどり着くことはできないようで、屋敷から続々と人影が山道を下りてきていました。

 この人数をひとりで相手するのは少々骨が折れそうですね。でも、穏便に事を進めると決めた以上、流血沙汰にはしたくありません。とはいえ、ミュケとの約束も守るつもりです。

 またしても接敵したぼくは愛槍を振り回して、的確かつ迅速に、護衛のみなさんを昏倒させていきました。



 及び腰になった最後のひとりが、力の入っていない剣を振り下ろしてきます。それを槍の柄で受け止めて剣を遠くへ弾くと、青ざめていた護衛の顔がさらに青くなっていきました。とどめに意識を刈り取って、ようやく後続がいなくなりました。

 向かってくるすべての護衛を打ち倒して、ぼくはようやく屋敷の前にたどり着くことができました。周りには、死屍累々ししるいるいとしかいえない光景が広がっていますが、誰ひとりとして死んでいません。

「このっ……これ以上行かせるわけにはっ」

「お嬢様を守れぇ! おい、誰でもいい! 旦那様に伝えてくるんだ!」

「だめだ、みんな気絶してる。こうなったらメイドさんに伝言を……」

「馬鹿野郎! お嬢様が全員に休暇出してたの忘れたのか! 俺たちでしのぐしかねぇんだよ!」

 驚きました。気絶させたはずの護衛が起き上がって、剣を向けてきたのです。

 その心意気に免じて一撃で気絶させると、ぼくはいよいよ屋敷の扉をくぐりました。

 絨毯じゅうたんに驚きながら屋敷の中を見渡してみます。これだけ広い豪邸だというのに、まるで人の気配がしません。先ほど護衛の人が言っていたように、使用人さんたちもいないのでしょう。

 それにしても、この屋敷の中からクレナルさんを探し出すのは難しいですね。これだけ広いと部屋数もすごそうですし、見つけるだけでもひと苦労です。ですが、見つけてしまえばあとは理由を聞くだけです。


 あっさりと見つけることができました。

 とりあえず探してみた廊下の先に、「クレナルの部屋」と書かれたプレートが掲げられた扉があったのです。いきなり扉を開けるのは失礼なので、扉をノックしました。

「ふん、最近の襲撃者は律儀にノックするようになったの? 馬鹿みたい。さっさと入れば?」

 不機嫌そうな声でしたが、了承を得たので部屋に入りました。外の騒ぎは聞こえていたようですが、逃げなかったのでしょうか?

「ふーん、本当にオークじゃない。あいつら、こんなのに負けたの? どこが腕の立つ護衛よ。豚にだって劣ってるじゃない」

 本棚に囲まれた部屋の真ん中に、ソファに体を預けたインプ族の女の子がいました。紫がかった黒髪からは巻角が覗いていて、不機嫌そうに細められた紅瞳がぼくの全身を睨みつけました。

 ひととおりぼくを眺めて満足したのか、クレナルさんは膝に置いた本に視線を戻しました。

「それで、律儀な豚さんがなんの用?」

「ぼくは『森の出口亭』に泊まっているのですが……」

「へぇ、豚は自分から豚小屋で寝るのね。で?」

 ずいぶんと口が悪い人のようですね。

 つんと顎を持ち上げて見下ろす視線を向けるクレナルさんが、優雅に脚を組み替えました。

 ものすごく丈の短いスカートの奥が見えそうになって、彼女の上半身に視線を固定します。

 相当上質な絹を使っているのでしょう。シルクのノースリーブは滑らかで、涼しげな印象です。

「突然、3人組がやってきたんですよ。宿の権利書を奪おうとして、オリネさんも売ろうとしていました。聞けば、クレナルさんに依頼されたと教えてくれたんですよ。オリネさんは友人でしょう? なぜそんなことを」

「オリネを売る……? それに権利書って。ていうか、アンタには関係ないじゃない! なんで部外者の豚が首突っ込んでくるのよっ」

 きっと睨みつけてくるクレナルさんが表情を険しくしました。確かにぼくは部外者ですが、宿がなくなってしまうのは困るのです。それに、オリネさんが困っていました。

「いえいえ、ぼくも困るのですよ。ここ最近はどこの宿も満室だそうで、行く当てがないのです。なので、オリネさんの宿がなくなってしまうのは困ります。なによりも、オリネさんが泣いていましたから」

「はぁ? なに、紳士のつもり? ばっかみたい。豚がかっこつけるなんて滑稽もいいところだわ! もう出ていってよ、目障りだわ!」

 そういうわけにはいきません。まだオリネさんにチンピラをけしかけた理由を聞けていませんからね。ぼくに出ていく意思がないとわかったのか、クレナルさんが本を乱暴に捨てて立ち上がりました。

「ほら、早く出ていきなさいよ!」

 嫌そうな顔でぐいぐいとぼくを押してきますが、この体格差ではぴくりともしません。顔を真っ赤にしたクレナルさんが小さな手で叩いてくるのにそう時間はかかりませんでした。

「どうしても教えてもらえませんか?」

「しつこいわね! お父様に言いつけるわよ!」


『紳士たる者、しつけのなっていない子供をご両親の代わりに教育することも嗜みのひとつ。口で言ってもわからなければ、体に染み込ませるのが基本です』


 口と態度の悪さの矯正も、紳士の嗜みです。矯正ついでに理由も聞かせてもらいましょう。

 ぽこぽこと叩いてくるクレナルさんの細腕を受け止めると、拳を彼女の下腹部に当てました。

「はぅんっ」

 甘い声を上げてくずおれたクレナルさんが、目を見開いたまま絨毯にうずくまってしまいました。両手は下腹部、子宮の上に当てられていて、ぼくが拳を当てた場所です。

 血反吐を吐きながら練習台になってくれた仲間たちのおかげで、無事に成功したようです。湧き上がる性感にクレナルさんが目を白黒させていますが、ぼくがやったことは、子宮に衝撃を送っただけなのです。

「な、なにこれ……アンタっ、なにしたの!?

 がくがくと膝を震わせていたクレナルさんがぼくを睨みつけてきました。子宮を揺らしたことで慣れない快感にさらされたはずなのですが、すごいですね。

 絶えずぼくに罵声を浴びせるクレナルさんでしたが、少しずつ遠ざかっていきました。逃げるつもりでしょうか。気づいて、彼女の手を避けてもう一度下腹部に拳を当てました。

「ふあ……ああっ」

 一度目よりも激しく体を震わせると、怯えの色を濃くして見上げてきました。その表情はいけません。どうにも背筋がぞわぞわと反応してしまいます。

 どうやらクレナルさんは子宮への刺激に弱いようです。ここを重点的に責めてみましょう。

「ちょ、ちょっとどこに……いや、やだぁ!」

 教育するのにちょうどいいソファがすぐそこにあるので、快感に震えるクレナルを抱えて運びました。

 腕の中で抵抗しますが、それも弱々しくなっています。苦労することなくソファに下ろすと、最後にもう一度子宮を揺らしました。

「んぅぅぅぅ! なにこれ……なにこれぇ」

 体の奥から揺さぶられる気持ちよさに戸惑うクレナルさんが、濡れた瞳で見上げてきました。

 今回はあくまでも教育なので、服を脱がせることはしません。観念したのか、はたまた隙をうかがっているのか、クレナルさんは両腕をひとまとめに頭の上で押さえつけられながら、顔を背けて力を抜いています。暴れなければそれだけやりやすいので、ショーツだけをするりと脱がせてしまいます。

「やめなさいよぉ……」

 細い太ももに指が触れても抵抗する様子はありません。語気も弱々しく、強気だった瞳もいまは涙で濡れています。

 もしかしたら本当に怖がっているだけなのかもしれません。性欲魔人として有名なオークに押しかかられているのだから、これから自分がどんな目に遭うのかくらいは想像に容易たやすいですし、余計な抵抗をしないで早く済ませようとしているのかもしれません。

 どちらにしても、ぼくに強姦の趣味はありません。

 ぼくの体を脚のあいだに割り込ませれば準備は完了です。

 いきなり子宮を刺激するのでは、快感が強すぎるでしょう。段階を踏んで進めます。

 まずは、ぴったりと閉じた秘裂を軽く撫で上げます。まるで濡れていないのに指を突っ込むなど、紳士のすることではありませんからね。

「ん……」

 ほぐれていない割れ目をじっくりとほぐすように撫で上げていると、小さな、しかし確かな甘い声が聞こえてきました。そのまま撫で続けるとようやく湿り気が奥からにじんできました。

 決して乱暴にはしません。じっくりと指をなじませるように、上下に撫でるだけではなく、包皮に包まれたクリトリスも優しく刺激し、少しずつクレナルさんの甘い声を誘い出していきます。

 指先を割れ目の中に差し込んで撫で上げると、粘り気のある液体が付着しました。愛液ですね。

「う、んん……」

 くぐもった声が絶えず漏れるようになって、ぼくはようやく割れ目の中に指を伸ばしました。膣口をくすぐるように指を回し、愛液が絡みついてきたらクリトリスを優しく摘まみます。包皮の中で張り詰めた陰核を押しつぶすと、いっそう高い声が聞こえました。

 ちらとクレナルさんの表情を窺えば、彼女は完全に頬を赤くして瞳を潤ませていました。戸惑いの色があるのはきっと、性器が濡れてきたのに挿入しないからでしょう。オークに前戯の概念はありませんからね。

「ふぅぅ……」

 一旦、割れ目をいじるのを止めて、クレナルさんの下腹部を撫でてみます。それだけでため息を漏らすように喘いでしまうのですから、子宮への振動は効いているようです。

 膨らみきった陰核の皮をゆっくりと剥いていきます。ひと息に剥いてしまうのは刺激が強いらしいですから、教育には適さないのです。体に教え込むということは、染み込ませるということです。じっくりと長い時間をかけて行なうのが教育です。

「ん、ん……やだ、剥いちゃだめ……あ、んん」

 完全に包皮を剥いて、外気に晒されたクリトリスは赤く色づいていました。このまま激しくこね回したい衝動が湧き上がってきますが、こらえて膣口へ指を浅く挿入しました。

「あんっ……やだ、だめだってば、刺激が強いよぉ」

 潤滑液代わりの愛液を絡ませた指で、クリトリスの先端を軽く摘まんで滑らせました。それだけでぶるりと腰を震わせたクレナルさんの膣口は、とろりと愛液をこぼしました。

 陰核もじっくりと刺激します。指先で撫でたり、根元をくすぐったり、先端を軽く弾いたり。愛液が潤沢にあふれるころにはクレナルさんの息は絶え絶えでした。

「はぁ、ふぅ、あと、少しなのにぃ……」

 小さくつぶやいた彼女の目を見ると、完全に欲情しきっていました。それどころか、どこか期待する色がちらついていて、出会った当初の嫌悪感はどこへ行ったのでしょうか。とはいえ、それも仕方がないでしょう。なにせぼくは、クレナルさんに快感を与えつつも、一度も絶頂させていないのです。

 勝気な顔立ちが快感に歪むのは、見ていてひどく心地よいものです。

「それじゃあ、オリネさんの宿を奪おうとした理由、聞かせてもらえませんか?」

「ん、ふぅ……はぁ。誰がアンタなんかに」

「教えてくれるのであれば、しっかりイカせますけど」

「……っ。ふんっ、豚ごときの指で感じるわけないでしょ! 自惚うぬぼれも大概に、あっ、やっ」

 意思が強いというか、精神的に強靭きょうじんですね。真っ赤になって張り詰めたクリトリスを優しく押し潰すと、クレナルさんの腰がかくんと振られました。押し潰したままぐりぐりとこね回すと、堪えきれない喘ぎ声が漏れてきました。割れ目はもうすでに愛液でどろどろで、抵抗を感じないまま奥へねじ込むことができるでしょう。クリトリスから指を離して、いよいよ膣口に指を差し込みます。

「あ……」

 息を詰めたような吐息に、背筋がぞわりとします。

 指先を入れただけですが、狭い膣内がきゅうきゅうと吸いついてきます。すでに最大まで大きくなったイチモツをぶち込んで思いきり腰を振りたくってしまいたい欲求が溢れてきましたが、なんとか蓋をすることに成功しました。こういうときばかりは、オークの本能は厄介です。

 浅く挿入した指で入り口付近を引っかき回すと、クレナルさんはまるで犬のように舌を突き出して喘ぎました。あまり激しくしてしまうと彼女がイってしまうので、ゆっくりと動かします。ぐいぐいと腰を動かそうとするのはもどかしいからでしょうか。すごく色っぽいですね。

 狭い膣道を進むと、薄い膜に触れました。これは処女膜でしょうか。さすがに指で破ってしまうのは忍びないのでいままで以上に慎重に膜を通過すると、その刺激でクレナルさんが甘い声を漏らしました。だいぶ高まっているようですね。

 そのまま指を進めると、ついに最奥に到達しました。弾力のあるここは子宮口ですね。

「ふー、ふー、はー……」

 ただ指先が子宮口に触れただけなのに、ため息じみた喘ぎ声がこぼれるのですから、こごを弾いてしまえばあっさりと絶頂してしまうでしょう。しかしそれはしません。なぜなら聞きたいことがあるからです。

「やっぱり、オリネさんにあんなことをした理由は教えてくれませんか?」

「はー、部外者には関係ないでしょっ……くぅあんっ」

 ぐり、と弾力ある出っぱりを指で押すと、クレナルさんが背筋を仰け反らせて腰を突き出してきました。

 処女膜を傷つけないように奥を責めるのは思いのほか難しく、指先だけしか動かせません。

 こんこんと湧き出る源泉の穴に指を引っかけて左右に揺さぶるだけで、途端にクレナルさんはイキかけてしまいました。このままでは触れているだけでイッてしまいそうです。

「な、なんでそんなところが気持ちいいのよぅ……」

 たっぷりと焦らしたおかげで、クレナルさんは汗だくの汁だくです。脱がせていない服の上からでもわかるくらいに乳首がぴんと立ち上がって、おしゃれなブラウス越しでもピンク色の突起がよくわかります。